f植物園の巣穴 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1778
感想 : 190
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646675

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な世界に迷い込んだ感覚と哲学じみて理解できないようでいて何か自分が高尚になったような勘違いで分かった気になる。記憶が蘇り忘れていた辛い過去から立ち直った時家庭が上手くいき続巻に繋がる。
    西の魔女が死んだがすごく心に残り裏庭で挫折した。自分の頭では理解できない本が多々あるのに何故か気になる作家で、今回の本も理解できなかったのに完読しなくてはという強迫観念みたいにとらわられる。
    自分にとって不思議な作家。

  • 心がザワザワしているときに読んで、しんしんと鎮まってきた本。

    異界譚、夢の中のような話。
    どこから夢でどこから現実なのか、読み終わって、あああそこからか、と思う。
    異界の描き方の、イメージや、夢の中で論理的ではなくても本人は論理的だと思っているのだろう思考の描き方が秀逸で、私も眠って夢を見ているようだった。
    この表現力と文章には憧れる。

  • 久々に再読。梨木さんのたくさんの作品の中でも「家守綺譚」系統の植物と不思議が絡むお話。
    最初は話の流れも途切れがちで次々に荒唐無稽な展開が続くと思われる中で、徐々に歯に空いた穴、木のうろ、白木蓮を失った後の穴…植物園職員である主人公の心に空いた穴の中をのぞきこみ、失われたものを自ら発見し、よどんでしまった「川」を流れるようにする、という芯が分かるようになる。
    「ここは、過去と現在がみんないっしょくたに詰まっているのだ」理屈の通じない世界で、これが自分の心の問題であることをやがて主人公は悟るのだ。
    人生で抱え込んできた淀みに対して、はっきりした問題を現実的に解決するとかではなく、ただあの時の気持ちともう一度向き合い、見つめて、そうであることを許す…そのうえであらためて抱えていけばよい、流れていればいい、というのが梨木さんらしくて好き。乳歯が抜ける、という解放の合図もいかにもという感じ。「裏庭」の礼砲のようだ。読むとすっきりする。

  • 椿宿、のを読んでからの読み直し。最初に読んだ時はこの世界に入りきれなかったが、今回は面白く読めた。

  • 設定が大正時代あたりだということに気づいてからはすうと物語に入って行けた。徐々に明らかになる事実が心に響く。

  • 梨木さんの世界を淡々と堪能できる作品です。さりげなく、「椿宿の辺りに」に繋がっていきます。そちらを合わせて読むと最高です。

  • 降り積もった時間と向き合い、ひとつひとつ紐解いていくという少し変わったお話。叙述ミステリのようでもあります。
    何と言っても、梨木さんの手にかかればこうも植物が生き生きと感情を持つのかと感動。

  • 迷い込む気持ちになる本です!一人でずーんと浸りたいときおすすめ。

  • 解説に非常に共感した。そう、語り手と一緒に読者も頭を抱えるよね…話が散漫になるのかと思いきや、「カエル小僧」との交流、その成長、名前を与える場面は感動的でさえあるという…。
    本当に、最初は五里霧中を彷徨うようであったけれど、最後まで読んで、ああ、そういう話だったのか…と思うともう一度読み返したくなる。そうすると数々の伏線に、語り手の語りに上塗りされているその底にある本当の気持ちが見えてくる。

    語り手が向き合わぬものは読み手にも要領を得ない、語り手が向き合った時に初めて世界がそれと知れる、それもまた小説だと思う。

    いや本当に、その者に自分の名字、自分と一文字を共有する名前「佐田道彦」を与える場面はぶわっと涙が出た。

  • てっきり植物ほのぼの日記のようなていかと思いきやミステリーというかホラーというか。夢うつつの夢遊感の中進む物語。やっぱり梨木香歩さんと植物の相性バツグン。

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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