鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐

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著者 : 上橋菜穂子
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年9月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018880

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐の感想・レビュー・書評

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  • 年末のお楽しみにとっておいた上橋菜穂子さんの新作。
    分厚い上下巻の中に広がる世界に期待をふくらませつつ読み始めました。

    本書の主人公は2人。
    1人はかつて強大な帝国の侵略から故郷を守るために捨て身の戦を繰り広げ、敵国から恐れられた戦士団の頭だった男。
    1人はこの世界の学問の中枢に属する若き天才医術師。
    かつて大きな災いをもたらした病の再来…その謎を中心に、2人の男の物語が絡まり合っていきます。

    様々な民族の歴史や文化、国の内外の複雑な事情についての説明を読みながら、上橋さんの生み出す世界の奥行きに圧倒されました。
    それに、火馬(アファル)や飛鹿(ピュイカ)といった動物たちの、引き締まった体躯やしなやかな躍動が目に浮かぶよう…。

    ここから2人の物語がどのように1つにまとまり、どのような結末を迎えるのか。
    見届けないと年を越せない気がしてきました…。
    いそいそと下巻へ。

  • 「おれは長年、病んだ人を診てきたんだがよ、だんだん、人の身体ってのは森みたいなもんだと思うようになった」
    上巻で最も印象に残ったのは、この一言。
    この前後に語られる言葉が一番腑に落ちたように思う。

    この物語の世界には全く異なる考えを基礎とする二種の医術が存在する。
    それはその医術が生まれた国の宗教や文化をも反映していて、どちらの考えが正しいなんてことを語るのはとても難しい。
    清心教医術の教えで救われる心もきっとあると思う。
    でも医術として(人の病を治癒する術として)優れているのは、(宗教による)禁忌を犯すことを恐れずに命の秘密に迫っていくオタワル医術なのだろうと思う。

    人間は命を脅かす病を克服するために治療法や薬を開発していくけれど、世界には次から次へと新たな病が誕生していく。
    既知の病だって発病するリスクを下げるよう心がけることしか出来なかったりする。
    確実な回避策はない。
    ひどく恐ろしいことだ。

    薬を飲むことによる副作用や、手術による身体への負荷のことを思うと、自然に治る症状でも薬を処方するような医療への疑問を感じることもある。
    医師の診断も100%信頼することが出来るかと言えばそれは難しい。

    もし重病になったらどうする?
    そんな不安を抱えながらも、そんなことは起こり得ないという顔をして日々を過ごしている。
    けれど、それは起こり得るのだ。実際に。

    この物語を読んでいて考えさせられるのは、発病した時の対処法ではなく、医療というものへの接し方だ。
    恐ろしい病が登場するのだけど、その病の治療法が見つかればめでたしめでたしになるような話ではないと感じる。
    病に対してどう向き合うか。
    命についてどう考えていくか。
    寿命をどうとらえるか。
    適切な言葉が見つからないけれど、そういうもっと根源的なことを問いかけられているように思う。
    そしてそこに正解はないのかもしれないと思う。

    「ふだんは見るこたぁできねぇが、おれたちの中には無数の小さな命が暮らしてるんだ」
    「でもよ、後から入って来るやつらもいて、そいつらが、木を食う虫みてぇに身体の内側で悪さをすると、人は病むんじゃねぇかと思ってるんだ」

    私の身体は一つの命ではないという考え方にすんなり納得出来る。
    身体と心は別物という言葉にも納得出来る。
    この世界の人を脅かす病の物語が下巻でどんな結末をむかえるのかまだ分からないけど、命についての真実に誘ってくれるんじゃないかと期待してしまう。

  •  献本応募で当たりました。ありがとうございます!!
     自然の描写と、ごはんの描写が詳しい。私は、これが上橋さん初ですが、とっても読みやすかったです。ファンタジーって、設定が難しかったりしますが、この作品は、いろんな描写が詳しくて、すんなり入っていけました。飛鹿(ピュイカ)も、ああ、いそう、そんなシカ・・・って、あっさり受け入れてしまえましたし。

     苦労人のマコウカンが、なにげにおいしそうなカギを握っていそう・・・黒狼病を広めた人物とその理由、ヴァンとユナの「裏返り」の真相を早く知りたいです。うおう。下巻下巻!!

  • 待ちに待った上橋さんの新刊!
    今回は積まずに発売後すぐに読み始めました(笑)

    今回は大人向けのファンタジーという印象。
    守り人シリーズや獣の奏者同様に、
    すでに上橋さんの中で世界観がしっかりとできている様子。
    架空の世界でありながら、瞬く間にこの世界に引き込まれます。

    東乎瑠(ツオル)の支配する岩塩鉱で
    奴隷として地獄のような日々を送っていた元<独角>の頭ヴァン。
    ある日突然入り込んできた謎の犬に噛まれ、
    周りの奴隷達、奴隷監督達までもが次々と倒れていく。
    静かに蔓延していく疫病は、異様なスピードで人の命を奪っていく。

    噛まれながらも唯一生き残ったヴァンと、幼い少女ユナ。
    凄まじい序開きでしたが、2人の出会いと徐々に深めていく絆にほっこり。

    そして若き天才医術師ホッサルの物語も同時進行で進められる。
    謎の奇病・黒狼熱に挑む彼の姿は本当に格好良い。
    ホッサルの従者マコウカンも良いキャラしてますねー!
    やたらと医療に詳しい登場人物の中では、唯一読者視点(笑)

    ヴァンとホッサル。
    上橋作品では珍しくどちらも男の主人公ですが、
    2人の道が交わるのが楽しみ。下巻に進みます!

  • 『鹿の王』上橋菜穂子 | 角川書店 | KADOKAWA
    http://www.kadokawa.co.jp/sp/2014/shikanoou/

    KADOKAWA/角川書店のPR
    http://www.kadokawa.co.jp/product/321403000185/

  • 本屋大賞受賞作
    治療薬をつくる物語
    ということで読んでみた

    狼や犬に噛まれる感染症(狂犬病を思い浮かべるがちょっと違うようだ)
    民族間の抗争もある
    古い祭祀医と新しい治療医との対立もある
    新しい医師は治療薬の開発にあたる

    広大な地域とテーマ
    感染症と事件が拡大していく

  • 強大な帝国にのまれていく故郷を守るため、死を求め戦う戦士団<独角>。その頭であったヴァンは、奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、ひと群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾う。一方、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。感染から生き残った父子と、命を救うため奔走する医師。過酷な運命に立ち向かう人々の“絆”の物語。強大な帝国にのまれていく故郷を守るため、死を求め戦う戦士団<独角>。その頭であったヴァンは、奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、ひと群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾う。一方、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。感染から生き残った父子と、命を救うため奔走する医師。過酷な運命に立ち向かう人々の“絆”の物語。
    「鹿の王特設サイト」より

    感想は下の後で.

  • 面白い。

    囚われの身ヴァンにおきた絶望と希望。
    誰かの意志を感じつつ太古に猛威を振るった黒狼熱という疫病に戦う医術師ホッサル。

    ヴァンと子の未来は?
    ホッサルとヴァンが相対する時に何が見えるのか?

    少年心をくすぐる小説をひさびさに読んでるなー。
    下巻が楽しみ。

  • 獣の奏者でもみつばちの生態や、王獣を馴らしていく過程を、生物学的な知識をもとにリアルに描かれていたが、ここでも、現代の免疫学の知識を、異世界の文化に投影して、説得力をもって描かれているところに好感を持った。西欧における科学の発達とは別の形で、医療が発達していったとしたら、このようになるのではないかという想像力が刺激される内容だった。ひとりひとりの人物像(特に一人生き残った主人公)も魅力的で、ここからの展開が楽しみである。

  • 上橋先生特有の、文化、風習など世界観が綿密に練られており、実在するどこかの時代、どこかの国の年代記を読んでいるような気になる。

    ネットのレビューを読んでいて思ったが、
    確かに万人受けするというか、読みやすいのは精霊の守り人や獣の奏者かなと思った。
    それに比べると内容が重めだと思う。
    元々先生は子供向け、大人向けとしてわけて書いておられないということだから当然なのだが
    敢えて分類するのならば、これは比較的大人向けのファンタジーだと思う。
    たとえばトールキンの指輪が原子爆弾の比喩であると思う人がいたように
    思わずこの物語の中に描かれている様々場問題と、現実に溢れている様々な問題とを重ねあわせ
    あのことではないのかと思わず思ってしまう人もいるのではないか。

    それが、気を殺がれるとかマニアックだと感じる向きには
    ちょっと向かない内容なのかもしれない。


    よくある『子供用』の物語のような善悪に分けられた書き方ではなく
    それぞれの思想や立場があり
    民族の習慣や動物の習性、病や免疫などについて
    非常に論理的でリアリティがあり、
    繰り返しになるがノンフィクションを読んでいるような気持ちになる。


    独角の頭であったヴァンにとって
    ユナが救いになっていることが嬉しく
    飛鹿をきっかけにしてまた居場所を見つけられた彼の
    幸せを祈らずにはいられない。
    どうか奪われないようにとドキドキしながら読んでいる。


    読み終えて本を閉じたときに、表紙の美しさ
    飛鹿の神々しさに改めて魅せられた。

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鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐の作品紹介

強大な帝国から故郷を守るため、死兵となった戦士団<独角>。その頭であったヴァンは、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。 その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾うが!?

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