川のある街

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 901
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022519610

感想・レビュー・書評

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  • 淡々とした静かなお話

  • ゆっくりとした時間を感じるような…そんな気持ちになる短編3話。

    〈川のある街〉
    両親の離婚で母親の実家の近くに暮らし始めた望子の8歳の目に映るもの。
    望子ってこんなにもたくさんの人の言葉を感じているんだという驚き。

    〈川のある街 Ⅱ〉
    カラスが主人公か?と思って読み始めるも…
    結婚相手の家族に会うために地方都市にやってきた麻美だが、彼女が最初に友だちになった女の子の母親は入院していて、そこには…彼氏の姉も。
    ゆるゆると繋がっていく、これも縁。

    〈川のある街 Ⅲ〉
    ヨーロッパに移住した芙美子はパートナーを亡くしてから少し認知症気味で、様子を見にきた姪。
    どんなに記憶が曖昧になっても40年以上も住めば、今更何処へ…となるのだろう。


    人がその街で生きている。
    その街が好きだから…というよりも自然と馴染んできたような、だから息吹を感じ川の流れを感じている。
    慈愛を感じる物語。


  • 川のある街、3世代それぞれの3つの物語。

    読む年代で、この3つのお話は微妙にとらえ方が違うのだろうな、この歳になって感じれることをうれしく思う。
    読後にじっくりとカラスを見て、なんだか納得してしまう(笑)

    Ⅲのような余生をと思う。なかなかに人生はうまく運ばないとしても、自由でいたい。

  • 川のある街には物語がある。いろいろな視点から描く三つの物語、II のカラスの視点はなかなか面白く読めました。人生の教訓が三つの物語に生かされている。あなた読んで共感して下さい。

  • 両親の離婚により母親の実家近くに住むようになった8才の少女の日常と大人達への視点。
    カラス達の生き方に重ねる様に地方都市でのしがらみを描いた第2章。
    フランスで1人暮らす認知気味の女性の不安さ際どさを描いた第3章。
    舞台の街は異なるが、いずれも川が象徴的な役割をしている。川の流れが人生の様で切ない。

  • ⅠとⅢ は良かった。特にⅢは 認知機能 衰えるとこうなんだろうなって まるで本人のような リアル感ある内容。面白かった
    Ⅱ は 読んでいても 中々 進まない印象。
    カラス達の描写は興味深かったけど 江國さんワールドなのかな

  • 人はなぜ川の流れに心惹かれるのだろうか。
    悲しい時、寂しい時、元気がない時、ぼーっと川の流れを眺めていると心の中にある灰色のもやもやがいつの間にか流されていくからだろうか。
    ままならない毎日の中で持て余す自分の心を、川に流れが優しく慰撫してくれる。少女の、これから新しい命を生み出す女性たちの、そして薄れていく過去の記憶の中で今を生きる女性の。あ、カラスもいたわ。
    水の流れに時間を重ねて、人は歴史を紡いできた。流れていった時間は戻らない。今、そこにある水が永遠にとどまることもない。だけど、いや、だから、人は川の流れを求めるのだろうか。
    刹那の愛しさを描いた三編が、とげとげした心を優しく包み込んでくれる。

  • *川のある街*
    小学生の望子目線で描かれているのが新鮮でした。江國香織さんの作品は大人の女性目線で語られていることが多い印象だったので。望子とおばちゃんとりっちゃんと母親との関係がなんだかよかったです。
    *川のある街II*
    まさかのカラスの視点から始まるとは思ってもみませんでした。これまた新鮮。カラスの生態とか感情とかわからないけれど、これを読んでいるとカラスって本当にこんなこと思ったりしながら生きてるのかもなぁと思いました。
    地縁って、良いのか悪いのか。この人とこの人がここで繋がっているのか、と物語として読むとおもしろいけど、現実ではちょっと引くかも。私が田舎生まれ田舎育ちだからかもしれないけど。
    *川のある街III*
    舞台はフランスだと勝手に想像。私の祖母は認知症だったので、読みながら祖母も内心ではこんな風に思っていたのかなと想像しながら読みました。
    周りの人たちも不安だし、何より忘れてたじゃなくて覚えていないという本人が一番不安なんだろうと思う。読みながら少しこわくなりました。

  • 川のある街を舞台にした3つの物語。
    江國さんの透明感あふれる文章がやっぱり大好きで、心地よくて。

    小学生の子供、カラス、老年の女性
    全ての心の動きや思いがリアルで、心にぐっと響きます。

    特に子供の心、ことばを表現するのが秀逸。
    読みながら、私も子供の頃こんなことにドキドキワクワクしたな、こんなことで不思議に思ったりしたな、こんなふうに遊んだりこんなふうにお友達とおしゃべりしたなと思い出し共感します。
    そして、認知症の進行する女性の気持ちにもせつなくなります。

    「望子はおばちゃんに、『どんどん寄り道をしておいで』と言われている。
    『宿題は夜にだってできるけど、外で遊ぶことは夜にはできないんだから』と。」
    小学生の頃の寄り道、知らない道、そのドキドキ感、お稽古の時間忘れて遠くまで遊びに行っちゃったこと、今もその景色が目の前に浮かぶくらい。
    そんなことが大切なことだったと大人になって気づきます。

  • NHKのチコちゃんに出てくる江戸川のカラスも、カラスのイメージを良くしたけど、この本に登場するカラスも、それぞれが個性的ですね。

    日本の川には確かにカラスのイメージがあるけど、ヨーロッパの川にはいないのかな

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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