田中角栄の昭和 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733443

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    田中角栄とは、いったい何者だったのか?
    時代によってつくられ、時代をつくりかえた政治家。
    大衆の欲望を充足させた、悲しき代弁者。
    死したのちにも強力な「遺伝子」を残した絶対権力者―。
    昭和史研究の第一人者が異能宰相の軌跡を検証し、歴史のなかに正しく刻印する。

    [ 目次 ]
    序章 記憶のなかの指導者
    第1章 戦わざる兵士の原風景
    第2章 新世代の登場と挫折
    第3章 権謀術数の渦中で
    第4章 庶民宰相への道
    第5章 田中内閣の歴史的功罪
    第6章 落城、そして院政の日々へ
    終章 田中政治の終焉とその残像

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    [ 参考となる書評 ]

  • 通常の新書の倍のボリューム、時代感の動きの濃密さもあり読み終わるのに時間がかかった。金権政治の一面でみれば「金庫番」の役割と存在感がとても気になるところだった。

  •  昭和史の権威である保坂正康氏の田中角栄評伝です。

     田中角栄には政策はなく、政争に勝つノウハウと燃料(カネ)だけは豊富にあった、と。

     カネにつながらない仕事には例え大臣職であったとしても興味を示さず、ひたすらカネを作り、カネをばらまき、権力を維持した。

     その点では20代で代議士になったころから一貫している、とします。

     こういうスタイルがアメリカからうとまれ、ロッキード裁判で有罪判決を受ける遠因となったのでしょう。

     詳細な取材に基づく大部のノンフィクションです。

  • 昭和史にかなりの影響力を持つ田中角栄を通しての政治と人間ドラマ、今話題の小沢一郎の行動の原点が見えてくる。政治の好きな人の必読書。

  • 田中さんは自分の軍隊体験を国名に話していないし、書いてもない。戦争なんかで死ねるか、と思っていた田中は決して日本を軍国主義にしない、それだけは断言できる。
    日本の首相でもっとも対米貢献したのは田中角栄。日本研究のためにアメリカの大学に奨学金を出した。いずれ彼らが田中を評価するだろう。
    田中は大日本帝国が崩壊したという虚脱感もなければ、国家の行く末を案じるという思想的、鉄学的な悩みも持っていなかった。自らの利益に忠実であるという確固とした信念だけをもって、田中は生きていた。
    田中ですら、最初の選挙では落選している。
    田中の同期は中曽根、鈴木善幸。
    田中は国を動かす要ともいえる大蔵省の人脈図を池田を通して、常に確認していたことになる。田中は官僚の不得手を理解していた。それは言葉の使い方が下手ということ。田中は10代半ばから社会に出て辛酸をなめていたがゆえに、田中が言葉を武器として用いていくのはそのことを自覚していたから。
    田中は、権力よくに加えて金銭よくが人間そのものの弱点になるということをよく理解していた。
    田中角栄という人はよくも悪くも、戦後日本を体現したシンボル的存在だった。田中の成金的成功は、戦後日本の成金的成功の反映であった。
    国民の欲望そのものを田中は代弁していた。信念や理念より目に見え手にとることのできるカネやモノに新らを寄せる国民の心理的、文化的レベルを田中は正直に私たちに見せつけた。

  • 庶民宰相として大衆の圧倒的な人気を背景に総理大臣に就任した田中角栄。日中国交回復へのイニシアチブをとる等、就任当初は大きな業績を残したが、結局はロッキード事件・金権問題を理由に首相を辞任。その後も、政界に隠然たる影響力を持ち続けたが、二度と表舞台には登場しないまま、失意のまま死亡。田中角栄が首相になったのは1972年。もちろん記憶には残っているが、まだほとんど子供だったので、どういう登場の仕方をしたか、等の詳細はほとんど覚えていない。失脚に至るその後の動きも、詳細には覚えていない。今回、あらためて本で読んでみて分かったのは、田中角栄の表舞台での全盛期は、首相になるまで、あるいは、首相になった直後までであり、その後は、本当に坂道をころがり落ちるように大衆的な人気を失っていったということだ。何を意味しているかというと、結局、田中角栄という人物は、有能な実業家・有能なフィクサーであったかもしれないけれども、政治家としては有能ではなかった、ということではないだろうか。

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著者プロフィール

1939年生まれ。同志社大学卒業。ノンフィクション作家。とくに昭和期の軍事主導体制についての論考が多い。

「2022年 『時代の反逆者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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