美人論 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022619037

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】明治期の「美人罪悪論」から昨今の「誰でも美人になれる」へ、180度転回した美人をめぐるレトリック。「ブス」はタブーなのか? 面食いは愚かなのか? あえて容姿についてことあげし、発売当時賛否両論の大論争を巻き起こした問題の書、復刊!

感想・レビュー・書評

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  • 卒業面、表情の言葉の発生
    資料多すぎ….って思ったけど、フェミ対策ってあって笑った

  • 「卒業面」という言葉のインパクトよ…。
    「ルッキズム」という言葉が浸透しつつある現代でも顔のことを言われるのは女性ばかり。
    男性に対しても顔の美醜を問われることはあるけど女性ほどではない。

    以前『家ついて行ってイイですか』というTV番組を観ていたところ、スタイリストの女性が、
    「この番組は女性が出ると必ず《美人○○(職業)》ってキャプションを付けるが、自分はそうしないでほしい。普通にスタイリストと紹介してほしい。」
    と言っていて今までモヤッとしながら観てたけどスタイリストの女性にありがとう〜という気持ちになったことを思い出した。

    あと、巻末エッセイのU.Cさんの意趣返しに笑ってしまった?

  • 中々面白い。
    不美人を擁護する為に修身などでは美人を鼻もちならないと貶して貶めていた明治時代。美人は女学校で見染められどんどん嫁いで行き、卒業できるのは不美人の卒業面のみ。カッチリした階級制度を美人が飛び越えていくのが面白くなかったのだろう。
    戦争を挟み、美人の幅は広がっていったが、美人は高学歴にはいないなどの偏見は続く。

    美人の種類はたくさんあっても不美人の種類はまさにブスだけ。かわいいブスもいなければ冷たいブスもいない、南国のブスもいなければ、秋田ブスもいない。ただ十把一絡げにブとスの2つの文字で構成された言葉で大胆に評価されてしまう。笑

    美人は3日で飽きるという言葉がある。だが美人を連れていることで同性からねたまれる快感は長く続く。そう簡単には飽きない。自分が男たちの嫉妬と怨嗟の的になることで味わえる優越感。

    女が美しいのは女性の当然の権利であってごく自然なこと。女の魅力は女性自身の成長のためにある。だから安心してもっと美しくなる工夫をしましょう。女性であることを誇ってください。

    美人の定義を1つだけにすればどうなるか。このタイプからずれた女は美人になる可能性がなくなってしまう。当然美人になろうとする意欲も湧いて来なくなる。美容業界の売り上げを伸ばすためにはできるだけたくさんの女に美人になるための努力をさせなければマーケットの拡大はありえない。様々な美人像を作るために〇〇でも美人になりうるというストーリーを強調しなければならない。情報操作だ。要するに美人の定義が広ければ広いほど業界の成長につながると言う寸法だ。
    なるほどそういう繋がりもあったか。

  • 美人の論じ方を論じた本。徹底的に調べ尽くして、違和感の裏側に流れてきたメカニズムを指摘する。こういうことを言いたいのかなと思って読んでいると、その先を行き、ひっくり返して、さらに別角度から執拗に攻めてくる。
    そして、著者は論の外側でニヤニヤしている感じがする。あとがきや巻末エッセイまで気が抜けない。この知性に脱帽。たまらなく好きな本に出会った。

  • 途中でやめた

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著者プロフィール

建築史家、風俗史研究者。国際日本文化研究センター所長。1955年、京都市生まれ。京都大学工学部建築学科卒業、同大学院修士課程修了。『つくられた桂離宮神話』でサントリー学芸賞、『南蛮幻想』で芸術選奨文部大臣賞、『京都ぎらい』で新書大賞2016を受賞。著書に『霊柩車の誕生』『美人論』『日本人とキリスト教』『阪神タイガースの正体』『パンツが見える。』『日本の醜さについて』『大阪的』『プロレスまみれ』『ふんどしニッポン』など多数。

「2023年 『海の向こうでニッポンは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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