人生の〈逃げ場〉 会社だけの生活に行き詰まっている人へ (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736130

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会】会社に人生のほとんどを捧げる「会社単線社会」は不況や成果主義によって終わりを迎えつつあるが、現実には会社以外に居場所がない人が多い。しかし、それでは会社でうまくいかなくなると、人生までダメになってしまう。会社以外に「逃げ場」を作り、自分の人生を生き直す方法を考える。

感想・レビュー・書評

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  • そうですね、って感じである。

    突然の仏教と、理想論。

    メインの主張は間違っていないと思うが、共同体のしがらみをあえて引き受ける、など、賛同できない部分もある。
    そんなのすごいめんどくさい。
    会社と同じくらいか、それよりめんどくさいんじゃないかと思う。

  • 文字通り、人生の行き詰ってる人に対する指南書。

    会社だけが人生ではないと思う人にとっては深く頷ける内容。

  • 成果主義、新自由主義でなければ、世の中はまわらないの。それを否定するのは逃げじゃないよね。
    この本は人間らしい慈悲のある生き方を推奨している。
    当たり前が何故通用しない世の中にしたのだろう。

  • 自分用キーワード
    関東38路線の人身事故数 戦後の日本人の拠り所は宗教ではなく企業 会社単線社会 ツァラトゥストラはかく語りきの家畜の群れ 半農半X 準拠集団 四住期(ヒンドゥー教) マティニョン法(バカンス法) 「提言『休暇』から『休活』へ 有給休暇の活用による内需拡大・雇用創出」 限定交換と一般交換  

  • 仕事以外の生き方について、参考になる部分があった。人生,人に対する少し宗教的な考え方が、面白かった。

    40代ぐらいになったときから林住期(定年退職後10年くらい)をどう生きるかを考える,取り入れておくことで、人生の複線化に向けて視野が広がる。 ー 58ページ

    世の中がある人のことを交換可能な存在として扱ったとしても、自分はその人に対して交換不可能な存在として接し続けます。その人が持っている固有の喜びや怒りや悲しみに寄り添います。
    この姿勢を貫き続けることが、自分の人生を豊かで幸福なものにします。そして自分とかかわる周りの人の人生を豊かで幸福なものにします。 ー 212ページ

  • いわゆる会社人間(社畜?)には、なり切れない人に勇気を与えてくれる。書いてある事は正しいんだろうなと思いながらも、書いてある通りに生きていくのにはそれなりに勇気が要る。でも、何年もしないうちに、これが正しいことが証明されてしまうような気もする。今の日本は過去の延長線上ではやって行けませんよ、と言われながらも、変えられずに、もがいている状態。早晩、その事実に向き合わなければならない時が来るのだろう。東芝の事件なんて、その先駆け?

  • レビュー省略

  • この生きにくい現代社会をどのように生きていけばよいのか。文化人類学者のエッセンスをまぜて語る一冊。なんだか心に染みた。
    筆者は「私が本書で提案したことは、交換可能な存在として扱われるようになった自分をもう一度交換不可能な存在にするための戦いである」(P203)とまとめているが、今の時代を生きていくのに大事な戦いな気がした。

    ・「できる人」よりも「魅力的な人」になることを目指すのも、子どものきっかけとして社会とつながっていくことを志向するのも、共同体のしがらみをあえて引き受けるのも、「自分はほかの誰でもない私自身として、今この世界で生きているんだ」という確かな実感を再び抱けるようになるため(P204)
    ・会社単線型の生き方から脱却して人生を複線化することは「交換不可能な存在としての自己」を取り戻すための戦い(P204)
    ・交換不可能な存在であり得るためには、自分が今抱いている思いが、「他者の欲望や価値観」なのか、それとも「自分の根源から湧き出た欲求や価値観」なのかを注意深く見極めることが必要(P207)
    ・自分と関わりのある人たちのことを、交換不可能な存在として大切に思いながら接する(P211)

  • 仏教をベースに「人生の複線化」を説く。ここでは主に会社員の生きづらさをテーマにしているけれどもそれだけではなく、主婦も子供も老人も、すべての日本人が感じている生きづらさの原因を解き明かしてくれる。

    戦後、日本社会は「個人の自由」を手にし、その価値を知った。それまであったムラ社会、地縁や血縁の抑制の強い社会から、個人の自由を追求できるようになった。それ自体は喜ばしいことであるが、同時にいざというときに支え合う社会を失ってしまう。その代わりに求めたのが「会社」というコミュニティである。高度経済成長期の日本企業は、社員を家族のように扱い、旅行や運動会などを楽しみ、定年まで暮らしを保証した。

    それが崩壊した現在では、会社というセーフティーネットも消え、リストラされた瞬間から頼れるものは無くなってしまう。過去のものとして捨て去ってきた地域社会や親族同士の助け合い、相互補助といったものが、今はもう無いのだ。

    その恐怖から人々は疲れ、心を痛めているのだろう。

    著者は個人主義から一歩戻って、再び家族や地域社会の繋がりを取り戻そうと提唱する。個人的にはSNSの普及によって新たなソサエティができつつあると感じる。今はまだ「いざとなったら助け合う」レベルではないかもしれないけれど、仕事を融通し合ったり、また心を許して悩みを打ち明けられるだけでもずいぶん救いになると思う。

    やはり会社だけでなく、家族だけでなく、第3、第4の関係性をもつことはずいぶん人の心をラクにしてくれるのだろう。そのためにはまず自分から「差し出す」こと。これが大切。そこから交換や交易が始まる。

  • 夢は若者だけのものではない!?

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著者プロフィール

上田紀行(うえだ・のりゆき) 東京工業大学副学長(文理共創戦略担当)・同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は文化人類学。特に宗教、癒し、社会変革に関する比較価値研究。著書に『生きる意味』(岩波新書、2005年)、『かけがえのない人間』(講談社現代新書、2008年)、『愛する意味』(光文社新書、2019年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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