中国の頭脳清華大学と北京大学 (朝日選書 802)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599025

作品紹介・あらすじ

2005年、世界のGDPランキングで中国はフランス、イギリスを抜いて第4位に浮上しようとしている。邁進する中国のパワーの背景には「科学発展観」という大きな目標があった。「科学発展観」とは国を発展させるためには、科学を発展させる、そのためには知識を高め勉学に励む、そしてその手段として外国を熟知する、という概念を含む。中国政府が掲げたこの目標の裏には清華大学、北京大学をはじめとする超"頭脳"集団を作りあげる教育構造があった。ひとりでも多くの優秀な頭脳を生み出すための教育システム。欧米の有名大学からヘッドハンティングされる学生たち。そして彼らの多くが欧米の頭脳ともなっていく…。「科学発展観」を支える中国の一流大学の実態とはいかなるものなのだろうか。現役の清華大学招聘教授が、中国の"頭脳"を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 中国否定書の読破が続いた趣きを変えて紐解いた本書。3章までは中国近代の知識人人名録のようで興味はひかないが、4章は○。中国エリート学生堅気も感得可。ただ、本書の愁眉は知中の著者による中国評。①中国は一枚岩でなくEUのような国家連合体、②清華大学の学生を欧米の著名大学がヘッドハンティングに(当然留学費用は欧米諸大学負担)、が、日本の大学生へは皆無か、③原子間力顕微鏡を学生が自前で製造し、研究対象分析のアヤを体得する独特の姿勢、④中国分析は時・所・誰・何を精密に前提として初めて可能。単純な一元化は分析に非ず。
    現代中国政治家として朱鎔基、胡錦濤の評伝も。2006年刊行。著者は創業支援推進機構理事長兼中国精華大学招聘教授。

  • 中国のエリート輩出校の『実力』がどれ程のものなのか、という事をこの本は示している。中国では受験戦争が過熱し、一流校への入学は相当なものだとは知っていたが、この本を読んで、自分の認識よりもさらに過酷な受験戦争がそこにあることを知った。
    また、その試験を潜り抜け無事清華大学/北京大学に合格した学生は、さらに大学でもハングリーさを発揮し、勉学にまい進する様子が描かれている。

    現役の大学生として、かなりこの本の内容はショックであり、もしこの本がおおむね正しいのなら、自らの通う大学との差を痛感させられた。
    特に「アメリカの大学から、直々にスカウトが来る」という事実に愕然とし、日本の大学でアメリカからスカウトに来るような大学があるかどうかを考えた時、かなり衝撃を受けた。

    ただ、筆者の二大エリート校に対する視点はかなりバイアスがあるように思える(持ちあげすぎな気がする)ので、鵜呑みにはしないほうが良いように思える。

    ただ、今通う大学と彼らの通う大学の差に愕然としたことで、彼らと張り合うには自分で何とかしなくちゃいけないという事に気がついた、この点だけでも良かったと思う。

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著者プロフィール

1945年2月、満州奉天市生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了、工学博士。旧ソ連モスクワ大学数理統計研究所遊学。(株)荏原製作所事業部長を経て、セイコー電子工業(株)へ招請され取締役CTO就任、関係会社数社の会社管掌役員兼務。’00年公益シンクタンク創業支援推進機構(ETT)を創設し理事長就任。この間、日本機械学会論文審査委員、通産省工業技術院大型国家プロジェクト作業部会長、新潟市長顧問(市政創造Adviser)など歴任

「2023年 『新装版 民度革命のすすめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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