反ナポレオン考 新版: 時代と人間 (朝日選書 615)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022597151

作品紹介・あらすじ

同時代人の見た英雄。反発、非難、中傷の渦の中から、あまりにも個性的な人物像が浮かびあがる。新資料を駆使した新訂版ナポレオン4部作、完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 英雄&天才ナポレオンの実態は・・・敵だらけの生涯だった!
    当時やその後の資料から浮かび上がる人物像を読み解く。
    第一章 主役登場 第二章 権力の階段 第三章 流血
    第四章 王党派  第五章 旧怨    第六章 宗門紛争
    第七章 修羅場  第八章 宿敵アルビオン 第九章 食人鬼
    第十章 信徒集団 第十一章 奈落の淵 
    第十二章 悪徳の論理 タレイラン 第十三章 権謀術数 フウシェ
    第十四章 心身のカルテ 終章 墓碑銘
    参考文献有り。(日本語訳無し) ナポレオン関係年表有り。
    たまたま、スウェーデン国王になったベルナドットについて
    調べているときに、巡り合った本です。
    時代と広い戦場を駆け巡り、国土を拡張し、皇帝となり、
    そして流刑先で亡くなったナポレオン。
    その姿を当時やその後の資料から探っていくのですが、
    まぁなんと敵の多いこと!
    国外はイギリスを筆頭の各国、王族中心の亡命者たち、法王。
    国内は王党派、ジャコバン派などの政治勢力。
    獅子身中の虫としての、配下の将軍や政権閣僚、親族までも。
    もちろん、タレイランとフウシェも登場します。
    更に、自らが抱える心身の状態まで。
    思えば、フランス革命余波の混乱期。
    彼に群がる敵味方も、雑多で支離滅裂。
    それらを巻き込み、嵐のように突っ走っていった人生。
    “ナポレオン”の実態を知る、読み応えのある内容でした。

  •  著者は,商工省に入省,戦後通産次官まで務めた異色のナポレオン研究家。いくつかのテーマ毎に,中立的観点からナポレオンの時代を記述。同時代の資料を多く引用し,バイアスのかかった後世の歴史観をなるたけ排除しようとつとめている。歴史を見る上で大切な視点だと思う。
     今からちょうど二百年前,絶頂だったナポレオンはスペインのお家騒動につけ込み,王冠を詐取(四月十四日),兄を王位につけてハプスブルクの影響を除こうとする。これが泥沼のゲリラ戦の発端となり,仏英西軍,地元ゲリラは無益で残虐な殺戮合戦にはまりこんでいく。ナポレオン没落の引き金はロシア遠征以前にひかれていた。
     世の中にはナポレオン礼賛の情報が多いが,このような暗部についても細大漏らさず収録。非常に読み応えがあった。

  • ナポレオンをその内外の敵を紹介することにより考察する本。
    個性的でパワフルなナポレオンを取り巻く人々がまたなんと個性的なことか。ナポレオン閣僚でありながら悪徳と不実と呼ばれた政治家タレイランとフーシェは、ナポレオンの足元を掬う隙を狙い、「天才同士が結ばれることは国家のため」とスタール夫人はナポレオンをストーカー、イギリスや王党派は何かと攻撃を仕掛け、なんといってもナポレオン自身が性格や病歴から躓いてばかり。
    まったくコレだけ内外に敵だらけでよくあそこまで出張れたもんだ。戦いの渦中の人物というのはここまでパワフルなんだと凄すぎです。

  • 欧州の歴史のなかで中世を抜け出し近代への転換期のナポレオンの存在というのは計り知れないくらい大きいようだ。しかし、肝心の彼の活躍すらよく知らない。ただ美化され部分だとか、逆に悲哀としての話など断片的にしか知らない。そんなときこのタイトルが目に入ったので思わず読んだ。マイナス面から読むのもよいかと思いながら読み進んだが、内容はそうでもない。いや、むしろなかなか本質的なことまで踏み込んであり読み応えアリ。

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