犬、そして猫が生きる力をくれた――介助犬と人びとの新しい物語 (岩波現代文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006033002

作品紹介・あらすじ

保護された犬を刑務所で受刑者が介助犬に育てあげ、必要とする人のもとに届ける…。米国で三〇年ほど前に始まったこの試みは、育てた受刑者の心に大きな変化を生んだ。最近は、保護された猫も受刑者と暮らし始めた。日本でも反響を呼び、実際に刑務所で犬を育てる活動が始まった。米国の活動とその後を、出所した元受刑者の新たな人生もまじえて、活き活きと描く。前著『犬が生きる力をくれた』を大幅に加筆し、書き下ろした。

感想・レビュー・書評

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  •  1996年、エイズで28歳の若さで亡くなったジェニー。彼女の犬と猫はずっとそばにいた。犬はベッドの脇に、猫は枕元に、ぴったりと寄り添い続けた。犬はすべてを許し、受け入れてくれる動物。猫も犬とは表現の仕方が違うだけで、とても愛情深い動物。この本は、犬や猫との絆を支えに、生き直していく受刑者たちの物語。受刑者に軸足を置いたドキュメント。大塚敦子「犬、そして猫が生きる力をくれた」、2016.7発行。

  • コニーとアラニス(犬)の出会いがダニエルへとつながった。
    ダニエルが転倒してしまい「ステイ」のコマンドを破って逃げて行ってしまったアラニスが、近所の人を伴って全力疾走で走ってきてくれたのを読んだときに、あまりの懸命さに涙がにじんでしまった。

    プリズン・ドッグ・プログラム
    2009年日本では島根あさひ社会復帰センター、2014年千葉県八街少年院で行われている。GMac(ギブー・ミー・ア・チャンス)プログラムがある。

    なんというか…少年院で行うプログラムもいいけど、犯罪を起こしてしまう前にこういうプログラムがあっていいと思う。たとえばいじめの加害者、被害者。道を踏み外しかけている子の心のケアを兼ねて、閉じこもりがちの子、登校できない子、居場所がない子のためになど、人と絆を結びにくい子たちに居場所を…と、わたしは思ってしまった。うちの子もきっとそういうのがあればいいなって思うんだよね。そういうのに力を入れてほしい。(希望)

  • 大塚敦子さんの著書

    プリズン・ペット・パートナー・プログラム=PPPP
    介助犬アラニス
    介助犬ターニャ
    老猫ルナ
    家庭犬ハンプトン

    P52自分が一番得意なことで貢献できて、ほんとうに幸せ。~2016年にサウスカロライナから届いた手紙P52

    そんなふうに人のために尽くせる動物は、犬以外にいないと思う。P53

    メアリーは犬に対する自分の考えをこう語った。
    「人間である私が、彼らより優れた存在なんて思わない。彼らが私の出すコマンドを学ばなければならないのと同じように、私のほうもどうやって彼らに教えるか学ぶ必要があるのよ。大切なのは、私たちが犬に何をやってほしいのか、そのメッセージを何とかして伝えること。それさえできれば、犬たちはコマンドさえ必要なくなる。」P73
    家庭のペットになった犬たちもいるわ。でも、私は彼らを失敗作だと思わない。彼らはただ、介助犬として働くより、家族を喜ばすペットになるほうが好きだっただけなんだもの。それだって同じように素晴らしいことだと思うの。」

    P97私たち人間は・・・言葉に頼るあまり、ほんとうのコミュニケーションをわすれてしまったのではないか

  • 保護犬・猫を受刑者の再生プログラムに組み込み、介助犬・セラピー犬猫、またはペットにして社会還元というプロジェクトのリポート。
    日本でも八街少年刑務所と島根で実践が始まっている。

    加害者の立直り、罪を贖うことの難しさを、ここでも強く強く思う。
    (まだ書きかけ)

  • 悲しい過去を持つ人たちの再生の物語。

  • 日本ではなぜ広がらないのだろう・・・・。

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著者プロフィール

大塚敦子
1960年和歌山市生まれ。上智大学文学部英文学学科卒業。パレスチナ民衆蜂起、湾岸戦争などの国際紛争を取材を経て、死と向きあう人々の生き方、自然や動物との絆を活かして、罪を犯した人や紛争後の社会を再生する試みなどについて執筆。
『さよなら エルマおばあさん』(小学館)で、2001年講談社出版文化賞絵本賞、小学館児童出版文化賞受賞。『〈刑務所〉で盲導犬を育てる』(岩波ジュニア新書)、『はたらく地雷探知犬』(講談社青い鳥文庫)、『ギヴ・ミー・ア・チャンス 犬と少年の再出発』(講談社)、『いつか帰りたい ぼくのふるさと 福島第一原発20キロ圏内から来たねこ』(小学館)など著書多数。
ホームページ:www.atsukophoto.com


「2020年 『シリアで猫を救う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大塚敦子の作品

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