- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041006870
作品紹介・あらすじ
第143回直木賞候補作品
かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて…。
元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。
感想・レビュー・書評
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小1の女の子と猫のマドレーヌ夫人のお話
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小学校に入学したばかりの“かのこちゃん”。そしてその家にいるマドレーヌ夫人。
かのこちゃんは教室にいた“ずずちゃん”と言う女の子が気になり、友達になりたいと思う。かのこちゃんとすずちゃんはやがて一緒に遊ぶ仲になるのだが、その二人のやりとりを読んでいると、強烈な郷愁に駆られる。お父さんから教わった難しい言葉、2人だけの楽しいお茶会、そしてお祭りの夜。泣かせようとした文章ではないのに、むしろ、ふふっと微笑んでしまうような可愛らし描写にも、涙が滲んできて喉の奥に石が詰まったようにグーっとなる。あの頃の純粋な子供心をまるで今見ているかのような。あー、だめだー。書いてる最中も涙が止まらん(汗)
さて、マドレーヌ夫人とは•••
彼女には玄三郎という夫がいる。そして彼女には彼女のコミュニティがあり、井戸端会議にも参加する。それは街の開発のことや近所の人間の話。
そのマドレーヌ夫人とかのこちゃんとの絆もこの物語の見どころで、ここも胸熱ポイントだった。
とっても素敵なお話だった。読んでよかった。(図) -
「かのこちゃんとマドレーヌ婦人」はずっと読みたかった本
万城目さんの異色の絵本だと勘違いしていた
子供用だけど子供な大人も読めるメルヘンだと
なんでそんな勘違いをしたのかそこはわからないが
そんなふうに思ってずっといつか読もうと心に温めていた本
蓋を開けてみると、児童書?普通の小説?でした
あるオスの老犬と、あるメス猫と、ある人間の女の子のお話でした
かのこちゃんは、小学校1年生の女の子
玄三郎は、かのこちゃんちの年老いた柴犬
マドレーヌ婦人は外国語を話せるアカトラの猫で
ひょんなことからかのこちゃん家で暮らすことになる
日常に潜んだ不思議の中、出会いと別れと成長が心地よく響き余韻を残す
他の万城目作品からは一線を画す物語ですが
万城目さんらしいっちゃらしいとっても面白いお話でした -
友人が読んでいたというきっかけで購入。
最序盤は児童書っぽいかな、合わないか??とか思っていたけれど、言葉の回し方に洒落が効いていて読むほどに進む感じがすごく好きだった。
始まり方に反して最後はかなり映画的な盛り上がり方もするのに締め方がさっぱりしていて、こういう締め方をする小説は本当に好きなんだよなと思った。ちょっと泣いた。 -
長い間本棚で眠っていた本。なんて可愛らしい物語なんだろうと幸せな気持ちになった。
万城目さんが書く美しい比喩表現と、タイトルからは想像もつかない意外な展開にすぐ本の世界に浸れた。
かのこちゃんが色んな経験を積みながら日に日に成長していく姿が本当に健やかで、マドレーヌ夫人と玄三郎さんの関係性もとても素敵で。読んでて心が温かくなった。 -
万城目学、祝直木賞。
小学1年生のかのこちゃん、人間の言葉がわかり、犬とも会話ができる、アカトラのマドレーヌ夫人、そしてマドレーヌ夫人の『夫』、年老いた柴犬の玄三郎。
ほのぼのと話がすすんでいく…
かのこって、名前は鹿の子からきてたなんて。
『鹿が言われた』なんて…
おとうさんは、鹿男なのか⁇
茶柱、ならねう◯◯柱、笑えた。
マドレーヌ夫人が乗り移った『かとりさん』はどうなったんだろう。
ミンチの代金は…
肉屋はどうしたんだろう…
気になる…
かのこちゃんとすずちゃんのお茶会もよかったな。
また、かのこちゃんとすずちゃんが会えたらいいね。
マドレーヌ夫人と玄三郎もいい夫婦だったな。
マドレーヌ夫人、どっかに行ったとしてもきっと戻ってくるんだろう…
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万城目さんの本は初めて読みました。猫好きの私には犬と仲良しの猫もなかなかすごいなと思いながら読みました。かのこちゃんとすずちゃんの出会いと別れ、マドレーヌ夫人と玄三郎の出会いと別れ、成長に従い沢山の出会いと別れがあったことを思いだしました。乳歯が抜けて新しい歯が生えるように主人公も様々な経験をしながら大人へと育っていくんだろうな。沢山の人達に見守られながら。
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かのこちゃんが渋かわいくて、犬の玄三郎や猫のマドレーヌ夫人たちの会話が可笑しくて、この本がすごく好きになった。
かのこちゃんを通して、小学1年生に見えるわくわくした景色をもう一度見せてもらったよう。
少し切ないけれど、それ以上に温かい気持ちをくれた作品。 -
万城目作品の中で、1番のお気に入り。
指しゃぶりが外れないかのこちゃん。どこか気品漂う猫のマドレーヌ夫人。マドレーヌ夫人を想う優しい犬の夫、玄三郎。鼻ちょうちょを飛ばす仲良しのすずちゃん。どの登場人物を見ても何故か温かく心がホッとする。
柔らかな日常に起こる驚きの出来事は、さすがの万城目ワールド。しかし決して派手ではなく、優しさに満ちた日常の中の出来事として溶け込み、物語がより一層風通しの良いものになっていると感じた。