鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018880

感想・レビュー・書評

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  • なんだか壮大であって盛大な作品である。いろいろなテーマやサブテーマが散りばめられていて、現代の病気や戦争のことを事細かに時代背景は違えどよみがえらせている。謎の病、黒狼病それは狂犬病のようだがそうではない。vector を通じての病、そして一度症状が現れると死を免れることはできないのをみて、狂犬病と1300年代にblack deathと呼ばれた悪しき病でヨーロッパの人口を40%も減少させたペストを彷彿させるような架空の病。そして、この時代にワクチンの発明の先駆者でもあるsmallpoxで有名なEdward Jennerの手法を取り入れた抗体の取り方をみていて、すごく興奮してドキドキしたとともに昔の人たちの神のあがめ方はきっとこういった不治の病から信仰したのだろうなと思わされた。ほかにも、脳科学で有名なMorris Water Navigation Taskというラットを使った脳と学習行動における実験も出てくるのですごくおもしろい。残念ながら、現代において科学も医療も発展していっているのに人々の思想は自然派といってワクチンを拒否する親も増えてきている。そんな今だからこそもう一度、子供たちの未来、私たちの未来を考えさせられる。

  • 壮大な物語。
    ヴァンとホッサル、二人の主人公。
    初めは交わることなく、これからどう交わってくるのか…と楽しみにしながら読み進める。
    命、争い、病…
    考えさせる事の多い物語。
    「還って行く者」へ続く。

  • 『鹿の王』上橋菜穂子 | 角川書店 | KADOKAWA
    http://www.kadokawa.co.jp/sp/2014/shikanoou/

    KADOKAWA/角川書店のPR
    http://www.kadokawa.co.jp/product/321403000185/

  • 本当に久しぶりのハイファンタジー。上橋菜穂子さんのこの本で良かった!と思いました。とても面白い。
    詳しい感想は「下」を読んでから、と思うのだけど、ここまでの展開もドキドキワクワクして、食い入るように読んでしまった。

    ヴァンの温かい人柄、ホッサルの冷静で賢明な判断、どちらも読んでいるこちらの気持ちを削ぐことがなく、胸が高鳴る。
    登場人物と地名の多さに初めは何度も行ったり来たりしたけれど、慣れると頭の中で人物が活き活きとしてきて嬉しかった。

    ホッサルとヴァンの冷静沈着なところ、あまりにも説得力がある。唸る。

    二人の主人公のストーリー、こんなところで!と終わってしまった。どうなるのか、下もとても楽しみ。

  • 2016年に読んでいたのですが、再読。
    その時も一気に読んだけど、感想書けなかったんですよね。深すぎて。

    ただ一つ言えることは、上橋菜穂子さんはすごい。
    これ、図書館とかで児童書に分類されているんだけど、児童書か? 本当に?
    まず文章が美しい。情景が浮かぶよう、とはよくいうけど、色とりどりの景色が見えました。
    (想像力ない自分にも見えたから、本当にすごい)
    あと、世界観がすごい。全然手抜きしてない。深く何層にもなって世界を作っている感じ。
    会話も高度。児童向けだと手抜きしてない。賢い人、そんなに賢くない人、色々企んでいる人、いろんな人がいるけど、キャラクターがしっかりしてるから、すごく深い。

    確か以前も一気読みだったけど、今回も一気読みで下巻に行きます。

  • 映画の予告見て読みたくなりました。
    まだ間に合うなら観に行こうかな。。
    かつて国を恐怖に陥れた黒狼熱に限りなく近しい病気が見つかった。
    その犬(?)に噛まれて発症したのに生き残った逃亡奴隷のヴァンと同じ岩塩鉱にいた幼子のユナ。
    黒狼熱を治そうと奮闘するオタワルの民であるホッサル達。
    2つの話を軸にして交互に物語が展開されますが、とても読みやすい。そして、この2つが交差するのが楽しみで仕方がない。結構早いうちからヴァンが見つかっちゃうかと思ったら絶妙にならなかったし。
    大陸特有の国同士の侵略や差別、服従に圧政といった重々しい背景がありつつ、極めて致死率の高い黒狼熱が人為的可能性で広められる恐怖。
    内容がシリアスな中で、時にはさまる天真爛漫なユナや、飛鹿とかトナカイなどの動物の描写が可愛くて癒される。
    オタワルの民は西洋医術、清心教は東洋医術なのかな?とか現代との共通点を探しながら読むのも面白い。
    壮大な内容で停滞する場面もなく、読み応えがあるので下巻まで一気読みしたくなります。

  • 上橋ワールドにまたもやどっぷり浸かってしまった。
    架空の世界の聞きなれない名前が次々に出て来て戸惑いながら読み始めたけれど、一度慣れてしまうともう止まらない!

    一群れの犬達に突如襲撃され謎の病が発生した。
    苦しみながら死に至る者が多い中、何故か生き延びる者もいる。
    死にそうな者を助けようと医術師達は薬を開発し懸命に治療するが、その行為を天の道を外れた異端の技と非難する者もいる。

    病にかからない人は何故いる?
    特効薬は?
    犬達を裏で操っているのは?
    古き因縁の病を巡る謎は深まるばかり。
    下巻へ続く!

  • 主人公達が今後どうなるか楽しみ。

  • 読了直後に、「ああ、またもう1回読みたい。」と思わせてくれた1冊でした。

  • 独特な世界観だけでなく、ホッサルやヴァンなどこんなにもたくさんの人間を生み出すことができるのがすごいと思う。今まで読んできたファンタジー小説の中でもこの本が新しい世界に行けた感じがして1番楽しい。伝染病??が流行している世の中を描いている作品なので、今の社会情勢にもあっていると思う。読み始めて大正解な本だと思った。下巻もすぐに読み始める予定です〜

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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