椿山課長の七日間

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 508
感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022577863

作品紹介・あらすじ

やり残したことが多すぎる。このまま"成仏"するわけにはいかない。突然死した冴えない中年課長は、美女の肉体を借りて七日間だけ"現世"に舞い戻った。朝日新聞夕刊連載の単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 突然死した椿山課長が、思い残した事が多すぎるということで、現世に3日間だけ舞い戻る話。ボタンひとつでリセットできる事や、おじいちゃんと武田さんの最後は、納得できないけど、厳守事項を破った蓮ちゃんが極楽往生できたのはよかった。

  • デパートに勤める椿山課長は、セール真っ只中に突然死。
    未練ありまくりであの世から期間限定で戻って来る。
    旅は道連れ、同じように戻ってきたヤクザと子ども。
    ファンタジーチックなのに案外下衆い椿山課長、かと思えば人情たっぷり、おじいちゃんの存在は涙を誘うし、楽しく読めた。
    ヤクザさんの言葉遣いが読みづらかったのと、ラストが自分的にはいまひとつなので、星4つ。

  • 様々なカタチの親子愛に涙腺崩壊。
    面白くて三分の一以降一気読み。

    p210
    ひとついいお勉強をした。ヒミツを持つのは悪いことじゃないけど、ヒミツを守るためにウソをつくのはつらいんだ。きっと大人の人たちはみんなこんかふうにして生きているんだな。だとすると人生って、つらいことなかりなんだな。

    優しい嘘が散りばめられていた。

    やり残したことなど所詮他人にとっては取るに足らぬこと。
    「生に執着しない事にしたの。」と、職場の人が云っていたことが妙に心にどっかりと住みついてしまったけど、あなたはまだ長生きしなさいとも云われた。

  • 今日、突然死んでしまったら、何を悔み、何をしたいと思うだろうか。
    このままこの世から去ることはできないと考える、死んでしまった三人は、与えられた三日間で、やり残したことに取り組む。百貨店の課長、任侠の親分、育ちのよい7歳の男の子が、残された人たちに会いにいく。真実に気づき、謎を解き、一方で謎をのこす。知りたかったこと、知らなかったこと、知りたくなかったことが、誰にでもあり、どうにかしたいなら、生きているうちにということを突きつけられる。
    任侠の勇さんの情の厚さもさることながら、椿山課長のお父様が、ただただかっこいいというか、「義」が人の形をとるとこうなるのかと。
    会えてよかった、おじいさま。
    精神的に不安定になりがちで、なかなか読書に気持ちが向かないこの頃ですが、浅田次郎さんの小説なら大丈夫というか、こんな時こそ彼の作品に救われる気がします。
    それにしても、再読なのに全然覚えていないことに衝撃。でも、何度でも楽しめるから、結果オーライ、むしろラッキー。

  • 突然の死により冥土にあがってしまった椿山課長。
    現世に未練ありまくりのため、
    なんとか現世に返してもらいます。
    その期間は7日間(実質活動できるのは3日間)のみ。
    色々なルールもある中で、
    椿山課長はどう動くのか?!
    というのがざっくりした内容です。


    椿山課長が中心のようで、
    実際は脇役というか、準主役クラスの登場人物と話が絡まっていきます。


    この作品でおもしろかったのは、
    冒頭から続く冥土のシステムのところです。
    まるで免許センターの免許更新のようなシステムで、
    現世っぽさがクスッとなります。
    でも少々この部分が長くて、
    椿山課長が現世に戻ったときは
    「やっと戻った」
    と思いました。

    好きなのは知子のひとり語りの章。
    自分よりも相手に幸せになってほしい、
    という愛し方は切ないですが、
    こういう恋愛もあるんだな…と思いました。

    良いところとちょっとなというとこを総合して、☆3つつけました。

  • タイトルから想像できないファンタジーだった…

  • 本屋のナツコミかなんかでおすすめだったので読んだ。突然脳卒中で死んで、特別他の人とスゴイ差があるとも思えないけど認められて女の体で現世へ戻る。するとカミさんはずっと前から不倫していて子供が実は托卵。ここでもう胸糞悪くていやになった。結局何がしたくて生にしがみついたのか。カミさんの浮気相手の後。輩の男に何のペナルティもなく、最後の方は主役は椿山課長の親父さんになる。これを読んで最終的に何を得たらいいのか、浅田作品にしてはつまらない

  • 子どもの言葉にウルッときた。
    愛ってもしかしたらみんな持ってるのかもな。

  • 仕事中にぽっくり亡くなったデパートマンの椿山さんが、極楽往生する前に、別人の姿で現世に7日間戻る。思い残したことを確認するために。
    あの世とこの世を行き来する登場人物の苦悩が、家族に起因することだったり、任侠が出てくるところだったり、随所にコメディーがあるところが、いかにも浅田次郎らしい。悲劇でも喜劇でもあり、最後は泣けるけれどほっこり気持ちが温かくなって終わるところも、著者ならではという感じがした。「人生はお前の考えているほど長くはない。泣いたり憎んだり悩んだりする間に、一歩でも前に進め。」椿山さんの言葉が心に残った。仁義を切ったおじいちゃん、武田、かっこよかった。

  • 古本屋さんで格安コーナーの棚にのっていたのをたまたま手にとった本。
    全然期待していなかったのに
    今まで読んできた本の中でかなりの上位にランクインするのではと言うくらいに
    面白さ、感動が群を抜いていたように思う。
    ユーモアたっぷりに、だけど人間の機敏を丁寧に描いていたし
    ずいぶんと涙がこぼれたなぁ。

    色んな人にお勧めしたい作品です。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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