- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041012239
作品紹介・あらすじ
「何かが教室に侵入してきた」。学校で頻発する、集団白昼夢。夢が記録されデータ化される時代、「夢判断」を手がける浩章のもとに、夢の解析依頼が入る。こどもたちの悪夢は現実化するのか?
感想・レビュー・書評
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常識を超えた能力や現象をテーマとした恩田陸さんお得意のミステリー。他人の夢を記録として取ることができ、主人公の浩章はその夢判断を職業としている。あるとき、何年も前に死んだはずの古東結衣子が主人公の前に現れる。それから集団幻想や神隠しなど次から次へと不可思議なことが起こり始める。古東結衣子は夢で未来の災厄を予知することができたのだった。夢を巡って物語は予期せぬ結末へとなだれ込む。見方を変えるとこれも一つの恋愛ものかもしれない。ユングの集団無意識の考え方を取り入れて物語を紡いでいるが、うむひょっとして、もしかすると世界を動かすのはその集団無意識かもしれぬ。
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夢を記録する事のできる未来。夢判断という職業の主人公が、かつて予知夢を見ていると認められた女性の「幽霊」に翻弄される。
この話の世界観は結構好みで、一気に引き込まれたのだが、最後の方はやや無理やり感が否めなかった。集団ヒステリーや神隠しなどの結局の理由がいまいち分かりにくかったり。実は最後のシーンは主人公の夢なのでは?という気もするし…なんだかちょっとモヤモヤが残る読了感。 -
恩田さんワールド全開!
恐ろしくも冷たい美しい「夢」の世界。
着地点や伏線の回収など最後の最後までどうなるのか全く予想もつかずページをめくる手を止められなかったです。
そしてラストはと言うと、『ネクロポリス』もそうだったけれど、広げた風呂敷をぱたぱたっと急速に閉じた、というより今回は一気にくしゃっとまるめたという感じ。賛否両論ありそうな、それくらい唐突。
でも、そんなモヤモヤが吹き飛ぶくらいラストシーンがとても美しい。このラストシーンに向けて物語を創っていったのかな、と思うほど綺麗でした。
もっと読んでいたかった。もっと世界に浸っていたかった。むずむずと物足りなさも湧いてきたりして。それも含めて恩田さんの世界観たっぷりな作品でした。読んでいて楽しかったです。堪能! -
みなさんレビューしている通り、途中からわけがわからなくなりました(笑。でもそのわけのわからなさを「恩田さんの作品」として受け入れているファン(?)のみなさん。私は正直ダメでした…『六番目~』『Q&A』『MAZE』は面白かったのに。序盤のわけがわからないながらも不気味で引き込まれる感じは『MAZE』同様、期待が盛り上がったんですけど…結局ラブストーリーになっていったような。
浩章、奥さんいるくせに、存在が途中からどっか行っちゃってる(笑。最後の章の意味がわからないってみなさんも言ってたけど、私も不満。二人、夢の世界で会ったにしろ、現実で会ったにしろ…奥さんはどうしたの?(←瑣末なことをいつまでも突っ込むなって?)
ドラマ『悪夢ちゃん』が面白かったので読んでみたんですけど…そういえばこちらが先に書かれていた。なので「夢札」「獏」「古籐結衣子」の設定を借りてきたのみとわかった。
ドラマファンの人が読むと肩透かし食らうかも。 -
初めのうちは、幽霊が出てきているのかと思って怖かったけれど、読み進めていくうちに、悲しみ・・・というか、切なさがこみあげてくる感じでした。
何のための出来事かわからない部分もあったけれど、読み始めたら止まらなくなって、一気に読破。 -
常野物語シリーズかと思ったら集団的無意識の話で、オカルトかと思ったら恋愛小説だった。半分読む前に「これはアレだな!」と思った通りに恩田さん通常営業の風呂敷たたまなさで。あの恩田さん好きにとっては大好きな、恩田さん苦手な人にとっては苦手な要素になるいつもの雰囲気。もちろん好き。最後の一章の前までで、どんな結末にしてもどうでも良くなるくらい恩田さんワールド詰め込んであってすごくおもしろかった!余談だけど、日本サッカー協会のシンボルマークの鳥がやたがらすなのを初めて知った。
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10合目まであるつもりで登ってたら8合目が頂上だった、みたいなところがある恩田陸。
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夢と現実の狭間をたゆたっていたような心地。
すべての謎がスッキリ解決というわけじゃないけれど、彼らにとっての幸福の形はこれなのかも。