白いおうむの森: 童話集 (偕成社文庫 3261)

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 104
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036526109

感想・レビュー・書評

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  • 『きつねの窓』を初めて読んだのは、小学校の教科書で。その幻想的な話にすっかり引き込まれてしまい、書店でも本を買ってしまった。
    久しぶりに安房直子さんの世界に浸りたいと思い、図書館で借りてきました。

    『雪窓』…幼い娘を亡くしたおでん屋台のおやじさんが、ある日、成長した自分の娘のような客が忘れていった片方の手袋を持ち、再会できるかもと、山を越え…。

    『白いおうむの森』…宝石屋にいる白いおうむに自分が生まれる前に亡くなった姉の名を教えて…。

    『鶴の家』…禁猟になっている丹頂鶴を誤って撃ち殺した男性。結婚したある夜、訪ねてきた丹頂鶴を思わせるような女性がお祝いに置いていったのは青い大きな皿。それに盛り付けると何でも美味しくなるが、家族がひとり、二人と亡くなるとそこに鶴の模様が現れて…。

    『野ばらの帽子』…山の別荘に家庭教師として招かれた男性は、家へ行く途中別荘を見つけられず、先を歩く女の子に聞こうと声をかけるが逃げられてしまい、追いかけるうちに…。

    『てまり』…お姫様には決められた遊び相手の子どもがいたが、はしかで来られず泣いているところ、鈴が中に入った綺麗な手まりをもった女の子が庭に入り込んできて、歌を歌いながら手まりをついた後、たもとに入れて除くとそこには不思議な世界が…。

    『ながい灰色のスカート』…川に流されたかも知れない弟を探すうちに、大きな長い灰色のスカートをはいた人に出会い、スカートのひだの間から弟の声が聞こえてきて…。

    『野の音』…服のボタン穴から不思議な音が聞こえてくるため、ボタン穴かがりを教えてもらいにその洋服店で洋裁師として働かせてもらいに訪ねて行く少女。それっきり帰ってくることなく、不審に思った兄が、妹を探しに洋裁店に働きに行くのですが…。

    どの話も、幻想的で、ドキドキして、少しサワッとするような怖さも感じたり。そのような二つが表裏一体のお話で、これぞ、安房直子作品!というものでした。
    お話を「書く」というより「描く」と表現する方がふさわしいと思える、情景が目の前に広がるお話ばかりでした。
    想像力の翼が広がって、どこにでも行けると、そう感じました。

  • 子供の頃 大好きだった安房さんの作品が懐かしく、Kindleて購入しました。

  • 安房直子の童話集。
    異界とこちら側の境目でうろうろするようなお話。
    やっぱり物悲しい。

    うさぎ屋http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4265928366のサフランの物語あたりはエンデっぽかったけど、こちらはもっと日本風。
    昔風の文章にあまんきみこを連想した。教科書繋がりか。
    白いオウムの森は谷山浩子の電報配達人がやってくるを思い出した。

  • 購入日:2010/06/18
    読了日:2010/06/19
    2冊合わせて、どの話も極端に悲しいわけではないけど、楽しかったり、面白かったり、わくわくする話ではない。
    ちょっと怖いような話や、しんみりする話が多いように感じた。

    好きだったのは、「てまり」。
    最後にお姫さまが、てまりをくれた女の子がもう子どもとして遊ぶのを止めたこと気付いたところ。
    ちょっと違うけど、キキララの白鳥座のお姫さまがダダをこねて遊びに来ていた話と重なった。

著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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