教育は遺伝に勝てるか? (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022952165

感想・レビュー・書評

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  • 勉強不足の私には難しかったです。読み終わって思うのは、教育や遺伝を個を作る絶対的な要因として考えるのではなく、自分や他人を理解するための材料の一つと考えた方が気が楽かなぁという事でした。

  • ・環境が自由になればなるほど、遺伝的な格差が現れる
    ・遺伝という素材をこの世界で形にしてくれるのが教育
    ・教育が遺伝的素質に文化的影響を与えてくれるからこそ、遺伝が表現される場が作り上げられる

  • 2024.01.19 社内読書部で紹介を受ける。

  • 遺伝=親から受け継ぐもの、ではなく持って生まれたもの。

    「遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育だ」
    「教育なしに遺伝は姿をあらわさない」
    教育が遺伝的素質に文化的環境を与えてくれるからこそ、遺伝が表現される場が作り上げられる

  •  
    ── 安藤 寿康⦅教育は遺伝に勝てるか? 20230713 朝日新聞出版⦆
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4022952164
     
    …… 15歳から変わる遺伝と環境のバランス「非行」は環境の影響
    「犯罪」は遺伝が関わる『教育は遺伝に勝てるか』
    20230815 07:00 dot.オリジナル(Getty Images)
     
     Andou, Juko 行動遺伝学 1958‥‥ 東京 /慶應義塾大学文学部卒、
    同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大名誉教授。
    教育学博士。専門は行動遺伝学、教育心理学、進化教育学。日本におけ
    る双生児法による研究の第一人者。この方法により、遺伝と環境が認知
    能力やパーソナリティ、学業成績などに及ぼす影響について研究を続け
    ている。
     
    ── ⦅遺伝子の不都合な真実 ~ すべての能力は遺伝である 19‥‥‥ ちくま新書⦆
    ⦅日本人の9割が知らない遺伝の真実 19‥‥‥ SB新書⦆
    ⦅生まれが9割の世界をどう生きるか ~ 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋 19‥‥‥ SB新書⦆
    ⦅心はどのように遺伝するか ~ 双生児が語る新しい遺伝観 19‥‥‥ 講談社ブルーバックス⦆
    ⦅なぜヒトは学ぶのか ~ 教育を生物学的に考える 19‥‥‥ 講談社現代新書⦆
    ⦅教育の起源を探る ~ 進化と文化の視点から 19‥‥‥ ちとせプレス⦆
    https://dot.asahi.com/articles/-/198488
     
    …… たばこ、アルコール、麻薬などの物質依存や非行や犯罪に関する
    遺伝と環境の影響について、家庭環境の影響があるものも少なくはない
    と示している。同氏の新著から一部を抜粋、再編集し、環境による非行
    と犯罪への影響と遺伝子の関わりを紹介する。
    【図】遺伝と環境が子どもに与える影響はこちら
     
     *
     
    …… 遺伝と環境が逆転する15歳。非行は犯罪とはまた少し違うメカニ
    ズムがあるのではないかと思われます。ここで、非行と犯罪は区別する
    必要があります。非行とは万引きや不純異性交遊や未成年飲酒・喫煙な
    ど、若いときのワルな行為、いってみれば若気の至りでやってしまった
    過ちです。こういう行為は、悪い友達の仲間になってしまったり、ある
    いは住んでいる地域にそうした行為が起こりやすかったりすると、なび
    いてしまいがちです。
     
     一方、犯罪とは強盗、殺人、詐欺といった、もはや若気の至りで済ま
    されない、正真正銘の悪事、反社会的行為のことをいいます。行動遺伝
    学が共有環境の影響の多さを示しているのは、このうち若気の至りの方
    の非行です。15歳を境に、それ未満だと共有環境が多いのに対して、15
    歳以上になると遺伝の影響が多くなり、逆に共有環境の影響はほとんど
    なくなります。酒やたばこも飲めなければ一人前ではないというピアプ
    レッシャー(友達どうしの同調圧力)が働きやすい環境に置かれれば、
    未成年喫煙、未成年飲酒も、それをすることが勲章だと思わされるでし
    ょう。
     
     一方、分別がつく歳になっても、衝動に身を任せてものを盗んだり、
    人をだまして悪事を働いたり、繰り返し性犯罪を犯してしまう根底には、
    その人の遺伝的素質がかかわってきます。ただ、誤解してはならないの
    は、そのような遺伝的素質があると必ず罪を犯すとは限らないというこ
    とです。これらに非共有環境も大きく影響することを示しています。こ
    れは一人ひとり異なるだけでなく、同じ人においても状況によって異な
    る環境の影響を意味します。つまり素質があっても、罪を犯すことので
    きる状況に出くわさなければ犯罪には至らないのです。どろぼうは、も
    ちろんそれをする人が悪いに決まっていますが、家に必ず鍵をかけ、ど
    ろぼうをさせない状況にしておくこともまた大事なことであるのは、言
    うまでもありません。
     
     このように行動遺伝学は、遺伝についてだけでなく環境についても有
    効な示唆を与えてくれる知見を生み出しています。ここまで特に人の子
    の親として行うことのできる環境のつくり方を示してくれている研究例
    をご紹介してきました。子どもの育ちは親しだいと謳う育児書も少なく
    ありません。それに対して行動遺伝学は、子どもも遺伝的に独自の存在
    として生きていることが示される以上、子育て万能主義には立てないと
    考えています。しかしそれは遺伝決定論なのではなく、子どもの遺伝的
    素質に寄り添って親自身の生き方やふるまい方を調整し、子どものより
    良い人生に寄与できる可能性もあることを、頑健なエビデンスで示して
    くれているのです。
     
    (20230816)

  • 環境に左右されるほど遺伝の影響は弱くない。
    だけれども遺伝で全てが決まるほど世の中は単純じゃない。
    白と黒の間にある多彩な色の交互作用があることを忘れてはいけない。
    視野が広がる一冊。

  • 遺伝も教育も不可分なものでどちらも大事といった論旨で理解しているけどなんか違う気がする。
    全て遺伝子のせいにはできないし、全て教育のせいにはできない。
    でも明らかに僕たちはそれぞれの持つ遺伝子に行動を左右されている。

    これは僕のためのメモだが、教育よりも認知に関心があるかもしれない。

  • 遺伝についての考え方が科学的な根拠とともに解説されている。
    教育は遺伝の発現をいい方向に促すために必要だという考えはしっくりきた。

  • 非常に面白く、色々考えさせられた。

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著者プロフィール

慶應義塾大学文学部教授
主要著作・論文:『生まれが9割の世界をどう生きるか―遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(SBクリエイティブ,2022年),『なぜヒトは学ぶのか―教育を生物学的に考える』(講談社,2018年),『遺伝と環境の心理学―人間行動遺伝学入門』(培風館,2014年)など

「2023年 『教育の起源を探る 進化と文化の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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