自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022951700

作品紹介・あらすじ

自粛警察やマスク警察など、コロナ禍で始まっている「1億総イライラ社会」。怒りやイライラの根底には「疲労」があると指摘するのが元自衛隊メンタル教官の著者。怒りは自分を守ろうとする強力な働きだが、現代では怒りが暴発すると人生を棒に振ることもある。怒りのメカニズムを正しく知って、うまくコントロールする術を実践的に紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 疲れをとる。睡眠の質改善、いつもより1時間長く眠る、充電系の休み方。自信、物事ができる、体や能力生き方への信頼、仲間居場所に分ける。兎も角参っているときは休む、睡眠(薬?)。怒りを外に出さない、距離を離す、その場を離れる、定型化したゆっくりとした呼吸、体を動かす。疲労のケアに酒を使わない体を動かす。敵の悪意と出方の想像創造、防御反撃シミュレーション、監視体制の確立、愚痴と味方工作。ここまでが直後とその日のうち。その後思い出してノートに書き出し、モデル化。早めの謝罪、対処イメージの鮮明化、総括物語化、自分の規範を緩める、経緯分析。のルーチン。

  • SNSでみつけて即手に取った。私を含め読者の9割はイライラや怒りで具体的なトラブルや問題を経験している人間だろう。本書はそういった読者を強く意識しており、随所に「怒ってもあなたは悪くない」というメッセージが繰り返されている。
    ちなみに本書の全体の7割くらいは、怒りは疲れのせい、だから休め、という内容。元も子もないようにも感じるが、自分自身の経験と照らし合わせても一致する。継続的に仕事が忙しく寝不足が続く、当日も空腹だったり仕事で嫌な思いをした、この先もこの仕事量が落ち着く見込みが立たない、怒りが我慢できないのは大体そういう過去未来現在の悪い要素が重なった時だ。
    その他のコンテンツとしては、怒りそうな時の対処法、怒った後の対処法がいくつかずつ。周りの怒ってる人とどう付き合うかや、親子関係についてもわずかにページを割いているが本書の内容をより具体的に解説したものなので割愛。
    怒りそうな時の対処は基本的に逃げろ離れろ。本書を読んで目から鱗だったのは3点、その内の一つが「怒ってる状態から我慢は無理、アンガーマネジメントも無駄」と断言したこと。アンガーマネジメントは起こる前のプチイライラを抑えるだけにしか使えない、だから怒った状態になったらもうその場で収めるのは無理。せめて何か(他人や自分の評価)を傷付けたりする前にその場から離れろと。経験上、怒り心頭、大声で捲し立てている最中に「深呼吸!7つ数えろ!」と外野から宥められたところで聞く耳持てないが、それが普通だと。
    怒った後の対処については具体的な取組みがいくつか紹介されている。その内の脳内口論シミュレーションは自分も中学生くらいから自然と実践していた。怒る自分を責める前に、相手の落ち度をとことんまで追求し、自分の正当性を確保する、自分を守ることは大事。自分の立場が正しいと自分自身を納得させ、立場が上と思えたら初めて相手の言い分を聞く余裕が生まれる。目から鱗2つ目は、このステップでは相手をボッコボコにした方がいいということ。陰口叩いて味方をつくり、いかに相手が卑劣だったか広げて自分の正当性を既成事実化する。もちろん相手や範囲は選ぶ必要があるが、あくまで自分を責めないことを最重要としている。筆者のカウンセラーとしての立場上のこともあるが、クライアント第一でクライアントに正論を突き付けても意味がないからこその方法論でもあるはず。とにかく実践する側にとって随分と気が楽になる方針。
    目から鱗3つ目は、回復まで年単位で時間がかかっても普通ということ。自分自身、高校時代のトラウマが解決したのは15年ほど経ってから。それまで年に1度程度当時の夢を見続けて、これは一生引きずるのかと不安になったがある日の夢で突然(自分の中で)解決した。筆者もあるストレスから復帰するのに1年ほどかかったという。
    最後に、本書はストレスとの付き合いについて知識だけでは意味がなく練習実践が必要としている。ざっくり言えば人生経験だと。何となく程度にはいまよりマシになるような気持ちになれた。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50284900

  • 原始人的に考えると、わかりやすいです

  • ■人類の歴史は400万年とも言われているが、人類の歴史を1月1日から始まる1年に例えると、人類最古の土器が使われた1万6500年前が12月31日の夜の9時過ぎ頃の話になる。四大文明が生まれた5000年前は夜11時。電気が発明され夜も活発に活動できるようになったのは夜11時30分。インターネットが発明されたのは年が変わる20秒前のこと。
     つまり私たちの無意識には、このように長い原始時代を生き延びるためのプログラムがしっかり刻み込まれており、それは、ほんの短い現代社会という環境ではまだ修正されてされていない。
     今は基本的に、猛獣に襲われることも、夏の暑さ、冬の寒さで死ぬことも少なくコンビニに行けば簡単に食べ物が手に入る時代。にもかかわらず「感情」は原始人時代と同じように働くので現代では過剰な働きになってしまう。
     文明社会では感情の本来の働きより、その副作用の方が目立つようになってしまっている。怒りをはじめ、不安や悲しみ、妬みなども、副作用の印象が強くなり、いわゆる「ネガティブ感情」として嫌われてしまっている。
    ■地震とは予想される刺激に対し、「今の自分で何とかなる」と感じられる状態のこと。自信のある人は怒りにくい。
    ①物事が「できる」自信
    ②健康や身体機能の自信
    ③仲間がいるという自信
    ■人間は理性と感情で動くが、疲れてくると「感情」に乗っ取られる。
    ■原始人モードで考えれば、子供たちに最初に教えるべきは「怖い動物が来たら逃げろ」だ。これからの時代は、自立、自己責任の時代。言い換えると一人で戦わなければならない時代。しかも、今まで通用してきたスキルが効かないぐらい変化が激しい。どんな強敵や環境の変化が子供の未来に待ち構えているかわからない。
     仕事でも頑張って続けなければ大成しない時代なら、続けることに意味があったが、これからは転職も当たり前の時代。ただ続けることだけにこだわると、ブラック企業から逃げ遅れる。
     そんな時代を生きる今の子供たちにまず教えるべきは、①逃げること、②助けを求めること、③できないと言うことの3点。この3点を教えた上で条件が揃ったよい環境ならば、少し頑張ることを教えるくらいがちょうど良い。「頑張る」はエネルギーを使うこと。条件が悪いなら、そもそも動かないか、全力で逃げる方が生き物として生存率は高くなる。

  • 疲労が蓄積しないように注意しないとアンガーマネジメントも有効に働かない
    坊さんたちの閉じた社会だから修行に励めているのであって、一般社会だとヤバい奴も多いので修行した坊さんでも怒りからは逃れられないのではという考察は面白い

    心の状態は3段階ある
     1段階 理性優勢
     2段階 理性と本能が半々
     3段階 本能優勢

    感情のケア
     怒りの刺激
     体調、蓄積疲労
     防衛記憶
     自信
      能力
      健康
      人脈
     個人の対処法

    怒りの対処法
     刺激から離れる
      受け身
       トイレに立つ
       とりあえず謝って流しておく
      呼吸に集中
      好きなフレーズを思い浮かべる
      体を動かす
     疲労のケア
      休憩
      サボる
      睡眠
     警備隊長(感情)のケア
      声を聴く
      敵の悪意などを想像
       思いつくままに
      防御、反撃のシミュレーション
       完全な対策でなくて良い
       考えることが重要
      監視体制の確立
      愚痴と味方工作
     現実的対応を考える
      思い出すタイミングで
       何かをやりながら少しずつでも良い
      ノートに書き出す
      モデルの力
       別の誰かならどうしたか
     記憶のケア
      国交断絶を固定させない
       とりあえず謝るのも有効
      1段階目の状態の時に行う
      7つの目線で振り返る
       自分目線
        何に怒ったのか
        どうしたいか
       相手目線
        何を伝えたかったのか
        何が不安だったのか
       第三者目線
       宇宙目線
       時間目線
        過去、現在、未来の時点から
       感謝目線
        逆に感謝できるところは
         ポジティブに解釈すると
       ユーモア目線
        ギャグや話のネタにできないか
      疲労の観点から振り返る
       ドタキャンするのもあり
      自分の価値観を確認
       何に対して怒りを感じるか
       期待値を適正に保つ
        〜べきを減らす
        まあ、いいかと思えるように
      経緯を確認
       どこで怒りを止めるか
      防衛記憶の風化
       新しいことなど別のことに視線を向ける
        相手を訴えたりしても癒されるとは限らない
     以上を繰り返す

    怒りっぽい人に対する対処
     まずは離れる
      威嚇行為はパワハラ
       大きな声
       物を壊す
       暴力
       酷い言葉
     助けを求める
      子育て関係は行政に頼るのもあり
     疲労をためない
      怒りは伝染する
       怒りは疲れる
      子育ての場合
       子供の話を聴く
        否定しない
       その後選択肢を提示して選択させる
        悪い結果になっても寄り添う
       頑張りだけでなく逃げることも教える
        助けを求めることの重要性

    二段階組織
     特徴
      挨拶が少ない、笑いが少ない
      他人の悪口
      他部署の悪口
      仕事を手伝わない、押し付け合う
      不公平感に敏感
      少しの変更に対応できない、予定を知りたがる
      部内派閥
      嘘の報告
      パワハラなど
      リーダーへの期待、不満が高くなる
     対策
      休憩
       やらないことを決める
      コミュニケーションを図る

  • 前作?と内容はほとんど変わらなかった。疲労を感じたら休み、怒っている自分を受け止め、怒りの原因から逃げる。どれも難しいことではないので、意識して実践したい。

  • 怒りが警備隊長に擬人化されることで途端に愛しくなるし、「私のことを一番に考えてくれて、そんなに怒ってくれてありがとう」と言いたくなる。

  • 最終的には、まぁいいかぁ〜ぐらに感情をもっていけるようになることが増えるといい。
    疲れがたまると、理性より感情に支配される。
    怒りは、自分を敵から守る防衛本能。まさに警備隊長。
    警備隊長のケア
    怒りが発生したら①刺激から離れる②疲労のケア③警備隊長(感情)のケア
    1.警備隊長の声を聞く
    2.敵の悪意や攻撃をきちんと推察する
    3.相手に対応するシミレーション
    4.敵への監視体制を整える
    5.周囲へ愚痴をこぼし、味方をつくる
      愚痴を言うあいては、信頼できる、口が硬い人を選ぶ。

    ①自分目線
    ②相手目線
    ③第3者目線
    ④宇宙目線
    ⑤時間目線
    ⑥感謝目線
    ⑦ユーモア目線
    で多面的に事を見つめて、課題ではなくチャレンジぐらいに捉えられるようにするとよい。

    他の人の怒りに巻き込まれないようにする。感情は伝染する。

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著者プロフィール

【下園 壮太】(シモゾノ ソウタ)

メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊心理教官。陸自初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験。その後、自衛隊の衛生科隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルヘルス、カウンセリング、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。本邦初の試みである「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして、約300件以上の自殺や事故にかかわる。平成27年8月退職。現在はNPOメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、県や市、企業、大学院などで、メンタルヘルス、カウンセリング、感情のケアプログラム(ストレスコントロール)などについての講演・講義・トレーニングを提供。著書50冊以上。

公式HP: http://www.yayoinokokoro.net/

「2023年 『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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