夜の声を聴く (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版
3.55
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本棚登録 : 532
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649652

作品紹介・あらすじ

優秀でありすぎるが故に引きこもりとなった18歳の堤隆太の前で、突然手首を切った女性。その魅力に惹かれるがままに、隆太は彼女の通う定時制高校・通称ハル高に通い始める。彼は高校で知り合った大吾が働く「月世界」というリサイクルショップの手伝いを始めるが、そこは「よろず相談」を受け付けていた。他愛もない疑問を解決していくうち、隆太は数年前に起きた未解決の一家殺人事件の謎に巻き込まれていく。青春小説から一転して、驚愕のストーリーに姿を変える、書き下ろしミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 中学の頃から引きこもりになった隆太。一人の女性との出会いがきっかけで定時制高校へ通うことになる。いろいろな人との触れ合いが、自分を見直していくことになる。ミステリ仕立てではあるけれど、きっかけがあれば世界は変わる青春の強さが描かれていました。「知るということから物事は動く。いいことばかりじゃないかもしれない。それでも知らないでいたら学べない。前に進めない。」辛い真実でも知ることで強くなり進んでいけるんだなと思います。

  • 表紙からホラー要素を期待していたので少々残念。定時制高校の重要性について少しくどかったように思う。途中で飽きて読了まで何日もかかったのに結末はあっけなく。。。

  • 公園で、自分の目の前で女性が、リストカットし、その切ったカッターナイフを渡される。
    彼女とのそんな出会いから引きこもり生活をしていた少年は、彼女の通う定時制高校に進学する。その学校で知り合った同級生の男の子と、幾つかのミステリーを解決しながら、最後は、その男の子が巻き込まれた一家殺人事件の解決という大きな流れになる。
    参考文献からもわかる様に、ちょっと変わったミステリ解決もあり、工夫されているなと思う。そして、引きこもりだった少年や殺人事件の生き残りの少年、リストカットがやめられない少女が、それでも、毎日通学する定時制高校とそれを支える先生との青春の一年のお話でもあるかな。

    • 1Q84O1さん
      宇佐美さんを読んでると、「おびのりさんとは一緒にしないで!」って言いながらもひまわり師匠がそっと追いかけて来ますよw
      後ろを振り返ってみてく...
      宇佐美さんを読んでると、「おびのりさんとは一緒にしないで!」って言いながらもひまわり師匠がそっと追いかけて来ますよw
      後ろを振り返ってみてください!
      もう、いるかもw
      2023/05/03
    • おびのりさん
      おやすみですか?どこも混んでますね。私は、引きこもってます。
      そうそう、時々、重なるひまわり師匠との本棚。でも基本的には、好みが違うんですよ...
      おやすみですか?どこも混んでますね。私は、引きこもってます。
      そうそう、時々、重なるひまわり師匠との本棚。でも基本的には、好みが違うんですよね。お互い多読派だからね。読み方が似ているところがあるのが、困るところ。^_^
      2023/05/04
    • 1Q84O1さん
      残念ながら仕事です…
      しかも、普段より忙しいです…
      引きこもりたいです٩(๑´0`๑)۶
      読み方が似ているところが困る…、笑っちゃいましたw...
      残念ながら仕事です…
      しかも、普段より忙しいです…
      引きこもりたいです٩(๑´0`๑)۶
      読み方が似ているところが困る…、笑っちゃいましたwww
      2023/05/04
  • 以前に著者の作品を高く評価したので、Amazonでも評判の良い文庫をチョイス。これは今ひとつ。ちょっと変わった少年が周囲のはみ出しものたちと協力して、事件を解決するんだけど。あまりにベタな進行、変人ばかりの登場人物、意外性のない犯人、すべて残念。

  • 出だしこそ衝撃的だけど、人との関係に意味を見いだせず、家に引きこもっていた隆太が、定時制高校に通い、人は見た目ではわからない部分があり、本で見て知っていると思ったことも実際には違って見えたりと経験を重ねて成長していく話。
    多分ウリのポイントはミステリの方なのだろうけど、この作品はミステリとしての完成度よりも成長譚としての方が良いと思う。

    定時制高校で知り合った大吾は、リサイクルショップ兼何でも屋で住み込みで働いている。
    少しずつ明かされた大吾の過去。
    それは幼少期に家族全員を惨殺された、たった一人の生き残りだというものだった。
    それに比べれば母に愛されなかった自分など…。

    何でも屋に持ち込まれる小さな仕事に伴う小さな謎。
    それを解決していくことで繋がっていく一つの大きな謎。
    これが、割とわかってしまうのだ。
    ああ、音響で11年で…って。

    もちろんそれは単純な繫がりではないけれど、「ここ大事」ってフラグが立ってしまっている。
    だから私は、ミステリと言うより成長譚として読みました。
    登場人物たちそれぞれの止まっていた時間が動き出した、という意味では、大人も救われているわけだし、読後感も悪くない。
    ただ、大吾にとって世間はいったい何だったのか?
    その後の彼は、過去を思い出して懐かしむことはなかったのだろうか。

    それから、最初のリストカットの後、主人公が小学生の時に後者の3階から飛び降りたこと、リストカットした百合子の叔父の飛び降り自殺、依頼人の血のつながらない息子が屋根から落ちたことなど、やけに落下事件・事故が多いので、何かの布石かと思ったけど違ったね。

  • リサイクルショップ「月世界」には七十代の野口タカエと、全く血縁関係がない大吾が二人で暮らしている。

    その店に時折持ち込まれる奇妙な相談事。
    主人公の堤隆太は、二人と共に事件を解決して行く。

    前半は軽い推理小説の体を成しているが、読み進めるに連れ夜の闇が深く濃く変化し終盤はその表情が一変する。

    一見関係ないと思っていた事件から点と点が繋がり1本の線になった瞬間、11年前に起きた一家殺人事件の真相が明らかになる。

    理不尽さと哀しみ、歪んで伝えられる報道、やり切れなさに胸が詰まる。

    夜明けを感じるラストにようやく安堵した。

  • この作者さんは地の文が良い。
    どんどん引き込まれるミステリーではなかったけど安心して読んでいられる。

    本格的なミステリーとして読めばかなり薄味だと思う。ただ人の微妙な感情や環境で事件が複雑で厄介なものになっていく。

    人間関係の面倒さがよく描かれていると感じた。
    そこに「月世界」の面々が拗れた関係をほぐしていく。
    その過程が探偵事務所とも秘密基地とでも言えるような妙な高揚感を出してくれる。

    冒頭の主人公がどんな気持ちで古巣を訪れたのか。読み終わった後、よい意味で裏切られた気がしました。

  • 前に読んだこの作家の本がとても良かったから期待して読んだ。文体は読みやすく、ストーリーテラーとしてのうまさはあったが、でも期待ほどではなかった。

    一番の謎が、主人公がそこまで女性に惹かれた理由が良く分からなかった事で、ここが引っ掛かってしまい感情移入できなかった。とは言えどのエピソードもミステリー要素があったり切なかったりで、それなりに面白かった。

    思い出と今が交差するちょっと不思議なシーンは綺麗。

  • 「手首切る」ってのが、個人的にすごく嫌。

  • ディアトロフ峠事件ってそういうことだと推測されているのか、と思いました。参考文献を読もうかと思いました。

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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