- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036524105
作品紹介・あらすじ
障害を持つ姉が働いて得た、はじめてのお給料。このお給料が家族にもたらす小さな奇跡を描いた表題作他、六人の主人公が体験した胸の奥の痛み。坪田譲治文学賞、新美南吉児童文学賞、児童文学者協会新人賞、赤い鳥さし絵賞等、数かずの受賞に輝いた、感動の連作短編集。小学上級以上向き。
感想・レビュー・書評
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丘修三の代表作で評価が高く、大抵の学校図書館にはあるが、子どもが借りない本。
多分表紙絵の地味さ、タイトルの地味さでまず読む気をなくし、内容は「障害者の話」と知るともっと読みたくなくなるという構造。正直言って「ゾロリ」や「マジックツリーハウス」の洗礼を受け、「若おかみ」や「怪談レストラン」を児童書の王道と思っている子どもには敬遠されるのは仕方ない気もする。
この本を「障害者の子どもとそのまわりの子ども」の物語とするから道徳の教科書みたいなイメージになっちゃうのよ。「歯型」「こおろぎ」なんて、障害の有無を越え(大人も含む)人間の弱さを描いた作品だと思う。
障害者とどうかかわるか、という発想自体が差別的で、ここには「人間と人間」のふれあいが描かれているし、だからこそ価値がある。
ぜひ表紙にカバーをかけて(いや、読んでみればいい挿絵なのだけど、アニメ調の絵が好きな子は絵で決めるから)「歯型」を大人が読んであげたらどうかな。
これは本当に普遍的な話なんだよ。 -
n:自分の妹がダウン症です。『ぼく』の気持ちも分かるし、家族の気持ちも分かります。
溜め込んでいた気持ちが、文字として読むことで、開放された様に泣いてしまいました。 -
#ぼくのお姉さん
#丘修三
#偕成社文庫
#児童書
#読了
これは衝撃でした。こんなにもダイレクトに子どもを表した物語があるでしょうか。子どもは嘘をつくこともあるし弱いものを攻撃することもある。結局強いものが勝ってしまうこともある。障がいを持っている子やその周りの人々が主人公の物語です。 -
30年前に書かれ、数々の文学賞を受賞した本です。
ダウン症・脳性まひ・精神発達遅滞と様々な障害を持った子どもが登場します。
そこには、中途半端な同情など一瞬で吹き飛んでしまうくらい
むき出しの現実だけが描かれています。
大人の私でさえ、読んでいて辛くなる場面が何度もあったのだけれど
この本をすべての小学生に読んでほしい。
この本を読まずに大人になってしまったすべての人にも読んでほしい。
『人の心の痛みがわかる』世の中は、
障害を持った人にもそうでない人にとっても
きっと生きやすい世の中だと思うから。 -
5年ほど前に一度読んでいますが、再読です。
障害者をテーマに扱った作品はたくさんあると思いますが、
それらは筆者の気持ちが障害者寄りになりがちです。
この作品は健常者と障害者の中立的なポジションで書かれており、
斬新な角度から障害者を捉えているように思います。 -
日本の小学生全員に読ませたい本。
「障害者」を物語のキーに据えた6つの短編集。作者は特別支援学校で長く教鞭を取られた方で、「障害者と非障害者が〈共生〉するためには」をずっと考えて来られたそうです。
タイトルにもなっている「ぼくのお姉さん」はダウン症の姉を持つ男の子が主人公。姉をからかわれた経験から、学校で出された「兄弟についての作文」を書けずいました。そんなある日、作業所で働いてるお姉さんは家族にあることを提案し・・・。
優しく心温まる話である一方で、作業所で働く人々は自立なんて不可能であるぐらいに低賃金であるという現実にも目が向けられており、「ただの美談」では終わらず、障害者の労働について考えさせられます。
他の話も「障害者だからという理由で理不尽な目に遭う」姿などが描かれており、子ども向けに書かれた本(小学校高学年から)ので読みやすいあるけれど深いです。たくさんの人にぜひ読んで欲しい。 -
子どもに読ませたい。
子どものときに、子どものこころで受け止めてほしい。
少し時代背景が古いので、知恵おくれとか言わなくなったし、障害児が普通学校にいるパターンもあるので、障害児をとりまく空気が、あたたかくなっていると思いたい。 -
新美南吉児童文学賞、赤い鳥さし絵賞受賞作品。
障がいを持つ子ども達と、持たない者との関わり合いを描く作品集。
挿し絵の表情が印象的。 -
「障害を持つ姉が働いて得た、はじめてのお給料。このお給料が家族にもたらす小さな奇跡を描いた表題作他、六人の主人公が体験した胸の奥の痛み。坪田譲治文学賞、新美南吉児童文学賞、児童文学者協会新人賞、赤い鳥さし絵賞等、数かずの受賞に輝いた、感動の連作短編集。小学上級以上向き。」
・障がい者がテーマの短編集6つ収録。
・著者は20年間養護学校の教師を務める。障がい者を取り巻く現実を美談や感動で終わらせずに、客観的に厳しくあぶり出している。 -
養護学校の教諭だった作者が書いた障害児をめぐる短編集。あとがきに障害者と非障害者の共生をテーマにしていると書かれているが、まさにその通りの作品。ただ本当に障害を持った方と関わることがなく、実感としてわからない。わからないだけに差別しない様日頃から心がけておかなければならないのだろうと思った。
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私自身、特別支援学校教諭を目指し、実習やボランティアを通して知的障害や脳性麻痺のある子どもたちと関わる経験をしてきたので、最終章の「ワシントン・ポストマーチ」を読んで胸が苦しくなりました。子どもたちが、言葉にならないけれど感じている障害者であることの苦しみをもっと理解しなければいけないし、障害を受け入れる温かい世の中になってほしいと望むお話でした。
6人の主人公の短編集、感情移入してあっという間に読みました。「ぼくのお姉さん」「首かざり」も心に響きました。 -
色々な障がいを持った子どもたちの6編のお話が入っています。
坪田譲治文学賞、新美南吉児童文学賞、児童文学者協会新人賞、赤い鳥さし絵賞と、4つの賞を受賞された作品だそうです。
障がい者を描く作品こそ少ない中、その中でもこの本は、きれいごとではすまない、人間の持っている本髄のようなものを描いた作品だと思います。
どの短編も、ぐわっと胸をつかまれるような、でも実際にこういうことが起こりうるのだろうと思いながら読み、読んでいて涙ぐんでしまいそうになる話もありました。
健常者と障がい者の壁についてとてもリアルに描かれていたり、健常者と障がい者の間である出来事があり、そこから何か気づきが人々から生まれたり、ハッとしたり、色々考えたり、とにかく、色んな意味で胸をえぐられる作品でした。
色んな人がいて、その中で、差別や偏見なく、ありのまま受け入れるためには、これから何が必要なのだろう。
偏見などが起こる前の幼少期から、色んな人が一緒に同じ生活空間にいることが必要なのかな。 -
※2003.7.2弟からプレゼント
2004.3.27読書開始
2009.3.8売却済み -
障害を理由にしていじめや、事件の責任を押し付けることはとてもひどいことだし、そのような人たちを受け入れていきたいなと思います
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小学生向け短編集ですが、とてもおもしろく、物語に入り込みやすい。多くの小学生に読んで欲しい一冊です。
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短い簡単な文章なのに、読んでいて涙が出てくる。ダウン症の子、知的障害の子、脳性麻痺の子。みんなこんなに無邪気で悪意を持たないのだろうか?悪いという観念もないのかもしれない。今の時間しか考えず、将来のことは想像すらできず、お金や生活への執着もないのかもしれない。でも、涙が出るのはなぜだろう?可哀そうだから?素直だから?人間的な豊かさから?それとも自戒から?文中では障害者に対する子供たちや大人の残酷さ・無関心も目を引くが、共感するこども達や親達は温かい。
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文句なしの5つ星のところまではよいのだけれど・・・
実際、なにができるか、だったりすると・・・
がんばれ!くらいじゃなあ・・・