- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022598219
作品紹介・あらすじ
奸臣を誅滅し、天皇親政を実現しようと立ち上がった青年将校たち。昭和の忠臣蔵といわれる二・二六事件。従来、処罰の過酷さや裁判の政治性に隠されていた事件の真相が、新出裁判調書や供述をもとに、証言をつきあわせ、時系列で追ってみると、次第に明らかになっていく。本書は、まぼろしの存在だった事件の正式裁判記録を探し出し、発表してきた著者による、まさに「二・二六事件全事典」である。巻末付録として、二・二六事件の半年前の精神的先駆けとなった暗殺テロ、相沢事件の東京地検保管未公刊判決書を全文収載する。
感想・レビュー・書評
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天皇、国家、大義、革新など、大上段に構えた議論が多かった2.26事件について、改めて裁判記録に基づき検証している。
計画性も組織性も中途半端であったことなどがわかる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今の感覚からすると重要性について実感が沸かないが、奉勅命令がいかに重要であるかが良く分かる点で面白かった。
奉勅への不服従は統帥権への挑戦であり、多くの者が奉勅命令をめぐって最後までドラマチックに駆け引きを行った。
奉勅命令が天皇の意であることを考えれば、その命令は軍隊の存在意義、軍人のアイデンティティーを規定するものであるはず。
事実、大御心を信じての決起だったわけだが、奉勅ひとつでここまで押し合いへし合いをしたということは、天皇の軍隊という枠内で維新を目指したことに限界があったのだということを思う。 -
2010年2月19日
装幀/多田進
題字/多田順