精鋭

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 429
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512574

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】柿田亮は研修を終えたばかりの新米巡査。自分が警察官に向いているのか悩みつつも、機動隊を志望し、ハイジャックなど凶悪事件を解決する特殊急襲部隊(SAT)の隊員を目指すが──。優れた警察小説であり、成長物語でもある著者の新境地! 朝日新聞連載。

感想・レビュー・書評

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  • 新人警察官が機動隊へ異動して、その後SATに選ばれて成長していく物語でした。
    とても興味深い内容でした。
    面白かったです。

  • 壮烈な訓練が待っている、その先には……

    精鋭
    2015.02発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。

    警察署に入った柿田亮巡査22才が、持ち前の明るさと、前向きな考えで機動隊の中の精鋭といわれるSATへ進んで行く姿を書いた物語です。それは、まさに壮烈という言葉にあたいします。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    柿田は、警察官として、現場で自分の判断で、交通違反の切符を切るか切らないか、クレーゾーンにある行為が痴漢にあたるのか当たらないのかの難しさを痛感し。
    自分は、警察官に向いているのか疑問を持つ。そんなとき上司から、お前は「体を張って国を守る」機動隊に向いていると言われ、警察に入って初めて目標というものが出来た気がする。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    警察へ入って2年目の4月に、警察署地域課の交番勤務から機動隊へ移動になった柿田は、機動隊での厳しい訓練も、ラグビー部での練習の凄さを考えれば、これは今の自分には必要なものとして捉えることが出来た。
    そうすると恐ろしくキツイ訓練も、それが仕事だと割り切ってしまうと、それほど追い詰められた気持ちにならない。大学の時と違って、給料をもらって訓練をしているのだ。と思えた、体もだんだん慣れてきた。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    そんなとき、機動隊の中で「精鋭」と言われる特殊部隊のSATへ移動になる。もちまえの学生時代のラグビー部で鍛えた体と。ラグビー部で養ったワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの考えがSATでの厳しい訓練を支えています。
    それは、一人はみんなのために、みんなは一人のためにが、骨の髄まで染みこんでいるのです。つまり、一人一人の技術が確かでなければ、チーム全体としての作戦をうまくこなすことが出来ません。これが、ワン・フォー・オール。そして、チームとしての作戦が的確でしっかりしていないと、個人個人の技術を生かすことも出来ません。これがオール・フォー・ワンです。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    SATから自衛隊へ訓練に出た柿田は、自衛隊員から「俺たちは、国の偉いさんを守るために戦うわけでない。国の体制とか、そういうこともあまり考えたことがない。ただ、日本の国民の誰かが助けを求めていたとしたら、俺たちは、いつでもどこへでも飛んでいく。その覚悟は出来ている」を聞いて、私は、胸にジーンとくるものがあります。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    【読後】
    自衛隊も、SATも、自分たちが出動する事になるテロ、戦争、凶悪事件が起こらないことを願いつつ、それに備えて日々厳しい訓練を行っていることが書かれています。柿田が、厳しい訓練を前向きに行っていく凄さは、凄まじさを通り越して壮烈としかいいようがありません。
    2021.05.26読了

  • シリーズ物ではなく、単発物。
    主人公柿田が、配属先の上司達それぞれに素質を見出され、本人はそれほど熱望しているわけでもないのに次第に機動隊へ、その後SATへ。
    「はあ…。」と答えたり、心中で「〜なんだけどなあ」とボヤいたり、飄々としていながら素質があったり、という様がマル暴シリーズの甘粕っぽい。

    面白くはあるのだが、新聞掲載だったからか、重複した表現が多い。
    今野敏氏の他の作品でもそう思ったことがあったと思うが、本書も単行本化では、内容はこれの3分の2くらいに減らしてもらっても充分成り立ってしまうと思う。

  • ものすごく久しぶりの読書。
    SATの活躍話かと思ったけど、新人警察官の成長物語の色が濃かった。
    部活動など警察の生活の一面が興味深かった。機動隊やSATの訓練内容は読むだけで疲労感が。。
    主人公に感情移入はできなかったけど、熱くない・状況に流されるがままの主人公は新鮮だった。主人公の熱量に反して周囲が熱い。
    今後、主人公がさらにどう成長していくのか読んでみたい。

  • 新米警察官がSAT隊員になるまでのお話。

    警視庁の新米警察官として働き始めた柿田亮は、ラグビーで鍛えた体と前向きな性格で、職務を全うしていく。

    しかし、検挙の判断や、警察官のあり方に疑問を持ち始める。

    そんな時に、機動隊へ転属が決まり、体を動かすことに集中できると思い志願する柿田。

    機動隊の厳しい訓練もなんとなくこなしてきた柿田だったが、あれよとSATに推薦され、さらに過酷な訓練に挑んでいく。

    警察における柿田の真の目標は見つかるのだろうか?


    新人からSATになるまでを丁寧に描いています。
    なんか新シリーズを大事に育ててきた感じがして、読者は続きを温かく見守っていこうという感じ。

  • 警察官になった柿田はいろいろな部署に一定の期間配属される。それが終わってから本当の配属が決まるのだ。地域課に配属が決まったが、毎日どのような基準で処理をしなければいけないのかと悩んでしまう。子供が捨て猫を拾ってきた。それへの対処はこれで良かったのか?酔っ払いへの対応はあれでよかったのか?先輩の巡査部長からは、お前は機動隊向きじゃないのか、希望を出しておけ、と言われ、それからは希望は機動隊といつも出していた。そしてあるとき機動隊への面接があった。機動隊での訓練。そしてその中でも精鋭であるSATへの訓練。初任警察官の柿田もいつしかたくましくなった。

  • ワンフォーオール、オールフォーワンの解釈
    苦しい訓練への心構えなど超体育会系の考え方が気持ち良いくらいストレートに描かれている。
    主人公である柿田の経験を通して描かれているのだけれど、警察になり各部署に配属される体験や特殊な部隊に配属されるまで道のりなど、部外者には味わえないイベントがテンポよく、最後まで一気に読めた。

  • 新人、柿田亮が、成り行きで機動隊に入ることとなり、遂にはSATに入隊する話。

    ラグビー部で鍛えた身体と精神だけでは到底乗り越えられない厳しい訓練も、生来の性格であるがむしゃらさ真面目さに加えて、訪れる限界の中で徐々に自分の意識を変え、克服していく。

    名言があり過ぎて、図書館の本じゃなければ線を引いてるところ!

    個人的に、狙撃訓練の狙いの場面では部活の弓道を思い出し、また、レンジャー訓練の「これはまだ大したことじゃない、本当はこんなものじゃないはずだ」の場面では、初産の時同じ思いでいたこと、終わってみたらこんなものだったのかと感じたことを思い出しました(笑)

  • 1人の警察官が警察官になってSATの精鋭になるまでのお話。凶悪犯やテロリストと戦うSATは出動するときは最悪の事態、出動するような事件が起こらないように、でも起こったら万全で戦わなくてはならない。頑張ってほしいけど、頑張る場所があってはいけない。でも主人公は無事SATの隊員になったので、またこれから話しは続きそう。

  • 今作は警察ミステリではなく、一人の新人警察官がSAT隊員となるまでの成長物語。主人公柿田の持つある意味天性な呑気さのおかげで、非常に爽やかな心持ちで読み進めることができた。SAT隊員の訓練はもちろん、警察学校を卒業して間のないような新人警察官のころからの訓練を垣間見ることができ、普段、一般人が知ることのないもので興味深かった。不正とか癒着とか、一般人の目からは不祥事ばかりが目立つ警察だけど、実際は今作の中で見られるような正義感溢れる熱い人間たちが大半である、あってほしいものだと思った。続編として、柿田たちがSAT隊員として実際の事件に立ち向かうところも描いてくれることを期待したい。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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