- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022516466
感想・レビュー・書評
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久しぶりに徳永先生の本を。野の花診療所でのそれぞれの死がそれぞれの温かさ、それぞれの哀しみを持って描かれます。徳永先生の文章を読むと、誰もが迎える死がとても身近な当たり前のものとして自然と受け入れられる気持ちになります。昔講演を拝聴してこともありますが、本当に素敵な方で、御年74歳になられてるのかと感慨深くも感じました。まだまだお元気で患者さんやご家族のそばにおられるのでしょう。
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医師になって45年
「野の花診療所」を開設して18年
診療所で、在宅で看取った“死”をめぐるエッセイ集
《「ロックンロール」が口癖の内田裕也さんによく似た男性が外来に通ってくる。》
《6月、悪性リンパ腫の末期の患者さんが入院した。》
《「先生、電話が入ってました。がんの同級生のことで相談に乗ってほしいそうです」と、看護師が言う。》
《お母さんの病気、中学2年生の子にどう伝えるか。いつも悩む。》
《長年亡くなる人を看取る仕事を続けているのに、まだいくつもの初めてがあって、驚く。》
八百字ほどの冒頭の一文に引き込まれ、死の多様性と家族の姿に胸を打たれる
《臨床では、死に向かいながら死を咀嚼し、死を解き、ほぐし、溶かす仕草に達する患者さんや家族の姿を目にすることがある。発せられる声、言葉にもやわらかな変化が生まれる。死がまぁるく見えてくることもある。不思議で大切な光景だ。
……一人一人の姿が、一人一人の死が、叶うことならまるみを持つことができればと願う。そう思いながら臨床医を続けてきたし、続けていきたい。》──「あとがき」より
朝日新聞中国地方版の連載「野の花あったか話」(2015年2月7日から2019年2月19日)94回分に、野の花診療所の機関誌「野の花通信」巻頭エッセイ17回分(2010年2月から2019年1月)を収録