クラスメイツ 〈前期〉

著者 :
  • 偕成社
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感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784038144103

感想・レビュー・書評

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  • 初森絵都体験。
    1クラス24人の目線から描く24章からなる短編集。
    読む前は「なんて無謀な試み!上手いこと繋がるんかい!?」と思ったんですが、なんて上手な構成、キレイに繋がる、キレイに落ちる。
    文章上手いな~と感心してたら「直木賞作家ですよ!」と友人から一言。
    あら!そうなの?流石!
    中学1年生の入学から終業式まで、上巻12人(12章)下巻12人(12章)。
    語り部を次々と繋ぎながら時系列は順番通り、前章のオチまたは顛末がさりげなく語られる。同じ人は2度と出てこないのだからこの人凄いわ~。
    と上巻は感心ばかりしてました。さぁいよいよ下巻突入!最後の学級委員長に1年分のオチはあるのか!?

  • 中学一年生になった一年A組の生徒それぞれの悩みや生活を、短い章ごとに語り手を変えて綴った物語。前期、とあるとおり、4月の入学から夏休み後までを描いている。
    A組のクラスメイト24名のうち、登場するのは半分の12名。残りは後期に登場する、という形になっている。
    登場するキャラクターがみななかなか個性的で、でも無理をして際立たせた個性ではなく、問題児もいればキツい優等生、目立ちたがり屋に地味で埋没気味な子、と「1クラスあったらいるよな、こういう子」という自然な個性の書き分けがされているのがさすが森絵都の物語だな、と思う。
    ちょっとくすりと笑いたくなるオチもあったりして、さらさらと読める。

  • +++
    日本のYA文学をきりひらいてきた森絵都が、直木賞受賞後はじめて描く中学生群像。中学1年生24人のクラスメイトたち、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描いた連作短編集。前期・後期の全2巻。 うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめき、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの1年間。だれもが身にしみるリアル。シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。
    +++

    小学校を卒業し、中学に入学するというのは、子どもたちにとって特別なことだろう。知っているメンバーも多いとはいえ、きのうまでとはまるで違う世界に放り出されたような心許なさや、いままで知らなかった世界を知ることができるわくわく感が入り交じって、複雑な心持ちでいることと思う。そんな24人がバトンタッチするようにひとりずつ主人公になっていく物語である。人間関係とクラスでの立ち位置を確保するのが彼らにとってどれほど大切なことかがわかるし、クラスという世界がすべての中学生の、まだまだ子どもに見えても大人顔負け、あるいは大人以上の生存競争の激しさに目を瞠ったりもする。24人の彼らが振り返って懐かしいと思えればいいな、と思わされる一冊である。

  • やっぱり児童書の森絵都さんがすき!
    と、再認識。中学生へ進学したクラスメイトひとりひとりの心情を丁寧に描いている。
    人間関係が少しずつ煩わしいものどと気づいたり、男女のあれこれに敏感になったり、家庭環境でイライラしたり、本当色々だよねっていうのが詰まった前編。
    読み切るのが惜しくてひとりひとりのお話にとても時間をかけて読みました。後期も楽しみ!

  • 吉田くんの「Pの襲来」が良かった。
    ガリ勉の吉田くん。三者懇談で教育ママが進路について先生に一方的に喋るが、吉田くんは女性担任の胸ばかり気になってしょうがない。
    そんな担任の先生から、思わぬ水泳部への誘いが。

  • 「日本のYA文学をきりひらいてきた森絵都が、直木賞受賞後はじめて描く中学生群像。中学1年生24人のクラスメイトたち、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描いた連作短編集。前期・後期の全2巻。 うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめき、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの1年間。だれもが身にしみるリアル。シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。」

  • 中学1年生のクラスメイト24人が各々の視点から連作で語る1年間。
    前後編で12人ずつ。
    面白いなと思う。
    中々できる本ではないだろうなぁ。
    読んでいると「私はこの子に近かったなぁ」とか「こういう子、いたなぁ」とか思い出せて面白い。

  • 中学1年生の1クラス24人の生徒が、1人ずつ主人公になった連作短編集。
    入学から始まって、そのまま季節が進んでいくという構成。
    そのうちの「前期」、12人の話。
    私が1番印象に残ったのが、陸くんが夏休みに公園で、入学早々不登校になってしまった田町さんと出会う「夏のぬけがら」です。
    小学生から中学生になると、世界が大きく変わってしまう。
    そんな中で居場所をなくしてしまった田町さん。
    田町さんのことがとても気になりますが、田町さんの話が載っているのは「後期」です。

  • 2クラスしかない中学1年生、1年A組24人のクラスメイト一人一人の話が1章ずつ書かれている。
    懐かしいなぁー、そうそうこんな感じ、こういうタイプの子、確かにクラスに1人はいたなぁー、そんな共感を持って読める作品。クラスがAとかBとかアルファベットになっただけで小学生よりぐぐぐーっと大人になった気分。私の頃は1学年、6クラス、40人だったかなぁー、学年全員の事なんて3年間一緒でもわからないし、話したこともない、なんていう人もたくさん。スタートは、出席番号順、初めましてで仲良くなるのは、本にも書いてあったけど席の近くにいる子。そのうち、部活が決まって、なんとなく部活繋がりだったりで、仲間がかわり夏休み前にはクラスの立ち位置やら、グループがほぼ確定。勉強が出来る、スポーツが出来るっていう子は、安定のポジション。行事だったり課外活動だったりでとにかく同性のパートナーがいないとクラスでの居心地が悪いのは昔も今も変わらないのかな。大学になればそんな事もないのだけれど。
    自分の事ばっかりで仲良しの友だちの悩みだったり、家の事情だったりなんて何も気にせずに過ごしてきちゃったなぁー。箸が転げても可笑しい時、テレビの話や、先輩の話や恋バナになにかとキャーキャー騒いであっという間に過ぎ去ったって感じです。読みながらその頃の初々しい気持ちが思い出されました。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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