地方にこもる若者たち 都会と田舎の間に出現した新しい社会 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2013年6月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022735065
作品紹介・あらすじ
【社会科学/社会】若者はいつから東京を目指さなくなったのか? 田舎と東京の間に出現した地方都市の魅力とは? 若者が現在に感じている満足と将来への不安とは? 気鋭の社会学者が岡山での社会調査などをもとに、地方から若者と社会を捉え直した新しい日本論。
感想・レビュー・書評
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若者の職業意識について知る
仕事と余暇
日常プラスアルファが 快適に過ごしやすい
マイナスリスクを避けたい
ショッピングモールが地方にも出来若者をターゲットにしている
十分満足しているようだ
音楽(ロック)に見る 今に至るまでの背景の検証
まとめ方は上手である本文で2回詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若者が昔のように都会への憧れをもたなくなった背景について。
三浦展のファスト風土論などを引き合いに出した地方の話、若者論かと思いきや、途中は、J-POPの歌詞の分析による若者在り方論、最後の方は、以前より多様になった人間関係の中で対話を通して合意形成をはかろうとする若者のコミュニケーション論や組織論的な内容。論じ方は多様ですが、全体としてはまとまりのある印象でした。すららと読むことができました。
次は、『居場所の社会学』も読んでみよう。(つちなが) -
若者による"地方観"の変遷を、若者にウケているJ-POPの変遷から見ていくという着想自体はたいへん面白い。
だが、BOØWY('80s)→B'z('90s前半)→Mr.Children('90s後半)といった、それぞれの時代を彩ったロックバンドの歌詞を分析していったのちに、00年代を紐解く題材にヒップホップグループであるKICK THE CAN CREWが登場する唐突なチョイス(この時代にヒップホップが一世を風靡していれば話は別だが)には、やや疑問を呈さざるをえない。
また、10年代の分析として『おしゃかしゃま』が挙げられているRADWIMPSについても、「試行錯誤する自分らしさ」というよりは、90年代後半のミスチル的な「関係性によって作られる自分らしさ」を標榜した曲が多いイメージがあるのだが…。
このように、J-POPの歌詞分析にあたっては、多少の作為的な意図が透いて見える点は否めない。
とはいえ、岡山県でのフィールドワーク調査からの丁寧な分析は見事であり、地方都市の"ほどほど"さに魅力を感じている若者像を的確に捉えている。岡山市出身である私にとっても頷ける内容の多い、圧巻の鮮やかさであった。
過剰にも見えるイオンモールの位置づけだが、岡山県のイオンモール依存は本当に根深く、大型ショッピングモールという"ほどほどパラダイス"は、モーターライゼーションの進んだ地方にこもる人々にとっては、絶好の「樹液のなる幹」なのである。
各章で新鮮な知見の提供が為されている一方で、その繋がりをやや薄く感じてしまわざるを得ない点が、やや残念に思う部分。
しかしながら、各章の内容を繋ぐ明瞭な共通項を見出すことができれば、より興味深さを増した、ポップで新鮮な若者論となるであろうことは間違いない。
筆者には、引き続きの細やかな分析を期待したい。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/699511 -
前半や最後の方は面白かったけどJ-POPで分析をするパートがあまり納得できなかった。
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倉敷イオンやアリオのことが書かれているとネットで見かけたので読んでみた。現代編、過去編、未来編、と3つに分かれていて倉敷の街のことが描かれているのは、現代編のみ。
若者はほどほどに楽しさがある場所、そして地方都市のイオンモール倉敷を選んでいると言うのを見て非常に納得がいった。
過去篇、未来編はかなり抽象化された一般化された話で、現代編とは雰囲気の違う内容。
こちらは、結論ありきで、抽象化してしすぎているような気もする。ちょっと読みにくい。 -
1.若者と余暇
ショッピングモールなどにより、余暇の満足度を高めている
ちょうど良い感じになっている
2.若者と人間関係
地元の人間関係中心
3.若者と仕事
やりがいは低いが親との同居により金銭面は満足だが、永続するものではない
4.地元が若者に愛されるまで
自分らしさを獲得できる場所
不安定な世の中を生き抜くため、地元の仲間の存在
5.ポスト地元の時代のアーティスト
新しい公共の構築にはポスト地元の地元のアーティスト
自分らしさは関係性にあり
6.新しい公共のゆくえ
ギャル的マネジメント
身近な人間関係の多様性に意識的で、同質的な仲間集団に対する愛着心は強いながらも異質な他者とのコミュニケーションを厭わず、謙虚に集団をまとめる仕切り方のこと
うちにこもる若者を外に引き出すコツを導く鍵
同化から統合へ -
再読。以前読んだときには実際に地方に住むことになるとは想像していなかったけれど、現在の地方在住の身としては、地方の若者に焦点を当てた「現在編」の内容をもっとたくさん読みたかった。「おわりに」で『ジャイアント・キリング』を例に挙げて、キャプテンが監督を兼任しない新時代のマネジメントについて書かれているけれど、最近観たばかりの『メジャーセカンド』はキャプテン・監督兼任であり、『ジャイキリ』のさらに先で、どちらもありという多様化の時代になっているのかもしれない。
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ファスト風土化する社会
イオンモールが既にノスタルジーになっている
イオンモールから離れたところに住んでいる若者にとって、イオンモールに行くことは「遠足」のようなものである。(中略)彼らにとって、それは、楽しむ場所のない家のまわりを離れ、1日かけてドライブを楽しみ、ショッピングを楽しみ、映画を楽しみ、食事を楽しむことのできる、極めてよくできたパッケージであり、まさしく「遠足」と呼ぶにふさわしい余暇の過ごし方なのである。
新しい公共
同質性がなくなって、島宇宙的になった社会で、
多様な他者たちの中でうまくやっていくやり方を
今の若者たちは身につけているのかもしれない!
新しい公共って必要なの?
商店街とかオヤジのノスタルジーじゃないの?
仲間内だけで楽しく助けあってやっていけばいいんじゃないの?
子供できるまでの若者が自分のことしか考えてないとか昔からそうでは?
昔は結婚規範が強かったから同質化させられていった
今は結婚が弱まってるからバラバラになってる?
地縁、ムラ社会から、
NPOとかボランティアの社会になってる、というのはそうかもね -
年齢的に共感する部分が多い。4、50代は本気で都会に行きたがって仕事頑張りたがってた。考えられない。本当に違う価値観なんだ、と認識できてよかった。
「地元(友人や家族)は好き。地域の人のことはよく分からない」「都会には住みたくない。田舎は住みにくい」「仕事よりも家族を大事にしたい」
JPOPから当時の若者を考えるのは面白い。
(管理教育)→大人、社会への反発→(規制緩和、敵の消失)→努力→(疲弊)→2人だけの世界→(モータライゼーション)→仲間との世界
昔は空気を読むという概念がない。
昔は同じ人ばかりなのでそもそも空気が一定。今は多様化し決まった空気がない。
今後は聞く力が大切。