ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617187

作品紹介・あらすじ

石油、レアメタルなど豊富な資源の眠るアフリカ大陸。急成長の裏で、経済格差は拡大し暴力の嵐が止まない。それは一体何故か?武装勢力や人身売買組織の首謀者インタビュー、内戦中のスーダン密入国など危険も顧みず敢行した取材による傑作ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 2019.02―読了

  • 舞台が2000年代前半ぐらいだからということもあるけど、古いものと現代的なものが混ざったような感じだった。
    これを読んでもまだ私には貧困が分からない。

  • 10年以上前に書かれた本であったが現状のアフリカを知りたいと言う気持ちが強くなった。

    これまでテレビなどで抽象的なイメージしか持てていなかったアフリカ大陸に対し、そこに存在する一つ一つの国ではそれぞれ深刻な問題が存在する。

    アパルトヘイトが崩壊したことは歴史の授業で習うが、それによって南アフリカの貧富の差が急激に広がり、富にアクセスするための手段として暴力が増大してしまった実情を知っている人はほとんどいない。

    先進国で生活する上で欠かすことができない石油や宝飾品、電子機器の使用がナイジェリアやコンゴの組織犯罪、土地の荒廃、貧困をもたらしていることを知っている人はほとんどいない。

    当たり前に政府が存在し法律、医療、警察など国家が成り立つ日本からして、暴力が暴力を生む無政府状態であるソマリアを想像することは到底できない。

    何よりこれらの惨状を生み出す原因は利権や覇権を狙う自己中心的な先進国であることが少なくないことをまざまざと見せられ、衝撃を覚えた。

    この問題を扱うにはあまりに大きすぎるし、何より自分という存在が小さすぎる。
    まずは自分のことから成し遂げていきたい。

  • 2020年2月に本書を読みましたが、本書は今から10年昔の闇の側面のアフリカレポートだったりする。

    10年が経過した現在のアフリカについてあまり詳しくないのですが、よりグローバル化が進み、テロ組織が暗躍し、気候が変化し、相変わらず酷い搾取が行われ...、明るい改善イメージを中々もてていないのが正直なところです。
    本書を読んだことをきっかけに現在のアフリカの本を数冊読んでみようかなと思いました。

    いつも思うのは、「教育」と「火器の撲滅」、この2つでしょうか。銃器は圧倒的な暴力で恐怖以外何物でもない、暴力を犯されたら憎悪が憎悪を生み出し、死ぬまでその恨みが消えることはないだろう。あとは教育と勉強、自発的にそれを意識して、その向上に努めることができ、自由に足を動かせる環境にいる自分は恵まれているんだなという気持ちになった。

    あとは”レアメタル”について、これが無いと最先端技術開発が成り立たないとなると早い者勝ち的な天然資源資源争奪がより深刻で最悪で、自然エネルギーと同じようなサステナビリティーな代替アイデアがガンガン誕生してくれればと思う!

    私はこういった現状に対して何かしているのか、また何ができるのだろうか...、考えてみよう...。

  • 著者は2004年からの4年間、ヨハネスブルクを拠点にサハラ以南を担当した毎日新聞特派員です。南ア、モザンビーク、ナイジェリア、コンゴ(旧ザイール)、スーダン、ソマリアを取材し、暴力や内戦、そしてその背景にある資源の問題、そして資源を通して我々がアフリカの暴力にいかに関わっているのかが赤裸々に語られます。
    しかし、単なる事実の羅列ではなく、紛争地帯に乗り込んで、危険を顧みず暴力の当事者に取材するリアルな姿が迫力満点です。
    アフリカという遠い国々の暴力が、我々の日常に結びついている。アフリカがぐっと身近になるとともに、自分が暴力の当事者ではないのに、実は関係者である事実におののくのです。

  • 以前「blood diamond」というDVDを観た。極めて現実に近く、観ておくべきと言われたからだ。内容はその名の通り、ダイアモンドというお金を生む資源をめぐる争いで、資本主義の名の下に人生を翻弄された人たちの物語だ。内戦、虐殺、レイプ…。アフリカに対するイメージとして、血で血を洗う暴力の連鎖というのを植え付けるには十分だった。その前は「Darwin's nightmare」というたしかビクトリア湖に棲む、金を生む外来魚に人生を狂わせられ、どうしようもない貧困の連鎖に巻き込まれた人たちのルポルタージュの映画だった。
    本書の内容もそこ期待を裏切ることなく、内戦、犯罪、貧困。それに加え政治経済の実態、武装組織の資金源、そこに到る経緯の歴史的背景などを著者が命を削るような取材から得た情報で記されいる。
    特に、賄賂で国境を簡単に越えれたり、犯罪を見逃してもらえたりすることには、一体法律とは誰のための何のためのものなのかと思ってしまう。法律を守っていては生きていけないのならば、その法の恩恵は誰が受けているのかと思う。一部の特権階級だけなのか。しかし、公務員には賄賂なしで生活できるだけの十分な給与を与えねば、秩序がなくなるのは間違いなさそうだ。資本至上主義のような現実を見るようで恐かった。
    印象に残っているワードがいくつかあって、「金持ちは貧乏人のことを何も知らないが、貧乏人は金持ちの生活のすべてを見ている」「格差が拡大すると犯罪などの"暴力"が増える」これはアフリカでは強盗等犯罪につながりやすいが、その「妬み」や「不満」「劣等感」の表現方法は国によって現れ方が異なるとぼくも思う。日本においては著者の指摘する通り、ネットでの言葉の暴力であったり、いじめ、さらには自殺という形で現れているのではないかと思う。
    そして、アフリカでは巨大な格差から生じる絶望や憎悪が犯罪となって社会に染み出し、結局は富裕層の暮らしをも根底から脅かす事態となっている。産油国ナイジェリアの犯罪組織は世界を蝕み、無政府国家ソマリアの混乱は海賊の出没という形で国際社会を揺さぶっている。カネがものを言う世界を考え直すべき時期がまさに今なのではないかと思う。すべては周りまわって、何らかのカタチで返ってくる。そんな風に感じてならない。
    最後に、自身が犯罪の被害に遭って恐い思いをしたにも関わらず、著者のアフリカでの任期が終わり帰国時に「日本に帰りたくない」と長女に言わせたアフリカの魅力に興味を持った。少しアフリカとの距離が縮まった、そんな気がした。

  • 読みやすい。データも細かすぎず、各国、三ヶ月にも渡る長い取材をうまくまとめてある。
    取材で大変だったことも多かったと思うが、そのような細かく具体的なことが省かれていた。
    そのリアルさを代償に、ルポにありがちな冗長性や筋の曖昧さもなく、各国を概観しやすくなっている。
    また、その国の事情に関係する他の国にも取材に行きグローバルなつながりをきちんと見せているあたり、
    (取材費と自由度の面で)流石NHK。

  • アフリカ大陸における暴力と犯罪、それに於ける資源の利用への構図
    読んでいて暗澹たる気持ちになるが、アフリカの状態を知ることが出来る

  • アフリカといっても、それぞれの国で問題とその原因が様々にある。異常な格差、人種差別、民族の歴史的な軋轢、官憲の腐敗、さらには先進国の資源開発も治安の悪化を助長しているケースもある。
    本を読んだあと、分かった気になったり、単純化してしまうことがあるが、この本を読むと複雑さを認識してもっと勉強する必要があると気づかされる。
    日本で生活していても、資源・暴力を通じてアフリカとつながっている。知らなければいけないことがたくさんあるな。

  • いつか最新版が出てほしい。

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著者プロフィール

1970年生まれ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社でヨハネスブルク特派員、ワシントン特派員などを歴任。2014年に三井物産戦略研究所に移り、欧露中東アフリカ室長などを経て、2018年から立命館大学国際関係学部教授。『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄』(東洋経済新報社と朝日文庫)で2010年の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞。著書に『日本人のためのアフリカ入門』『アフリカを見る アフリカから見る』(以上、ちくま新書)、『はじめてのニュース・リテラシー』(ちくまプリマー新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授を兼任。

「2021年 『はじめてのニュース・リテラシー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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