宿神 第四巻

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 112
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510242

作品紹介・あらすじ

「滅びゆくものしか愛せぬのだな」待賢門院璋子、崇徳上皇、平清盛-亡き者たちを背負って歩く西行の胸に去来するものは…。宿の神はただそこにあるだけ-著者雄渾の大河伝奇絵巻、堂々の完結。

感想・レビュー・書評

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  • 最後の巻は説明と宗教用語、和歌が中心で筆者の思いも書いて今までの言葉のやりとりとは作風が違うような気がする。宿神とは特定ではなく全てのモノに宿り何もせず信仰でもない。哲学に入るのかな??西行の逸脱した行動、女院を掘り起こし生き返らせようとしたり、1人で納得したり暴走??行動の連続の気がした。

  • 平治の乱が終わり、平氏がこの世の春を謳歌する。しかしその世も長くは続かず、清盛が亡くなるり、最後には平氏一門は壇ノ浦に消えていった。西行はそのような世の中をずっと見てきた。歌を杖として。

  • 平治の乱、そして崇徳天皇(新院)が狂っていく件はかなり引き込まれる。1、2の前半巻にくらべ説明なども増えてストーリーよりも解釈にウエイトがかかっているようだが、それはそれでとても面白かった。西行の”レジェンド”話もそれなりに付け加えられていて、できたらそこらへんだけで伝奇小説にしてほしいぐらいなんだが、結構あっさりさっくりとで少し物足りなかった。とにかく、面白かったです、文庫で買おうと思います。

  • (図)

  • 宿神の最後の巻。
    時代が変わるのをながめてきた西行の人の愛し方がわかる。

  • 全4巻。
    大河「清盛」にハマりにハマっていたので、登場人物がほとんどそのキャスティングで浮かんでしまいましたが、描かれ方はだいぶ違います。
    大河のほうはマツケン清盛の成長物語だったけど、主人公の西行から見たこちらの清盛は、最初からカリスマ性と知能を備えています。

    タイトルの「宿神」とは、宗教以前の、原始的な自然神のような存在。
    「蹴鞠」がそういう人ならぬモノとのひとつの交感の手段として描かれていて、前半の桜の降るなかでの蹴鞠のシーンは幻想的で圧巻の美しさ、夢枕さんの本領発揮。この印象的な場面が最後のほうでまた響いてきます。

    前半は西行の璋子への激しい思慕や、清盛が時代に乗り出していく過程が描かれ、ふしぎな能力を持つ架空キャラの兄妹や、文覚や鎮西八郎為朝など、濃いキャラの活躍も楽しく、ぐいぐい読めます(とくに為朝を描いてるときはすごい筆が乗ってる感じで、たぶん作者は為朝めっちゃ好きなんだろうなあ)。

    後半は「平家物語」やら「盛衰記」やらのさまざまな既存エピソードをつないでいくために、微妙に作者の見解が入ったりしてお話の世界から一瞬現実に戻ってしまったりするのですが、複雑な歴史の流れに沿っているのでこれはやむをえないのかな。
    最終巻では、登場人物たちが老いたり死んだりしていく中で、無常観がぐぐっと増してきて。
    平家が滅んでいくのを見届けた西行。
    この世に生きるもの誰もが散る桜ではないか、というところにつながって、西行といや桜、桜といえば滅び。見事にこの長い物語を収めます。

    大きな滅びの物語の中に、石や木など自然のものに宿る神の存在を織り込んでることで、人の命はおそろしいくらいに儚く短いものであるけれど、それはただあるがままの自然に戻っていくだけ、というテーマが救いとなってすとんと胸に落ちました。

  • こちらに来ての最初はやっぱこのひとでしょw
    電車で読めるから4日で読めたな〜

  • こんなに大きなテーマをこんなに読みやすく書けるということが文章の巧さなのだと思います。
    男二人が語り合うシーンがとても上手い!ドキドキしたりシミジミしたり。
    男二人が語り合うシーンを書かせたら、今、右に出るものはいないのではないだろうか。
    これまで、西行のことを多様な本で読んできて、???と思っていた部分が、あぁ、こういう解釈ならスッキリするなあ、と感じ入りました。特に、反魂香。これなら、ありえる!
    ウ~ン、縄文の民か……。
    長生きしてたくさん書いてください。少なくとも、あと30年は期待します。

  • 一気に読んでしまった。

    西行の人造人間伝説はそういうことだったのかもしれないなと。

  • 平清盛と西行青春時代からその生涯
    平安時代末期の院政から武家社会に移る大きく動いた時代において、清盛はトップに立ち西行は流れを見守る者となる
    西行は宿神と呼ばれる物の怪を見ることの出来る人であり、類稀なる才能で本質を歌に詠み、遺す役割を担った人物であった
    兎に角、完結して良かった

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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