- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041008263
作品紹介・あらすじ
スパイ組織”D機関”の異能の精鋭たちを率いる“魔王”――結城中佐。その知られざる過去が、ついに暴かれる!? 世界各国、シリーズ最大のスケールで繰り広げられる白熱の頭脳戦。究極エンタメ!
感想・レビュー・書評
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キレッキレ・スパイ第三弾
これまでは短編だったが、ちょい長の中編「暗号名ケルベロス」が面白い!優劣がころころひっくり返るのが斬新でつい魔王スパイを応援してしまった
■謎を解くことは本来それだけで完結するものではない。解かれた謎は、謎を解いた者に責任を突き付ける。謎は解かれた。さあ、お前はどうする詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジョーカーゲーム第3弾。
今回も厳しい訓練をくぐり抜けたエリートプロスパイの暗躍を堪能します。
短編5編、体力的にも武術的にも優れた彼らですが、心理戦、思考の読み合い多めという感じ。
「誤算」
フランスのレジスタンスに近づき、思わず能力発揮。同志へのお誘いも受けてしまう優秀な潜入。
「失楽園」
シンガポール、ラッフルズホテル。ターゲットの心理を思うままに方向づける、印象が残らないバーテンダー。
「追跡」
これは、凝ってる。結城中佐の過去を追う、英国特派員兼スパイ。これこそ、結城のルーツと手に入れた情報は、20年以上前から、自分の出自を準備していた罠だった。結城中佐の勝利。
「暗号名ケルベロス」前・後
愛していた夫を国策で殺された女性。仇を討つため、敵国のスパイとなる。船上でのスリリングな展開。全てを成した後、D機関のスパイに全て打ち明け、娘と愛犬を託す。船上で、口笛を吹きながら、たぶん子育てを決心したスパイ。良いわ。 -
「ジョーカーゲーム」第3弾。
いつも通り、各エピソードに分かれてる。
D機関のメンバーのそれぞれの活躍が。
D機関って団体やけど、スパイは集団行動ではないので、各エピソードになってまうな。
たまには、大作戦みたいなので、集団行動して欲しいとは思う。
そもそも、超優秀やけど、強烈な個性の固まりなんで、集団行動不向きかも?
今回は、結城中佐の出自を明らかに!…でも、予想通り、既に手は打ってあって返り討ち…
別にスパイでなくても、何事も最悪の事態を想定して動かないとね!
リスクヘッジやね。
D機関の一人勝ち(^_^)v -
粉塵爆発、最近ではミステリーによく登場する。条件は3つ、日本人ならみんな知っているとあるが、そんなことはない。少なくとも私は江戸川コナンに教えてもらった。「酸素」、「爆発下限濃度以上の可燃物の粉塵」、「最小着火エネルギー以上の着火源」。
雑誌に連載されていたからか、同じ表現が繰り返されるのは避けてもらいたかった。
本作の4つの作品の中で、暗号名ケルベロスは中編、しかし本の題名はこの中編ではなく、失楽園である。その意味は読んでみればわかる。私が題名をつけるなら「トラッキング」だ。
容易に見つけられないものは容疑者本人にみつけさせればいいんだ。優秀な獣は猟師が追い詰めたと思った時に逆に追い詰められている。
柳広司氏に読者である私も追い詰められているのかもしれない。 -
相変わらず読みやすく面白い! 全ていい感じのオチなので疲れていてもダメージないです。ありがたい。
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今回の話は、前作と比べて不測の事態が起こることが多かった。しかし、今までは難なく任務をこなしていくD機関の精鋭達だったが、予定外のことに慎重に対応していく姿が緊張感を持たせて物語にメリハリをつけていて、読みやすく楽しかった。
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シリーズ3作目。
「暗号名ケルベロス」は驚いた。そういう決断とは。
D機関のスパイにああいう感じの心意気を見たのは初めてかもしれない。 -
シリーズ3作目とは知らず今作から読んでしまった。
でも読みやすい文体で初めてでも読みやすかった。
D機関の異能っぷりがずば抜けていて、それぞれの対処の仕方が鮮やかで痛快。
短編それぞれに登場する人物は同じ人?それとも別の人物?
すべての話は関連していて、シリーズ一作目、物語の始まりが気になる。 -
「誤算」「失楽園」「追跡」「暗号名ケルベロス」の4編(内、暗号名ケルベロスは前後編)収録の3巻。
このうち、失楽園以外がアニメで取り上げられていました。
アニメ本編で一番腑に落ちなかった暗号名ケルベロスのエンディング。小説ではとても丁寧にその決断に至るまでを語っていて、やっと納得できた次第です。やはり、こういう細やかな心理描写は小説の得意とするところですね。
誤算は、アニメでは少しだけアレンジが加えられているので、小説からアニメでも、アニメから小説でも楽しめるようにとの配慮なのかもしれません。しかもそのアレンジが、話の大筋には邪魔をしないものだから、スタッフ陣のにくいこと。
追跡は、アニメの方だと一編の映画を見ているような気持ちになりましたが、こちらでは、うすら寒い気持ちになりました。全編通して漂う、冷たい空気感というか、どこか空虚な雰囲気が、最後、主人公であるイギリス人記者が何事かを悟る瞬間でさえも覆っていて、彼が最後に見る晴れた夏の空でさえもどこか不吉に思えて不思議です。結城中佐の掌の上で転がされる滑稽さを疑似体験できる短編かと。
失楽園は、一番のお気に入りでした。各国の情勢や国民性、どこの国にも存在する偏見に基づいた愚かなジャッジメント(これは暗号名ケルベロスでも健在です。縦書きだから日本語は尊いだとか、神聖なる日本語は横書きでしか文字を読めない外国人には理解不能だとか、同じ日本人として顔を覆いたくなるくらい愚かしい妄信が跋扈していたのかと思うと、戦後何年経っても恥ずかしさは消えません)がよく描かれていると同時に、単に知識の披露になっていないところに、柳広司の技量と矜持を感じます。
失楽園のエンディングも、不吉とまではいかないけれど、人間の愚かさを描いていて、でも、その愚かさも含めて人間なのだと微笑むようで、すごく好きでした。読了後、次の話にすぐに飛びつけなかったくらいに。
D機関シリーズ、本当にどれも良作なので、ライフワークとして今後続けていってくだされば、と願ってやみません。 -
シリーズ第三弾。スパイ小説だが、派手なアクションシーンは無く、良い推理小説のようだ。かっこいい。