- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041009215
作品紹介・あらすじ
昭和40年代。小学三年生の僕らは秘密結社ウルトラマリン隊を結成して、身の周りの事件に挑んでいた。そんなある日、不思議な力を持つ少年リンダが転校してきて――。懐かしくて温かい、少年たちの成長物語。
感想・レビュー・書評
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昭和40年代の下町に住む6人の子供たち。
これはただのノスタルジー溢れる少年たちの成長物語ではない。
6人のうち1人、転校してきた男の子『リンダ』。
何とも不思議な力を持っている男の子で、どうやら地球の子供ではない。
この設定が非常に素敵。
そして子供たちの中の1人、『ミハル』は男の子なのだけれど、心は女の子。
今でいう性同一性障害。
今でこそ沢山の有名人が自分のジェンダーをカミングアウトして、
多くの人達に様々な“性”があるのだと、世間でも知られるようになっているけれど、
当時の日本でそれを表に出すのは、さぞ大変な事だったでしょう。
最初は戸惑っていた子供たちだが、時間が経つにつれて『ミハル』を自然と女の子として見ているシーンがとても良い。
子供の頃の記憶とは、どうしてこうもキラキラしているのでしょうか。
懐かしさと不思議さがうまく交わって、とても優しい作品でした。
他の星から来た子と仲良くなれるなんて、やっぱり
とても素敵。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずっと過去形で語られているので、どういう終わり方をするのかとハラハラしながら。。。
結果、素敵な終わり方でしたが。
正体は謎のままだけれど、大切なのはそこではなく
彼らと過ごした子供時代なのだろう。。
同級生の女の子とか、救われない部分もあったけれど
本当に、人はいつ大人になるのだろう。。
いつから、色々とあきらめてしまうのだろう。 -
昭和40〜50年代に小学生だった著者と同世代の人でなければたぶんツライ。どんぴしゃの世代なら、オレンジ色の空と歩道橋と建物、この表紙だけで郷愁に浸れそう。
あのとき「ボク」たちが流れ星を追いかけた先にたたずんでいた「キミ」。35年前のことを回想しながら、ボクはもう会えないキミに語りかける。キミはきっと宇宙人。
ウルトラマンに仮面ライダー、(たぶん)カンロ飴と、その頃を懐かしむ要素がいっぱい。だけど、ノスタルジックな小説の名手にしては期待値より上とは言えなくて、阪本順治監督の『団地』(2015)を観たときのような気分です。 -
小学三年生の少年たちが奇妙な流れ星を見た日、不思議な力を持つ少年と出会う。身の回りに起こる事件を経て、成長する少年たちを描くノスタルジー小説。
懐かしい昭和40年代の風景が甦る。少年時代の世界は狭かったけど、夢と希望は無限だった。それぞれの事情で、あの頃のようには再び戻ることはできないが、決して忘れられない日々である。朱川版「スタンド・バイ・ミー」。 -
40代半ばとなった中年男性が少年時代のある時期に一緒に過ごした"謎の少年"との思い出を回顧するところから物語は始まる。朱川湊人お得意の当時の流行りや時代背景がマニアックに描写されており、空き地、探偵団、冒険、秘密基地等のキーワードは暗くなるまで遊び倒した"あの頃"を痛烈に思い出させる。子供同士の絆や友情、頑張っても頑張っても子供故の非力さにより世の中に対して何も出来ない悔しさが絶妙に描かれており、その苦味を噛み締めながら成長していくさまは涙を誘う。SFチックな要素を含んだファンタジー作品で全体的には陽気な内容ではあるが、貧乏、親の離婚、虐待、人の死、性同一性障害等のパンチの効いた出来事がスパイスとなり話を引き締める。死というものを考えた時、結局最後に残るのは生きてきたそれ迄のたくさんの喜びとたくさんの悲しみという本作のメッセージは胸に強烈に響く。
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心があったまる少年達のストーリー
これを読むとなんだかホッとする -
宇宙人に、地球人の良さを教えられる物語。
少年時代の純粋さを思い出す。 -
「もう三十五年以上の時間が過ぎているのに、あの時の光景を思い出すと、僕はなぜだか息が苦しくなるような気がする。本当にどういうわけか――胸がドキドキしてくるのを感じるんだ。」
全編を通して懐かしい気持ちが爆発する。まるで自分の思い出みたいに、心の奥からじわじわと、切ないような楽しいような眩しい気持ちが溢れて止まらない。