- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022511058
作品紹介・あらすじ
僕らの難問を解決するヒントは、「道徳」にある。何が善いこと?何が悪いこと?いじめ、スクールカースト、政治不信、ポピュリズム…この国の難題を7人の有識者と徹底討論。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
岡田氏の言葉はいつも数年後に響いてくる
-
岡田斗司夫氏が一癖も二癖もある論客と「道徳」について語る対談集。小林よしのり氏とか古市憲寿氏なんかがどんなふうに語るのかにも興味があり、また岡田氏の問題意識や見解にシンパシーを感じることも多いので、かなり期待して読み始めた。
「自我」「個人」「合理性」「市民」「共同体」「人間」「政治」「活動」「夢」というそれぞれのキーワードに関連して行われる対談は、確かに興味深かった。時々うなずきながら、時々反発を感じながら、楽しく読むことができた。
ただ、全体としては岡田氏のキャラクターや意見がつよく出すぎていて、そしてそれが対談相手の意見としっかりぶつかってどこかにつながっていくという印象が余りしなくて、それぞれが自分の体験から来る思いを出し合っているという感じにとどまってしまった。もちろん、そう簡単に結論が出るような話ではないから、安易なまとめをされるとそれはそれで興ざめなんだけど、なにか指針のようなものがもう少し見えてくると、もっと充実した読書になったように思う。
「新しい道徳」ってタイトルに余り期待しないで、現代を代表する論客たちがどんな言説をするか、単純にそういった興味で読めば、なかなか刺激的な本であると思う。岡田氏による「前書き」に掲げられた方向性に照らせば、もうひとつはっきりしないまま読み終わってしまった感が否めない。 -
2018年11月12日読了。「道徳」をテーマにした岡田斗司夫と7人のゲストの対談集。2012~2013年頃の対談であり、震災とそれに伴う日本社会の動揺が色濃く反映されているように思う。個人にとっての善悪の基準である「倫理」と社会が必要とする「道徳」を別物として扱いその両立・妥協点を探るべき、とする主張は腑に落ちるし興味深い。「なぜ人を殺してはいけないか」などと問うとき、「それはいけないことだからだ」という倫理は普遍かもしれないが、戦場にいる当事者にとっての道徳は異なるわけで、人が正義や善悪に悩むのはある意味当然・倫理と道徳の葛藤があるからこそ人間と社会に緊張感が保たれているのかもしれんな…。岡田斗司夫の攻めるときは攻める聞き上手っぷりもいいが、話者の中では古市憲寿氏の意外な老獪さ・小林よしのりのぶれない軸の強さが特に印象に残った。面白かった。
-
【洗脳】
先日、こどもの土曜参観があり授業は道徳でした。
この本を読んだこともあり、興味深く授業を参観させていただきました。
道徳の授業は予想通り物語で教える方法でした。ストーリーを簡潔にいいますと、あなたは「自分の夢」と「友達との約束」のどちらを取りますかという内容でした。
生徒にいろいろな意見を言わせたあと、最終的にこれには正解はない、人それぞれの意見があっていいという結論でした。
うん??ちょっとまったー (・・・とは言ってませんが)
道徳とは法律では規定できない事柄を、物語形式でこういう場合はこのように考えるのですよと植え付ける(洗脳)ものだと思っていました。ところが、授業では人それぞれで正解はないという結論に至っていました。
これは道徳教育ではないです。
道徳は正解を示さなければなりません。
道徳は一種の洗脳なのです。正しいとされること(実際正しいかどうかはわからない)を理屈ではなく、頭の中に植え付けるものです。
今どき、「洗脳」はよくないのでしょうか??
「洗脳」という言葉の響きが良くない??
どう思われます? -
嫌いじゃないんだよね…
-
各章でゲストと対談を重ねまとめに入って行く。ゲストは高木新平・古市憲寿・小林よしのり・開沼博・橘玲・與那覇潤・東浩紀の7人。各章のテーマは合理性、市民、共同体、人間、政治、活動。まとめとおまけの章で次回作につながって行く
-
岡田氏と各分野の著名人との対話集で、各人の視点はユニークで掛け合いは面白く読めるが、「道徳」というテーマで絞り込まれているわけではない。
-
東紀之×岡田斗司夫の福島第一原発観光地計画についての対話がいちばんはらはらしました。相容れないところがあって。岡田氏は「仮にアート的なアプローチをした場合。アートとして成立させた人たちの名声はあがるでしょうが…」につづき、安全地帯から観光地化を目指す姿勢に男らしくない、観光客に原発事故の処理作業をさせることを含みでないと…という姿勢でした。
-
最近は出てからほどない状態で読んでいるので、
岡田斗司夫の考えが進んでいく様子が分かる。
「道徳」というテーマで、いろいろな視点から対談を通じて探っていく本。
自分の知らない世界をさらに突っ込んで見せてくれる、隅々刺激的な本。
「倫理と道徳は違うもの」
「富ではなくこれからはリスクを再分配しなければならない」
「トップを挿げ替えることで納得してしまう世間」
「合理性」と「損得教」
一つの答えでまとめるには大きすぎる。
小さな単位を良くするために必要なものが何なのか。
ヒントがたくさん詰まった本。
最後の東氏の言う「25年後のフクシマ」は、
いきなり25年後に飛んで、
その間にある無数の地道で危険な作業のことに
どれだけ関与していくのかが見えず
ものすごい違和感を感じる。