ビルマの竪琴 (偕成社文庫)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036502103

感想・レビュー・書評

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  • 今までで1番読みやすい反戦文学。

  • 子どもの頃に映画を見たときは、
    戦争映画との認識もなく
    悲しいお話としてしか印象に残らなかった。
    今回はじめて著書を読み、とても感動した。
    悲惨なシーンはないが、戦争に関わるどの立場の人間も正義があり、悩み、辛い思いをしていたことを改めて感じた。
    特に印象に残っているのが、
    戦争に負けた日本や日本人を攻めていないこと。
    小学生の頃、先生に「戦争を起こした日本人は最低の民族だ」と言われ続けた。とても苦しかった。
    このお話では、愚痴や文句がなく、みなが、日本のためにできることを考えようとする。偉そぶらず、お金もうけに傾かず、一生懸命に働こう、と。
    そしてもう一つ、ビルマやイギリスの外国人に対しても敬う気持ちで接していること。とくに、我々は得た知識を間違った方向へ使ったのではないかと、ビルマの人を見て深く考えるところ。発展とは、物質的に豊かになるのではなくて、心豊かに、穏やかに、平和に暮らすことではないか、と。

    これらのことを、児童文学らしく、やさしく投げかけているこの著書を、ぜひ子どもたちにも読んでほしいと思った。

  • 子どもとして読んでも、大人になって読んでも、永遠の名作。戦争の惨さが心にしみる話。

    それにしても、ミャンマーに行ったとき、「ビルマの竪琴」のビルマと結びつけるのに、結構時間がかかったなぁ…。

  • とてもすばらしい名作でした。
    ビルマ戦線の日本軍の話。音楽学校出身の隊長が隊員に合唱を教え、特に楽才に秀でていた一高出身の水島上等兵がビルマの竪琴を戦場でも演奏していた。軍歌を厭い、一高寮歌や敵国であるイギリス民謡が元の埴生の宿を合唱する日々。
    この戦争は間違っている、命を落として国に貢献するのではなく、生きて日本の未来のために貢献しようといい、(実際、彼らは生きて国に帰れば官僚や学者となって日本の未来のために貢献できる人たちなのだ。)臆病者といわれないために、自分が先頭になって竪琴をかき鳴らして突っ込む、その後君たちは白旗を揚げればいいと言って突っ込み攻撃の的とされるが蛮族に助けられる。
    蛮族に「勇敢だから娘を与える。何人の首を取った?」と聞かれ、一人も殺していないと答えてあわや殺されそうになる水島は確かに戦場で竪琴を鳴らしていて人を殺していないのだ。
    隊員たちは水島が生きてビルマの僧侶になったことを知って、インコに「おーい、水島、一緒に日本へ帰ろう」と日本語を覚えこませ、森の中で合唱する。水島は涅槃仏像の胎内で竪琴を弾くが姿は現さない。
    水島を呼ぶために隊員は毎日合唱し、日本に戻る前日に水島は姿を現す。収容所の柵ごしに隊員達は『埴生の宿』を合唱する。水島は竪琴を合唱に合わせて弾き、『仰げば尊し』を弾く。「今こそ別れ目。いざ、さらば。」
    水島は森の中へ去って行った。
    隊員たちに水島からの手紙とインコが届く。
    英霊を弔うために此処に残る決意が書かれ、インコは「ああ、やっぱり自分は帰るわけにはいかない。」と言う。
    音楽や学問を愛する人たちが全滅するとわかっている戦場に駆り出されて、その中で音楽や友情や日本への貢献の思いや理性に生きている、とても共感できるすばらしい作品でした。
    長く世界中で読まれることを願います。

  • 第二次世界大戦前後のビルマに配属された日本軍班の話。水島の人柄が気になり、彼の行方に関するものが見つかったときは班員と同じ目線で一喜一憂していた。ラストにかけて物語が一気に進んでいくが、どこかゆったりとしたビルマのような雰囲気が感じられた一冊であった。最後の水島からの手紙の内容には考えさせられるものがあった。

  • 白黒映画をちらっと見たことある程度だったので
    読んでよかった
    いい話だなー!

    降伏説得に残った青島上等兵が帰ってこない
    たまにききにくるお坊さんがそっくり
    だけどちがうよな~あおしまー!

    でもいろいろあってやっぱり青島さんで
    あおげばとうとしを竪琴でひいて
    他の人は日本にひきあげる
    そこで手紙をよむ
    (この手紙は人食い人種に食べられそうになったりちょっとおもしろい)
    青島さんは日本兵のおとむらいをするために帰れないそうで・・

    本当にあったらいい話
    映画ちょっとみたくなった

  • 名作シリーズ第2弾。

    映画で見た気がするけども小説で読んだのは多分初めて。

    やっぱり名作と呼ばれるものは良いね。

  • 小3くらいの時に初めて読み、戦争関連の作品を読み漁るきっかけとなった作品。何度読もうが映画も見ようが、涙なしでは無理です。水島のような人は世界が必要としている人であると思っています。

  • 小学生のころ映画を観たが、それから25年くらいして初めて
    小説を読んだ。厳しい世界の中に優しさ、ユーモアを感じさせる、やはり名作。

  • ~09/09/01
    水島だけが背負い込むものであってはならないのだと感じます。大人になってからでも読み直すべき一冊。

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著者プロフィール

竹山道雄(たけやま・みちお 1903-84)
1903~1984年。1920年旧制第一高等学校入学、1923年東京帝国大学文学部入学、1926年東京帝国大学卒業後、一高の講師となる。20代でベルリン、パリに計3年間留学、帰国後、一高の教授となる。1948年『ビルマの竪琴』(中央公論社)を刊行、毎日出版文化賞を受賞(以後、二度に渡り映画化される)。1950年一高廃止と共にその後身の東京大学教養学部の教授となるが、翌年には辞し、文筆に専念する。『新潮』『芸術新潮』『心』『自由』などを舞台に、「見て・感じて・考える」を根本姿勢とし、時代の風潮に流れない執筆活動を続ける。著書は『古都遍歴』『昭和の精神史』『まぼろしと真実』『剣と十字架』など、芸術論から時論、紀行文など幅広く、ニーチェ『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』イプセン『人形の家』ゲーテ『若きヱルテルの悩み』など優れた翻訳も残す。1983年『竹山道雄著作集』全8巻刊行。

「2017年 『主役としての近代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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