証言・核抑止の世紀: 科学と政治はこう動いた (朝日選書 655)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022597557

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  • 核兵器を独占していたアメリカが核拡散の種をまいていた。
    ドイツに迫害されていたユダヤ人たちが核兵器開発の先頭にたっていた。
    米ソが戦争をする場合、核戦争になるのは避けられなかった。だからといって、戦争の回避が外交の主要目的ではない。力による脅しを伴わないとすれば外交は不毛な状態になってしまう。
    アイゼンハワー政権が大量の戦術核を欧州に配備するに至ったのは、そもそも財政事情によるところが大きかった。
    冷戦の座標軸を作ったのは、米ソのイデオロギー対立だった。
    軍拡競争は軍備を増やしているのに安全保障は高まらないというジレンマを招く。
    米ソの核開発競争は不思議の国のアリスのような世界で、そこでは走り続けないと立ち止まったと同じ状態になるのだ。

    チェルノブイリがなかったら、レイキャビクはなかった。そしてレイキャビクがなかったら、核軍縮は進まなかっただろう。

    民主的制度の対応能力を超えるような速度で科学技術が進歩するとき、人類はどのように対応すればいいのか、それは核時代が突き付けた根源的な命題であり、21世紀を目の前にした今の人類はまだ対応策を手に入れてない。しかし、政治・科学複合体の民主化をあきらめたとき、市民革命以来培われてきた民主主義という歴史的価値にさえ、大きな風穴があいてしまうことになる。

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著者プロフィール

吉田 文彦(長崎大学核兵器廃絶研究センター 副センター長・教授)

「2018年 『核の脅威にどう対処すべきか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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