- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022643742
感想・レビュー・書評
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王敏 「謝々 宮沢賢治 」
宮沢賢治を中心に 著者の自伝、日本人論、中国人思想を展開。賢治作品に出てくる 猫と鼠にこめられた 賢治のメッセージについての論評は 面白かった。
著者にとっての 宮沢賢治の魅力は
*宮沢賢治の人生探求の姿勢〜永久の未完成が完成である
*小さな心の種子=祈り→憎まない世界、敵を殺さない世界
*人間は 全ての動物、全ての植物と共生〜自然無為の原点へ
猫と鼠〜人間の目に付きやすい動物
*猫と鼠の姿を通して 人間の醜さを描いた〜調和を強調し 無知をなくす
*生物と生物、生物と自然が相互の立場を確認し 共生共存の共同体を守る→人間の限界を考え、それを超えることにより 共存可能
日本人論
*日本人の日常生活の中で 自然と風土を愛する心(愛着)
*中国文化をはじめ外国文化は 日本人の愛着に吸収されてしまう
*愛着は いったん受け入れた文明自然性に 引き戻す白紙還元能力
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中国文化大革命末期に大学生時代をすごした猛烈で生真面目な勉強家が日本語を専攻し、宮沢賢治の「雨ニモマケズ〜」に出会ってショックを受けた話。どんだけ勉強家なんだ、と怠惰な現代っ子は思ってしまう。明治期とかに必死こいて勉学に励んだ人間よりもすごいのでは?と思ってしまう。確立が…25万人に一人とか、13億人中の片手で数えられる初めての留学生とか。宮沢賢治についてはよたかの星と雨ニモ〜がお好きな様子。宮沢賢治の研究家でいらっしゃるので専門的に考察しておられるところは難しく、分からなかった(コレでも国立四年大学文学専攻コース)。中国古典とつき合わせて、宮沢賢治は古代思想家と同じようなことを言ってるんだというところは面白かった。エッセイ部分は大革命期って浮き沈みが極端だな、日本に生まれてよかったと思うが、専門的な論文箇所と半々ぐらいでもう少しエッセイ箇所が多かったらよかった。