みんなのうた (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009550

作品紹介・あらすじ

夢やぶれて実家に戻ったレイコさんを待っていたのは、いつの間にかカラオケボックスの店長になっていた弟のタカツグで……。家族やふるさとの心の絆に、しぼんだ心が息を吹き返していく様子を描く感動長編!

感想・レビュー・書評

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  • 夢破れ 田舎に帰って来た主人公の話

    何となく東大受験に何度も挑み
    何度も落ち
    何で大学に行きたいかも分からない
    田舎に戻り でも勉強し
    無難な大学にするか…東大また挑むか…

    自分の場合は、ずっと何となく生きてしまい
    小さい頃からの夢もなく
    カレーを食べればラモスになれると思っていた(Jリーグカレーじゃん!!)
    でも、この主人公のように がむしゃらに挑むとか 自分には無かったかなぁ

    人は選ぶ道が間違ってても、それを正解として進んでかなきゃイケないし

    自分はどちらかと言えば、主人公の弟さんっぽい性格かなぁ…2話のコイノボリの話はグッと来たなぁ

    とにかく元気で居ればいいし
    目標があれば挑めば良いし
    無理だったり、状況的に無理ならその環境内で1番いい選択して誰のせいにもしない。
    ってのが1番だと思う

    自分のいる場所が
    良いと思えば【城】になるし
    悪いと思えば【牢】となる

    でも田舎の過疎化は嫌ですよね
    どっちかって言うと田舎の方が好きですし…

    ※結局 話は変わるけど何が言いたいかって言うと
    【野球バンで「消える魔球は3回まで!」と決めてるのに4回目使うと 友達は暫く話してくれないよね?】って事!!

    • 土瓶さん
      野球盤を持ってる友達が羨ましくて、よく遊びにいったものです(笑)
      野球盤を持ってる友達が羨ましくて、よく遊びにいったものです(笑)
      2023/03/04
  • 故郷を題材にした家族の物語。

    高校まで過ごした故郷を思い出させてくれた。

    故郷って大事だね。
    家族って大事だね。

    たまには帰省しなきゃなって思わされる作品でした。

  • 三浪して梅郷にかえってきたレイコさん。
    田舎から東京に出たことで、比較しながらも田舎で生活し周りの人からも刺激を受け価値観が変わっていく。

    田舎特有の、距離感が近くてウザったい感じも、そのお陰で安心感のある居場所になりうる感じも「田舎あるある」だなとほっこりしました。
    田舎って狭くて個人情報筒抜け窮屈コミュニティだけど、その辺は書いてないからちょっと都合いいなと思ってしまった。

  • 家族のせい?家族のため?
    めんどくさい繋がりの一番近い存在。甘えがあるため言いたいことも言い過ぎてしまいがちで、反面、言い難いことも沢山。
    レイコさんの葛藤、家族、田舎のしがらみもよく分かる。でも結論は出せないけど、大事にしたいものが、よく伝わってきました。
    重松さんの作品は、なんともならないことになんとか着地点を見つけようとする、やるせなさを自身に重ねて考えさせられます。

  • 懐かしい!とにかく懐かしい!
    昭和の香りがぷんぷん~(笑)

  • ふふ、っと笑う。レイコさんのほうを見て、「いいこと教えてあげよっか」とつづけ、人差し指を口の前で立てた。
    「田んぼのカエルの声、よーく聞いてて」
    聞こえた。いつも変わらない、ごくあたりまえのケロケロ、ケロケロ。
    だが、イネちゃんは「この雨、もうすぐあがるんだよ」と言った。
    「そうなの?」
    「うん。雨の日にカエルがこういう鳴き方をするときは、いまはどんなに天気が悪くても、明日は晴れなんだって。おじいちゃんが教えてくれたの。よーく聞いたらわかるから」
    カエルが仲間を呼んでいるように聞こえるかどうかがポイントだという。
    「雨が降っていると地面に出ても水がたっぷりあるから、田んぼから外に出て遊びにゆくわけよ、お調子者のカエルは。でも、ちゃーんとわかっているやつは、田んぼに残っているわけ。で、お調子者の仲間に教えてあげるの。おーい、そろそろ帰って来いよぉ、雨が上がると干からびちゃうぞぉ、おまえのふるさとはここの田んぼなんだぞぉ‥‥カエル、帰れ、カエル、帰れ、カエルカエレカエルカエレ‥‥って感じで聞こえない?おじいちゃんは、そんなふうに鳴くカエルのこと、フルサトガエルって呼んでた」(155p)

    中国地方の「田舎」の中核市鶴山市の沿革町梅郷町に東大への夢破れてレイコさんが帰郷した。他県のモンにはわからんかもしれんが、岡山県人にはすぐピンと来る。人口減少が続いている10万人都市鶴山市は県北最大の津山市、梅郷町は重松清の実家のある真庭市、そして県内最大の都市山陽市は岡山市であることを。だから、とってもイメージ豊かに読む事が出来た。

    田舎の天気予報名人の「おじいちゃん」のエピソードは、レイコさんにとって忌むべき田舎が次第と愛しいモノに変わってゆく風景の一つではある。

    それでも、同じ県北の美作市で作家活動を続けているあさのあつこと違い、重松清は決して田舎に帰ろうとはしない。レイコさんも最後の決断は、重松清と同じだった。東京に行ってしまった。重松清にとって、常に岡山弁の会話は「フルサトガエル」なのである。それが若干寂しい。

    最後は若干のお涙頂戴の話に持ってゆき、曖昧に終わらす。重松清に物足りないのは、そういう処なのである。
    2013年9月16日読了

  • 都会生まれの都会育ちで地元から離れて暮らした事のない自分には過疎化の進む田舎の生活は感覚として理解し難いものがあったが、人の優しさ、家族の温かさは心に沁みた。
    とくに『エラジンさん』の話しは良かった。ほんとうのエラジンさんとはどんな人なのか、地位や学歴、収入じゃないよね〜

  • 「家の光」連載、か。わかりましたわw バランス完璧。読むほどに納得~

  • 器用な人の見え見えの本。鼻につくやさしさ。これで卒業。

  • 松重ジャンルのひとつ、Uターンもの。
    主人公のレイコさんより、イネちゃんの存在感が大きい。
    ヒタヒタとイヤな空気が満ちつつあることが感じられる昨今(2015年2月)、クライマックスのキミ婆の言葉を胸に刻む。
    「あたりまえのことでも、それがほんまは、ものすごう幸せなことなんじゃいうんを…あんたら、忘れたらいけん、絶対に忘れたらいけん……」

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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