ナモナキラクエン (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 361
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041016237

作品紹介・あらすじ

「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言って、父さんは死んでしまった。残された僕たち、山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)は、それぞれ母親が違う兄妹弟。父さんの言う「楽園」の謎とは・・・・。

感想・レビュー・書評

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  • 「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言いかけて、父さんは逝ってしまった。山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)と名付けられた僕らきょうだいと、一通の手紙を遺して。僕たちの母親は、4人とも違う。手紙には、それぞれの母親について書いてあった。「必要があると考えるなら、会ってこい」なぜ父さんは、結婚離婚を繰り返し、僕ら「家族」を作ったのか。一夏の旅の果てに明らかになる真実とは…。鮮烈な結末が胸を打つ、ビタースイート家族小説。

  • 父子家庭で暮らす四人兄弟は全員母親が違い、かつ父と離婚しているというあまり例がない家族の話。
    序盤で父親が急死してしまい、子供達はそれぞれの母親にその事を報告しに行く。言ってしまえばそれだけのストーリーなのですが、小路作品の特徴である全員が個性的かつ善人という描き方が爽やかです。

  • 家族。
    何時だって何だって出来る人間は多くを語らない。
    4人のこどもと父親お話し

  • 繊細な人間関係の機微を書くのが上手い作家さん、という印象。映画で、台詞無しで表現される絶妙な間合いを言葉で表すのに長けている感覚。冒頭の、海辺の凧のシーンは風景と、複雑なものを内面に持ち合わせた2人の出会いと会話、という「画」が読みながら頭にクリアに浮かんで来た。

  • 小路さんの家族小説好き。
    だけど最後、途中から少し分かっちゃったけど
    ちょっと意外な結末。
    複雑だけど良い家族だなと思った。
    暗い設定のハズなのになんか爽やかな読了感。
    暗い感じでは無かった

  • 小路幸也さんの「ナモナキラクエン」読了。家族の絆を考えさせられる物語。「楽園の話を、聞いてくれないか」と謎の言葉を言いかけて亡くなった父。残された長男「山」は異母兄妹の「紫、水、明」と離婚した母親をめぐる旅を計画するのだが。。やっぱり小路さんは家族の物語を書くのがうまい!大学生から小学生の兄妹は、それぞれに性格や好みも異なり、言動が楽しい。夏休みの旅の結果、楽園の意味って何だろうと考えていたら、あっという間に読み終わった。意外な結末でしたが、家族の絆を考える良い機会になった。家族小説好きな人はオススメ♪



  • 湘南のとある家族の物語。

    四人の子を持つ父親。だが、兄弟は皆母親が違う。一つ屋根の下。ある日、父は「楽園の話を聞いてくれないか」と、言い残し、旅立つ。

    産むつもりではなかったのに産まれてしまった子、経済的理由で捨てられた子、虐待から逃れた子、望まれて産まれてこなかった子...
    も、世の中にはいるわけです。

    しかし、出生はなんであれ、育て上げられた環境がどんなに重要か。

    赤ちゃんポストの意義と意味を反芻する。
    賛否を問うのはそこなのか、と。

    母になったあなたはどんな気持ちで、これを読み終えるのかな。

    一冊を通して、実に爽やかで前向きな作品でした。家族ものを書かせたら、やはり小路幸也氏が今のところベストだな。

  • 全員母親が違うという4人の兄弟の、少し変わったかたちの家族の物語。
    ずっと育ててくれた父親が突然亡くなる。
    そこから家族のかたちはどう変わっていくのか。

    決して家族に依存しているわけじゃない。だけどそこには確かな絆がある。



    ごく普通の平和な家庭でした。自分のことをちゃんと気にかけてくれている。可愛がってくれている。本当に感謝している。
    「それでも、家を早く出たかった」
    何かを目指すのならそれは自分の力で目指さなきゃならない。他人の助けをあてにする時点でそれはダメになっていく。
    「一緒にいたくないんじゃない。だた、そこから一歩でも遠くへ行くことが、生きていくってことだと思ったんだ」

  • ほのぼのとしたラストで終わらせない兄妹達の宿命のようなところまでしっかり見せています。だからこそ、父の存在が重い作品です。こんな生き方ができたらほんとかっこいいと思い、羨ましくなります。

  • 四人兄弟と家族の話。
    2016/3/1

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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