そして、海の泡になる (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 140
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022651327

作品紹介・あらすじ

バブル絶頂期の1990年、個人として史上最高額4300億円の負債を抱え自己破産した朝比奈ハル。平成が終わる年、彼女はひっそりと獄死した。彼女のことを小説に書こうと決めた私は関係者に聞き取りを始める──。解説・芦沢央。

感想・レビュー・書評

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  • 葉真中顕『そして、海の泡になる』朝日文庫。

    バブル時代に北浜の天才相場師と言われていた稀代の詐欺師、尾上縫をモデルにした作品。

    実在の人物をモデルにミステリーの味付けをしながら、あの狂乱のバブル期を頂点に華々しく生きながら、やがて崩壊していく人生にあがらうことの出来なかった天才女詐欺師の朝比奈ハル。誰が朝比奈ハルを陰で支えながらその望みを叶えていたのか。この物語の語り手である『私』の正体は何者なのか。

    登場人物たちの証言から断片的な情報をつなぎ合わせて、朝比奈ハルの人物像を創り上げるのは読者に任されているようだ。しかし、それにも限界があり、もう少し朝比奈ハルの詐欺師としての手腕や手を染めた犯罪をつぶさに描いてくれた方が面白かっのではと思う。


    バブル絶頂期の1990年、個人として史上最高額4,300億円もの負債を抱え自己破産した北浜の魔女と呼ばれた朝比奈ハル。平成が終わる年に朝比奈ハルはひっそりと獄死する。彼女のことを小説に書こうと決めた物語の語り手である『私』は朝比奈ハルの関係者に聴き取りを始める。

    朝比奈ハルと獄中で知り合った宇佐原陽菜、ハルの幼馴染の植芝甚平、かつてハルと働いた高田峰子、ハルの隠し子と言われる瀬川益臣、その他、進藤紫、河内靖、名村敏哉らが朝比奈ハルの人生を語る。

    本体価格760円
    ★★★

  • バブルの時代、最高額の負債を抱えて自己破産した朝比奈ハル。そんな負債額になるまで貸し付けた銀行があったのかと思う。

    なぜ?彼女の思いは?周りの人や銀行は?
    これも人の生き方の一つなのかもしれない。私にはムリだと思うけど…

  • モデルになった人のことを何も知らなかったから、面白かった。
    女が相場とか、情勢をちゃんと読んだ上で判断してるって言っても信じてもらえないから、"ウミウシ様"のお告げってことにしたっていうのは、今の時代でもあると思う。
    でも、最後の最後でああ書かれてしまうと、何のために読んだのか?ってなるな…

  • インタビュー形式で書かれた本で読むのが少し難しかったですが、今を生きる人に何かを訴えかけてくる作品でした。

    私がこの本を読んで感じたのは盲信することの怖さです。登場人物の殆どが何かに盲信的になっていて、そしてその先には必ず終わりが来ている。

    小さな物を信じたら不安定で早めに終わりがきて、大きな物を信じ途中までは煌びやかだけどいつかは終わりそしてそのことは幸せとは言えない。この事から結局幸せとはどんな状態の事を言うのか考えさせられました。 

    私は幸せは他者や外部からではなく内面から見出し自己完結できるものではないのかなとこの作品を読んで改めて思いました。

  • んーーーーって感じ笑
    時代区分とか、自由とかお金とかそれに合わせての幸福感とかについて書かれてて面白かったけど、
    なんか読みにくかった、

  • 戦前、戦後、バブルから崩壊と、一人の女性の壮大な人生物語でした。
    現実にありそうな話だと思って読んでいたら、巻末の解説でモデルになった人が居たとのこと。幸せは人それぞれ、人の数だけあるんでしょうね。

  • サクサク、読めました。こんな人が実在していたのですね。
    寂しい人生だなあと感じた。

  • かつて大阪ミナミの千日前にあった料亭の女将で、天才投資家とよばれた尾上縫をモデルにした物語。話は日本の敗戦から始まり、朝鮮戦争特需、戦後復興、オリンピック、万博、プラザ合意、バブル、バブル崩壊と日本経済に合わせたジェットコースターのように主人公の人生は急展開する。求めたのは女の独立、幸せなのか?
    小説を書くための取材ノートの形式で語られる。
    面白い。

  • 2023.12.08.購入済み
    2023.12.23.読了。秒で読了。
    葉真中さんの小説、大好きです。
    そして今回もやってくれました。
    バブル期に個人として史上最高額の負債を抱え、自己破産し、獄中死した実在の人物、尾上縫をモデルにした物語。
    読了後改めて、尾上縫についてネット検索してみて、この様な人物が実在したことや当時のデタラメな金融業界の仕組みに驚かされた。

    内容がとても興味深く、おもしろく、ページを捲る手を止められなかった。文句なしの星5つ!

    本編もさることながら、芦沢央氏の解説もとてもよかった。納得の逸品‼︎

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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