- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040821610
作品紹介・あらすじ
だれも傍観者、忘却者であってはならぬ――
沖縄問題は、ヤマトゥが糊塗した欺瞞そのものである。
本質を射貫く眼差しと仮借ない言葉でこの国の歴史と現在を照らし出す徹底討論!
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:219.9A/H52o//K
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叩きのめされる。
「沖縄に住んでいる人だけが当事者ではなくて、日米安保体制にのっかって生活している人すべてが当事者なわけですよ。みんな、基地問題に責任を負っているわけです」
「ニッポンの正義は、いわゆる左翼も天皇もふくめて、戦後一貫して「なーんちゃって」だった」
「最低の方法だけが有効なのだ」 -
作家の逸見庸と、目取真俊が沖縄について対談している本。歳は15ほど異なる二人だが、その関心事はよく似ている。
本書のテーマの一つは、日本という国が、終戦を迎えて後、いかに欺瞞的に物事を総括し(つまり総括せずに)戦後復興とやらを遂げて現代にまでたどりついたか。そこで「なかったこと」にされ、不問に付されてきたものは、近代日本の中に連綿としてあった沖縄含む「周縁」への差別意識、戦争や植民地主義における加害責任、そしてその親玉として玉座に鎮座する天皇制である。
現代日本のもっとも凶暴なる首相である安倍晋三は、「平和国家日本」の中で突然現れたモンスターではなく、「戦後民主主義」のもとにずっとひた隠しにされてきた大日本帝国の亡霊であるし、またそれを心の底で支持してきた民衆の心の反映でしかない。悲惨な戦争と植民地支配が終わっても、なにがそれを生み出したのか、なにがいけなかったのか、それを省みることのできない私たち日本人が、安倍晋三のようなものを生み出し続けているし、また米軍基地と差別と暴力を沖縄に押し付け続けているのである。
個人的に興味深かったのは、暴力についての議論を辺見が目取真に振った際に、目取真はさらっと「暴力なんて、自分がやるかやらないかの問題じゃないですか」(p154)と肯定してみせていたことである。正確には「否定しない」。
そして、その上で「アメリカ兵に直接的な暴力をふるわなくても、米軍が一番イヤなのはゲート前の座り込みなんだな、というのが経験で分かってきたんですよ」と語る。
あくまで基地の機能を止め、アメリカ兵に打撃を与えるにはどうすればいいのか、ということに的を絞って冷静に議論をしている。
この本は、「ホンド」に住むほとんどのヤマトゥ(私ふくむ)にとって、手に余るものである。差別と暴力の構造にあぐらをかくマジョリティとして何をするべきなのか、鋭く突きつけられている。 -
20170926 同じ年代の作者なのに同じ国の話に感じない。この歳で初めて知る事も多かった。沖縄問題と言うのは米軍基地だけの話では無く、日本としての民俗問題でもあったのですね。恥ずかしいです。
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「基地問題の根底に横たわるこの国の欺瞞を、闘う二人の作家が仮借ない言葉で告発する!」(帯のコピー)
文化・芸能の沖縄ブームは政治的な沖縄を覆い隠してしまう
「沖縄経済は基地で成り立っている」は事実ではない
米海兵隊が沖縄に強いて駐留している必要はない
沖縄の現実とヤマトゥの二重三重の差別意識
深い断絶をつなぐ道はあるのか
目取真俊『沖縄「戦後」ゼロ年』とあわせて読みたい対談本