雪国 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008461

感想・レビュー・書評

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  • ちょっとドロっとした人間模様。どこか郷愁を誘う綺麗な文章。次は、雪を見ながら温泉宿で再読したい。

  • 難しい。大筋は単純な話ではあるけれど、何度か読み込まないと、理解できないな。ただ描写は本当に綺麗。風景描写が美しい。

  • 純文学。妻子がいながら、雪国の温泉宿で芸者の駒子と過ごす主人公。さらに葉子にまで興味を持つ。色に乱れたシーンは無いが、内容はエロに近い。うーん、よくわからない。

  • すべてを文にして語らない、それが川端康成の作風だと思うし『雪国』ではそれが特に顕著だと思う。

    寒々とした風景の描写はひたすら美しい。
    星空の描写が特に好きです。

    自分にとっては意味の内容なことが他人からすると生きていく理由になるというのは今でも通じるテーマ。
    小説なのに、文豪なのに『書かないこと』を徹底して必要最低限な言葉で構成された作品なので、一から十まで説明してほしい人からすれば読み取るのが難しい。
    文章からいかに『察する』かが求められる。

    すべてを咀嚼できているとは思えないのでまた時間を空けて読んでみます。
    駒子は一生懸命で哀れでかわいい。

  • 文学的評価が定まっていて、さらにノーベル文学賞を獲っているから読み通せたのだけれど、もしこれが無名の作品だったら、きっととてもではないが最後まで読み通すことはできなかってだろう、と思う。

    「結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている~この指だけは女の触感で今も濡れていて~鼻につけて匂いを嗅いでみたりしていたが」この箇所は色々な人が取り上げているけれども、こういった清潔な色っぽさの描写にはっとさせられる。他にも、「人間は薄く滑らかな皮膚を愛し合っているのだ」「島村は死骸を捨てようとして指で拾いながら、家に残して来た子供達をふと思い出すこともあった」「そうして駒子がせつなく迫って来れば来るほど、島村は自分が生きていないかのような苛責がつのった。いわば自分のさびしさを見ながら、ただじっとたたずんでいるのだった」という表現に、ああ、こういう表現もあるのか、と、感心した。

    どこかで感じたことがあるような、名状し難い感情の揺れ動く瞬間、しかも数時間も経てば忘れてしまうような感情の僅かなさざなみに、こうも的確な言葉を与えられるのかと思うと、その表現手法に驚いた。

    あと、駒子と葉子の話しぶりや身振りや台詞回しが妙に生々しく、確かに男女の会話ってこんな感じだよなあ、と思わせられる部分が多かった。そういう男女の交わりを品格を損ねないで描ききるのはすごいな、と思った。

    けれども、じゃあ、話として面白かったかと言われると、別にそうでもない。いや、別に不倫がダメとか、主人公がクズだから嫌だったとか、人格者ぶりたいわけでもなく、ストーリーラインがずっと平坦でなだらかで気怠い感じがどうも性に合わない感じがした。

  • 物語に入っていけなかった。時間を置いて再読したい。

  • 名著と言われているから読んでみたが、
    物語の内容としては平坦で少し退屈に感じる場面もあった。
    だが、それを許容して読み進められるほど、描写、特に情景の描写が丁寧かつ美しく、雪国出身の自分にはありありと想像できて旅の哀愁を感じられて心地よかった。

  • 無為徒食でニヒルな島村と、不器用だが素直で純粋な駒子との愛のかたちが描かれた本。
    徒労を嫌い蔑み、虚無でもあり事実をそのまま受け取るような島村と、熱を帯びた情念で素直に生きる芸妓の駒子の対比が、特に最後の火事の場面において印象的に書かれている。
    「徒労とは」
    人々は無駄を嫌うが無駄をしない人などおらず、駒子のような徒労を続ける、続けることができる強い人間を逆説的に肯定している作品だと感じた。

  • 川端康成、雪国。
    この作者、作品名は知っていたけれど初めて読了。

    景色や空気感に透明感があり、描写が美しい。
    内容や話の展開、これって言って特に響かず。
    美しい日本画を見ているような作品。

  • 島村には虚しい徒労と思われる、遠い憧憬とも哀れまれる、駒子の生き方が、彼女自身への価値で、凛と撥の音に溢れ出るのであろう。
    日頃無駄だと思われることも、積み重なればその人の生き様、価値になるのだと感じた。
    景色の、特に星空の描写が臨場感があって素敵だと思った。
    駒子がうざったく感じた。
    2人の会話が難しくてすごく考えてしまったりした。話が前後で全く違ったり、飛び飛びで理解するのに苦労した。

著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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