希望の資本論 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022618634

作品紹介・あらすじ

行き詰まりを見せる資本主義。先の見通しが持てない不安な時代をどう生きるか-。資本主義に対する異議申し立てを行うには、まず資本主義の内在的論理を知らなくてはならない。そのための最強の武器として、マルクスの『資本論』を読もう。巻末にブックガイドも収録。

感想・レビュー・書評

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  •  労働のコモディティ化、教育格差の問題は間違いなく存在する。各所で指摘されているとおりだ。

     これに対して反知性主義は論外として、二つの論陣が張られているように思う。
     
     第一は資本主義の論理に飲み込まれないよう自己啓発、もしくは独立するというもの。これは個々人の能力による。

     第二は日本社会全体の改善に向けて社会、政治を変えていこうというもの。

     本書では後者の論陣を張る。反知性主義に陥らず、資本主義の構造を知るの重要性を説く。

     かつて大学の経済学はマルクス経済学の講座もあったが、現在でマルクス主義は時代遅れと考えられてきた。

     しかし、リーマンショックが起こり、これってマルクスの資本論じゃね?という再評価され始めている。

     本書では池上彰、佐藤優により反知性主義に立ち向かいつつ、どのように社会をよくしていくかの対談集だ。


     最後には「『資本論』を読もう!」で締めくくられるのだが、普通の読書家で読み下すのに三ヶ月かかるという。

     げぇ!

     というわけで、次に池上彰の「高校生からわかる『資本論』」読むことで勘弁してほしい。

  • 池上さんがマル経を勉強していたこと、慶応でマル経やることgsできたんだ、ということに驚く。

  • 佐藤氏の知力に脱帽!
    それを受ける池上彰もすごい。単なる物知りおじさんではありません。
    それにしても中味は難しすぎてちんぷんかんぷんでした。

  • マルクス『資本論』が説いている内容を手がかりに、日本国内や世界の情勢を推し量っていく。対談している両者のトークがあまりに濃すぎて、一読しただけでは飲み込みきれないインテリジェンスの凝縮感。これは<汗をかきながら読む>トレーニングということか。いずれ再挑戦する。

  • [図書館]
    読了:2018/3/24

    池上さんも佐藤さんも資本論の論理が内在している、という。左翼の活動とか嫌われっぷりとか肌で感じた世代ではないせいか労農派とか講座派のところはちんぷんかんぷんではあった。もう一度かじりつく気持ちで読み直したい。資本論もきちんと読みたい。3ヶ月で読めと。それ以上かかると内容を忘れるので…。
    あと牙を研げと同じだがあとがきのほうが内容が濃い気がする。

    p.93 マルクスの『資本論』で重要なのは、結局価値を創り出しているのは労働力だけなんだという「労働価値説」です。これはピケティ氏にもなく、いまの主流派経済学にもない。ただ、「労働力商品化」という形で説明したほうが、整合的に世の中を説明できるというのがマルクス経済学の考え方です。

    p. 151 安倍政権という現象は、反知性主義の蔓延と関係しています。反知性主義者は知性を憎んでいる。だから、知性の言葉が通らない。それで、自分たちの心情と政策をストレートにつなげてしまう。「つべこべ言うな」というメンタリティで政治をやっている。そして、官僚たちはそれが怖いから触らないというようになっている。これを脱構築するのはなかなか大変です。
    → あー、安倍さんたちとその支持者に感じるモヤモヤを的確に言い表してくれた感じがする。

  • 対話形式なので分かりやすい。読めば『資本論』に興味が湧くと思う。『教育勅語』と同じく『資本論』にも偏見があり、今、きちんと読み直されてもおかしくないと思う。

  • https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90321924

    まかり間違っても、『資本論』なんて読んではいけませんよ。だけど、何でみんなが『資本論』が大切だと考えているのかは、知ってきましょう。
    あの池上さんが、あの『資本論』への、まさかの熱い思いを語りつくす!
    宇野弘蔵『資本論に学ぶ』(ちくま文庫)、柄谷行人『マルクスその可能性の中心』(講談社学術文庫)なんかも、『資本論』を重要性を押し広げてくれます。
    絶ッッッッ対に『資本論』なぞ、読んではいけませんよ。

    (推薦者:行政政策学類 新藤 雄介先生)

  • トマ・ピケティの『21世紀の資本』が世界的なベストセラーとなる中、改めて資本主義のメカニズムを批判的に分析したマルクス=エンゲルスの『資本論』の持つ意義について、池上彰と佐藤優が語り合っています。

    日本特殊論と世界システム論を対置し、前者を「講座派的」、後者を「労農派的」と呼ぶ佐藤の視点は新鮮に感じたのですが、これを文化論と文明論という対立に置き換えてみると、やや偏りのある視点からなされた分類のようにも思えてきます。

    あるいは、佐藤の知的バックグラウンドにはマルクス主義と同時にナショナリズムがあることも考え合わせるならば、こうした分類が現代の国際政治を読み解く上で重要な機軸をなしているという彼の考えも理解できなくはないのですが、やはり講座派と労農派の対立は、近現代日本思想史の中で捉えるのが正しいように思えます。むろんこうした見方は、佐藤の分類で言えば「講座派的」ということになるのでしょう。もっとも私自身は、文明論的な議論はどうしても大風呂敷に見えてしまって仕方がないという人間なので、佐藤や池上のようにアクチュアルな国際政治の動きを俯瞰しようといった関心はほとんど持ち合わせていないせいで、上のような違和感を抱くのかもしれません。

  • 読者には、テキストを誤読する権利がある

  • 今の私にはハードルが高かったかな。資本論についてある程度知識を持っていれば面白いのかもね。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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