女帝: 小説尾上縫

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022566706

感想・レビュー・書評

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  •  葉真中顕さんの『そして海の泡になる』のモデルと言われている、“北浜の女相場師 尾上縫”さんのついて知りたくなったので手にしました。奈良の貧しい家の出で、一介の仲居から料亭の女将、そして数百億の株を操るまでになる…それまでの過程とその後の経過を描き出した作品。

     読んでみて、う~ん??となったのは、この小説が官能経済小説と銘打っているからか…なんか、こう前半は官能小説、後半は経済小説の色合いが強かったからかな。でもひとつわかったのは、1個人としてはこれ以上ない借り入れをしてしまった裏には、尾上縫さんの頼られると断れない人の良さがあったんだなぁ…ってことです。もう自身でどのくらいの株を持っていて、それがどのくらいの価値があるのか、把握しきれないほどになってしまった縫さんには少しだけ同情してしまいます。でも、やっぱり私にとっては異次元の人です…。

  • 著者、清水一行さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    清水 一行(しみず いっこう、1931年1月12日 - 2010年3月15日)は、日本の小説家。本名:清水和幸(しみず・かずゆき)。

    実際に起きた経済事件に関わった実在の人物をモデルに、企業の実態や事件の内幕を描く作風を確立した。

    ---引用終了

    そして、同時代の経済小説の大家として、

    清水一行さん(1931~2010)
    高杉良さん(1939~)
    城山三郎さん(1927~2007)

    が、いらっしゃいます。


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    母ゆずりの美貌と肉体を武器に料亭の女将におさまった尾上縫。無学で人の好い彼女を“女帝”に仕立て上げたのは誰か…。バブルに踊る業界の暗部をあぶりだす。衝撃の官能経済小説。

    ---引用終了



    そして、本作で書かれている、尾上縫さん、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    尾上 縫(おのうえ ぬい、1930年2月22日 - 2014年頃)は、日本の実業家、投資家、詐欺師。大阪府大阪市千日前にあった料亭「恵川」を経営していた。奈良県出身。バブル景気絶頂期の1980年代末には「北浜の天才相場師」と呼ばれ、一料亭の女将でありながら数千億円を投機的に運用していた。しかしバブル崩壊とともに資金繰りが悪化、金融機関を巻き込む巨額詐欺事件を起こした。

    バブル時代を象徴する人物の一人として「バブルの女帝」と呼ばれ、尾上をモデルとした小説を原作とした映画『女帝』も公開された。

    ---引用終了

  •  
    ── 清水 一行⦅女帝: 小説. 尾上 縫 19930901 朝日新聞社⦆
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4022566701
     
    ♀Onoue, Nui 19300222 奈良 ‥‥ 2014‥‥ 83-84 /
     
    …… 19910813 早朝、大阪地検特捜部は大阪・千日前の料亭「恵川」
    女将・尾上 縫(61)有印私文書偽造などの容疑で逮捕。東洋信用金庫
    に巨額の預金があるように見せかけ、それを担保に大手金融機関から
    2700億円もの金をだまし取っていたのだ。
     
     詐欺そのものは複雑ではなく、端緒は日本興業銀行が発行していた
    ワリコー(割引金融債)を大量に買ったことだった。
     
     奈良の貧困家庭の出身だった尾上は、ミナミの料亭で仲居だった時、
    大手住宅メーカーの会長が“旦那”になり、恵川を開店。会長からもら
    った三十数億円を元手にワリコー10億円分を買い付ける。それを担保に
    興銀が融資し、さらにワリコーを買い増した。いつしかワリコーの額が
    膨れ上がると興銀頭取の黒澤 洋が、夫婦連れで恵川を表敬訪問したこ
    ともあった。
     
     一介の料亭経営者ながら天下の興銀が融資している。それを知った他
    の大銀行も競うように金を貸し、5年間で彼女に貸し付けられた金は延
    べで2兆7736億円にものぼった。これは本州と四国を結ぶ瀬戸大橋を含
    む本四架橋の総工費に匹敵する。さらに尾上はこの金でNTTや新日鉄の
    株を買い漁ったものだから、北浜の証券界では「謎の女相場師」として
    名を馳せたのだ。だが、所詮は借金をぐるぐる回すだけの錬金術である。
    怪しんだ銀行が資金を引揚げると、彼女が手を染めたのが架空預金証書
    による詐欺だったというわけである。
    https://www.dailyshincho.jp/article/2021/11261057/?all=1
     
    ── 特集「バブル崩壊から30年 不思議なめぐり逢いでベタ惚れされて
    …『江本 孟紀』が初めて明かす“女帝相場師”『尾上 縫』という徒花」
    (20211125日号 週刊新潮)
     
    (20230808)

  • 尾上縫は美貌を持って産まれ料亭で働いている時には売春もしており料亭経営始めてからは霊感占いで株を買うのに才能を発揮したという内容。どこまで事実に取材して書いてるのか不明だが尾上縫の霊能力が面白すぎる。

  • 非常に痛快な物語である。
    一人の人間が こんなにも 借金をすることが
    できるという ことが。
    「ヒトがよい」という言葉で片付けることが
    できないほどの魅力である。

    貧乏な生活で暮らし 離婚歴があり 
    そんなところから 仲居を はじめるところから
    物語が始まる。

    ハム屋さん 内村の登場。豪遊、妊娠、誕生、脳卒中で死ぬ。
    銀行のオーナー会長
    1月の戎の祭りの出会い。料亭の女将に。
    大東ハウス 高橋 絶え間のない援助

    3人の男が助けてくれたが 死んでから 悲劇が始まった。
    「霊感を持つ」 女として 再生。ビルを建てる。
    借金をする。利息の重さ。
    株というものにとりつかれる。

    何がなんだかわからないうちに 借金地獄に。
    借りたお金 2兆7千7百億円
    返したお金 2兆3千億円 1日の利息 約2億円。

    1個人として 最高な借金と返済額。
    スケールが大きいだけでなく
    金の力で人間は どこまでもやれる。
    このヒトが成功したら 小説にならなかった。

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著者プロフィール

1931年東京向島生まれ。週刊誌記者などを経て、66年に証券界の内幕を抉った『小説兜町』でデビュー。一躍ベストセラー作家となる。75年『動脈列島』で日本推理作家協会賞受賞。『虚業集団』、『敵対的買収』、『ITの踊り』など著書多数。2010年に永眠。

「2022年 『小説 兜町』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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