竜の座卓

著者 :
  • 偕成社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037271206

作品紹介・あらすじ

「おれはあんなてらてらしたテーブルなんかで、ぜったいめしは食わんぞ!」病気で倒れたじいちゃんと暮らすようになった、てつ兄とぼくは、じいちゃんのリハビリをかねて、夏休みに座卓をつくりあげる。しかし、じいちゃんが亡くなると、その座卓は両親によって捨てられてしまった。座卓には兄弟へむけた、じいちゃんの強い思いがきざまれていたのだが-。二人の兄弟と、死を間近にひかえた祖父との交流を描く、家族の物語。小学校高学年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 両親、兄妹、祖父、それぞれの家族に対する思いや様子について、読みやすい文章でつづられています。
    描かれている家族像はあまり「現代の家庭」という感じではないので、主人公と同じ小中学生が読むと、すこし違和感を感じるかもしれませんが、それも小説を読む醍醐味ではないかと思います。

  • 小学生の主人公かけると兄のてつ、そしておじいちゃん。三人で作った座卓を巡る物語。
    おじいちゃんが素敵。兄弟それぞれおじいちゃんからのメッセージを受け止め、成長していく姿が爽やか。
    うまく輪に入れないお父さんが少し不憫だったけど、とても微笑ましく、清々しい読後感。

  • 五年生の主人公かけるは、夏休みに苦手な平泳ぎを克服するため、市民プールで練習の毎日。
    父親と折り合いの悪い母方の祖父と中1の兄が去年一生懸命作った座卓を、祖父の死後、父が捨ててしまう。
    兄は、祖父の形見の座卓を探し出し、持ち帰るが、父とは絶交。
    新学期、かけるは平泳ぎでクラス対抗メドレーリレーに出場する事になるが、そこで、亡き祖父の思い出の龍神に出会う。
    大好きだった祖父とバイクに夢を馳せる兄との関係や、水泳を通して一回り大きく成長した少年の姿がうまく描かれていた。夏休みの読書にピッタリの作品。

  • ★★★★☆
    じいちゃんと作った座卓を父さんが捨ててしまってから、家の中がぎくしゃくしている。
    自立した息子たちがたくましく、父さん(妻の父と折り合いが悪く、未だひきずっている)ファイト!と思わず応援したくなる。
    読後感よい。
    (まっきー)

  •  子どもから見た大人。
     親から見た子ども。
     祖父から見た孫。

     子どもは自分の世界に、強大な権力を持って接する大人に不満を抱く。
     狭いながらも真摯で、理由が明らかな世界を、説明不足なまま否やを申し渡されるのは当然反抗したくなる。

     親には、子どもには説明しても仕方ない事情がある。そう信じている。
     その方が子どものために違いない。
     うまく説明はできないけれど、それがいいに決まっている。
     自分の子は、いい道を歩んで欲しいものだ。

     祖父は、それだけではうまくいかないことを知っている。
     子どもの無茶な行動の行く先。そこから得られるもの。
     大人がどう思惑を持っていても、子どもそれぞれが持った個性を動かしがたいこと。
     そして、死が近づいた者が持つ達観。
     無茶をやらせてやろうよ。

     

     父親の描き方がいじわる過ぎる気がして、いたたまれない思いをしながら読み始めたが、現実生活の象徴として描かれているようだ。
     反抗する中一の息子はバイクの後ろに乗ってツーリングへ。ここでもバイクは自由の象徴らしい。

     子育てと部下育成をよく比較してみるのだけれど、一番の違いはリスクに対して冷静でいるのが難しいことだ。他人である部下なら「よし、今回はお前の気持ちにかける。やってみろ」と言えることでも、自分の子が相手では「失敗したらどうしよう」と思う気持ちが沸いて来る。親も弱いのだ。
     祖父と言う世代になれば、そんな失敗や回り道が大したことではなかったと遠い目で判断できるに違いない。
     


     そんな世代の優位さがあるのだから、あまり父ちゃんを悪く思わないでくれよてつ兄。

  •  じいちゃんのリハビリをかねて、てつ兄とぼくが手伝って作った座卓。じいちゃんが亡くなった後、その座卓に文字と竜の絵が彫られていたことに気づく。《ツヨクナレアツクナレユメヲイダケ》

  • ここのじいちゃんはイイね。母さんも融通がきいてて、兄弟もいろいろあるけどいい感じ。父さんだけはちょっとかわいそうなくらいぐずってるけど、それもリアリティがあるのかも?
    じいちゃんと一緒に作った座卓を中心に、「さすらいの座卓」があるべきところに落ち着くまでの話。
    じいちゃんとの思い出がいいなぁ。
    それと、表紙の空がとっても好みです。

  • 家族それぞれの性格、心模様。主人公かけるの成長。座卓って、しぶいね。

  • なんかほっこりする本だった。
    兄弟っていいなあ。って感じ。

    題名はうーんもうちょっとなんかひねりが欲しかったかな。

    プールの中の竜はよかった。冒険好きのじいちゃん、いいなあ。
    てつ兄も。こーんなお兄ちゃんいたらいいなあ。
    オレだったら子どもの大事なものは絶対とりかえす、かあ
    いい奴じゃん。
    にしても父、この人、嫌な役割ふられちゃってちょっとかわいそう。
    どんだけじいちゃんと相性悪かったんだよ。
    この人だけちょっと家族の輪から外れてる感じもする。
    うーむ、まあそのへんも成長した兄弟なら受け入れていくんだろうけど。

    てつ兄のキャラクターって結構弟キャラだと思うんだけど。
    だいたい上は慎重、まじめで、下の方が自由奔放ってのが定番じゃん。
    ウチもそうだしなー。
    あの、自由さ、ってゆーかちゃっかりさって、ぼーとした長女には
    羨ましい限りなんだよなあ。

  • よみこん候補。パッと見地味な印象。読んでみると、なかなかよかった。夏休みの読書におすすめ。

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著者プロフィール

児童文学作家

「2018年 『もう逃げない!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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