『ヤバいビル』 1960-70年代の街場の愛すべき建物たち

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023317291

作品紹介・あらすじ

【歴史地理/旅行】自由で破天荒で魅惑的な1960-70年代のビル。均質化された現在のビルにはない魅力を持っている。実際の写真をもとに、欧米のデザインの影響を受けながらも、独自の発展を遂げた高度経済成長期の日本のビルを徹底的に楽しむ一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 本書で取り上げられているのは無名のビルがほとんど。
    いずれも築1960~70年代と思われる高度成長期、まだビル自体が少なくビルといえばのモデルが確立されていない中で恐らく法律的な縛りも少なかった頃だろう。
    町の工務店各々が自由な発想で有名建築を模してみたり、宇宙や船への憧れを丸窓に託してみたり…細部までこだわって楽しんで設計したのかもしれない。

    現代の新築といえば、省エネと安全性と防犯性と耐熱性と耐震性とその他諸々を追求した結果、どうも画一的で似たような建物ばかりの印象。
    性能の良いのはいいことだけど。Rや船形、丸窓、くりぬきバルコニーは最近の新築では殆どみかけない。

    1970年代当時のマンションの新聞広告(日商岩井やチサンマンション!)が紹介されているが、物価が違うとはいえど金額の安さにびっくりである。

    東京の建物が殆どなのと全てカラーページでないのが惜しい。
    東京住まいなら知ってるビルをみてニヤリとできるかも。
    25Pの杉並区の病院(?)の全面ガラスが個人的にめちゃくちゃそそるが、建物名や詳細所在地は伏せられているため、ストリートビューでじっくり見る事も難しい。

    商業ビルが派手なデザインなのは客を呼ぶためとあり納得。
    確かに大阪の商業ビルも目を引くものが多く鑑賞しがいがある。
    都住創などはマンションだが面白いデザインで有名。あれは70年代後半から80年代にかけて建てられたらしいが。

    2022年、中銀カプセルタワーが老朽化により惜しまれつつも解体となった。
    本書で紹介されている無名のビルたちも遠くない将来、ひっそりと街から姿を消してゆくのだろう。

  • ヤバいビルたちの写真が豊富ですごく良かったです。建築物ってやっぱり楽しい。面白かったです。

  • 筆者のセンスで選ばれた数々の「ヤバいビル」の写真と愛のあるコメントに刺激を受けました。

  • 個性あふれる尖ったビルを見かけることがある。今回の本はそんな「ヤバいビル」を取り上げている。



    ヤバいビルと言えば、中央区にある中銀カプセルタワーだ。個性あふれる建築家、黒川紀章の手によって産み出された。「元祖ヤバいビル」と著者は評している。



    何と言っても目立つのは丸窓のある立方体を積み重ねた形だ。宇宙基地のようだと著者は述べている。



    最近、解体・建て替えを計画する不動産業者に売却されることがニュースになった。あのカプセルは、25年で取り替える設計だったが一度も変えることがなかった。解体せずに改装しようとすると、25~30億円かかるそうだ。




    保存とは簡単に言えるレベルではないなあ。せめてカプセルでなくていいので外観だけまねたビルになるといいが。まあ、コストの問題が大きいからどうなるかな。




    都内だけでもいろいろ個性あふれるビルがあった。船型、R(曲線)、四角いモダニズム、ガラスの誘惑など多種多様な姿が浮き彫りになる。




    狭い地形をうまく活用しているのが「フラットアイアン風」だ。上から見ると細長いアイロンのように見える。



    「ヤバいビル」がこれからどうなっていくのかな。

  •  うーん、本自体が小さいのもあってパンチ力に欠けるというか、例えば本の最初に本のコンセプトを一発で説明できるなにか、と言うのがあれば良いのにというかなんというか。

  • 高度経済成長の時代に建てられたどこか魅力のある名もなきビルたちの写真を紹介した一冊だ。
    だから何というわけではないのだけれど、昭和の雰囲気が好きな人、昔のビルを好む人には眺めていて楽しい一冊になっている。
    コルビュジェのサヴォワ邸風ビルとか、有名建築家の作品を意識しまくっているビルなど、ノリと勢いで設計したようなビルも多々あって、面白い。
    ひとつの時代の力を感じる。

  • 見ていて本当に飽きない!
    そして「やっぱり秀和レジデンスいいなぁ」と再実感。
    古いマンションやビルは耐震性がいかほどか微妙だけど、キャラが立った物件が多い。

  • 通勤時にビルの形状、壁の色味、窓・バルコニーの形を観察し、新しいビルばかりが話題になるなか、古いビルに注目する楽しみが出来ました。

  • 最新の大型ビルではなく、高度成長期に建設された、中小型の雑居ビル的な建物の中で、いまではなかなか見れないような曲線や窓枠など、当時の実験的な自由度から生み出されたビルを紹介している。
    これらのビルは残念ながら、街中の雑居ビル的な建物が多く再開発や、現在の耐震基準には適用していないと思われるので、そう遠くない将来取り壊される運命なのかもしれない。
    最近の直線やガラス窓ばかりのビルではなく、自分が子供時代に見たようなこのようなビルがあって今があるのだと思いながら読んだ

  • 自由で破天荒で魅惑的な1960~70年代のビル。
    均質化された現在のビルにはない魅力を持っている。
    実際の写真をもとに、欧米のデザインの影響を受けながらも、独自の発展を遂げた高度経済成長期の日本のビルを徹底的に楽しむ一冊。(アマゾン紹介文)

    まず写真が楽しい。
    お城のようなファザードもあればドリルのような螺旋階段もあり、眺めているだけで楽しく、また自分でも探してみたくなります。
    ただ、文章があちらこちらに飛んでいたり、専門用語が説明もなく続いているので、躓きも多かったです。
    題材的に新鮮で面白いと思えただけに、作りや解説の不親切さが残念だなぁと思いました。

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著者プロフィール

三浦展(みうら・あつし)
1958年生まれ。社会デザイン研究者。カルチャースタディーズ研究所代表。家族、若者、消費、都市、郊外などを研究。著書に『 「家族」と「幸福」の戦後史――郊外の夢と現実』 (講談社現代新書) 、 『ファスト風土化する日本――郊外化とその病理』 (洋泉社新書) 、 『東京は郊外から消えていく!』 『首都圏大予測』 (光文社新書) 、 『愛される街』 (而立書房)などがある。

「2022年 『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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