確信犯 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 160
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041021705

作品紹介・あらすじ

かつて広島で起きた殺人事件の裁判で、被告人は真犯人であったにもかかわらず、無罪を勝ち取った。14年後、当時の裁判長が殺害され、事態は再び動き出す。事件の関係者たちが辿りつく衝撃の真実とは!?

感想・レビュー・書評

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  • 裁判員制度、司法制度改革をテーマとした物語ですが、登場人物が多く、かつ、主人公が誰なのかよく分からなくなってしまった(笑)

    主人公なのかなと思っていた人が途中で殺されてしまい、え?っとなりました。
    広島を舞台にした物語ですが、マツダスタジアムとか、その必要性もよくわからん(笑)

    ストーリとしては、
    広島でおきた殺人事件において、父親を殺された子供の目撃証言が弱く、3人の裁判官による裁判の判決は無罪。

    そして、14年後、当時の裁判長が殺害されます。
    当時の裁判官だった響子は弁護士として活躍していましたが、この事件の真相を追います。
    さらに、もう一人の裁判官だった穂積は政界進出を目指しています。
    過去の事件は誤審だったのか?
    誰が裁判長を殺したのか?
    事件の真相は?
    といった展開です。

    冒頭にも書いたように、主人公と思っていた人物も殺されてしまいます。

    二転三転するストーリ展開で楽しめました。

    「確信犯」とは..
    ストーリ途中での確信犯の意味と、最後の最後での確信犯の意味が変わってきます。
    これは、深い。

    お勧めです

  • 「確信犯」の言葉の意味、司法制度の問題点、人が人を裁く難しさ...。重めのテーマで、前半は読み進めるのがかったるい(良い意味で)。
    設定上、あぁそうなるよね、とある程度は想像できてしまうが、スカッとしないのが著者らしさでしょう。そう、本書はきっかけに過ぎないのだ。

  • 裁判員制度など、現代の司法制度の課題や問題点にテーマを当てた社会派ミステリー。

    『このおっさんが父さんを殺したんだ!』
    広島で起きた殺人事件、唯一の目撃者であるまだ幼い息子の悲痛の叫びも虚しく、被告人は無罪となった。

    14年後、当時の裁判で無罪を言い渡した元裁判長が、判決を誤ったとして、何者かに刺殺された。
    そして、更なる悲劇が、残った2人の判事に襲いかかる。

    果たして、元裁判長を刺殺したのは、被害者の息子なのか?それとも?

    様々な伏線が散りばめられ、読者の予想を裏切ります。
    真犯人が逮捕され、事件は終わったと思ったその先に、更なる真実が見えてきます。

    最後の1ページによって、表題の『確信犯』と言う言葉が、意味を持って来ます。
    本当の『悪』は、誰なのか?

  • ダラダラと読んでしまい流れを掴むことなく読了。

    登場してきた彼らのように日々の生活の中で、
    政治的な動きを気にして生きている人は
    実際に居るのだろうか。
    いや居るのだろうな。

  • 中川幹夫  65歳、被告人、吉岡殺害で無罪判決
    吉岡政志  41歳、被害者、吉岡部品会社社長
    吉岡拓実  政志の息子、中川を目撃したと証言、10歳
    穂積直行  未特例判事補、30歳→43歳講師
    正木響子  特例判事補、30歳→43歳法テラス弁護士
    末永六郎  広島高裁判事、元裁判長、中川を無罪判決
    高遠聖人  最高裁判所事務総長、50代半ば
    穂積麻耶  直行の娘、高2
    高遠乃愛  広島大学法科大学院生、裁判官を目指す
          22歳
    中川勲   マツダスタジアム球場で働く、幹夫の弟?
    吉岡拓実  乃愛のバイト仲間、23歳
    吉岡明美  拓実の母、旧姓伊藤
    矢口幸司  広島弁護士会所属弁護士
    竹丸洋   自動車工場勤務、末永殺害の容疑者
    伊藤    拓実の祖父

    ネタバレ‼️
    主役が誰なのか。分かりづらかった。
    最終的に穂積かなと。
    穂積はダメ男でどうしようもない奴だったけど、ラスト、高遠とのシーンで、一目置かれる奴に成長。それは響子の死がキッカケだった。

    物語のスタートは判事の穂積、響子、末永による誤判。
    中川の強盗殺人、子供の証言では証拠不十分で、無罪判決したが誤り。罪を犯していた。死に際に中川が自白。

    高遠に想いを寄せながら、殺されてしまった響子は残念。真面目で賢明な、いいキャラだった。
    穂積は響子に想いを寄せるが受け入れられず。弁護士辞めて、人気講師となり、年頃の可愛い娘がいる。穂積は議員を目指すが、それも響子の気を引く為。

    響子は高遠が好きで、穂積になびかず。だが、響子の想いは高遠に受け入れられない。響子は高遠に想いを伝えるもかなわず、その帰り道に刺殺された。

    末永と響子の連続殺人犯として、吉岡息子の拓実が疑われた。彼は高遠娘の恋人で無実。

    で、末永さんと響子を殺した犯人の矢口が地味。
    矢口は真面目な弁護士だけど、その昔、中川が吉岡邸に侵入するのを幇助した?とか。証拠はなかったけど、穂積と高遠で追い詰め、矢口は白旗。

    一件落着、と思いきや、最後、替玉受験で司法試験に合格し、司法改革の名の下、響子をも切り捨てた高遠に対し、国会議員として圧力をかける穂積が。よかった。
    高遠も穂積も確信犯、それは
    =自身の正義のためなら、罪を罪とも思わない。
    高遠は司法改革のために、吉岡と替え玉受験。
    穂積は替え玉受験で高遠を脅し?自身の地位を高める


     

  • 正木さん主導で話が進むと思ってたのに、殺されるとはビックリ!

  • 響子は答えずに歩み寄ると、無言で高遠の大きな背にもたれかかっていた。高遠は驚いた様子だったが振り向くことはなかった。わたし、何やってるんだろう……その思いが少しだけあった。 「正木くん、君は……」  高遠は初めてこちらを向いた。悲しそうな目をしている。やはり気づいていたのだ。だがそんなこと、責める理由にはならない。わかっている。自分は恰好いいキャリアウーマンなどでは決してない。本当は弱い女なのだ。甘えん坊なのだ。一度火がついた激情を鎮めることはできなかった。精一杯あらがう。秘めてきた思いを抑えながら言う。 「たまにでいいんです。気が向いたときでも……こんなおばさんじゃ、駄目ですか」  それは精一杯の譲歩だった。だがそれでも身勝手だ。卑怯な問いだ。高遠は黙ってかぶりを振る。 「そんなことはない」  高遠は太い腕で響子を優しく抱きしめた。だが続いて出てきた言葉は、期待したものとはまるで別のものだった。 「すまない、正木くん」  どういう意味ですか──問いは言葉にならない。響子は高遠の腕の中、続く言葉を待った。  しばらくして高遠は、響子をその腕から放した。 「君は充分に魅力的だよ。それにわたしだって男だ、いまだに欲望はある。その提案はわたしにとってすごくありがたいものだ。だが……」 「駄目……なんですね」 「ああ、わたしにはできない。わたしは妻を裏切ることはできない」  高遠は頭を下げた。響子は口元に手を当てる。高遠はもう一度すまないと言った。気づかないうちに響子の頰を涙が伝っていた。拭うと、響子は持ってきた資料を鞄に詰め込む。そして黙って深い礼をした。後ろを向いて扉に手をかける。もう勝負はついているとわかっているのに未練だろうか、響子は一度開けるのをためらった。 「本当にすまない」  後ろからは高遠の謝罪の言葉が聞こえる。だがその声があまりにもつらかった。響子は叫びたい思いを抑えてすみませんでしたと言うと、部屋を後にした。

  • 相続放棄は3ヶ月以上経つとできないは×

    ○相続放棄は相続の開始を知ってから3ヶ月以内にしなければいけない

    って知りました。
    私には必要のない情報かもしれないけれど。

    あと、確信犯は法律用語だと知りました。
    道徳的、宗教的または政治的確信に基づいて行われる犯罪もしくは行う人のこと。


    色んな登場人物の語りで進むので、読むのに時間がかかった。
    一番魅力的で感情移入できる正木響子が途中で殺されてしまったのがとても残念で、あとは惰性で読んでしまった。
    矜持矜持って矜持って言葉使い過ぎー。私には使うことのない言葉覚えてしまったわ。

  • この著者の作品はとにかく人物が多い読むのに時間がかかるとそれぞれの関係性を忘れてしきう。

  • (Kindle Unlimited22冊目)

    【ストーリー】
    末永六郎、正木響子、穂積直行らが担当した裁判で父を殺害した犯人中川幹夫に無罪判決を出された吉岡拓実。成人になった拓実が付き合っている高遠乃愛は最高裁判所事務総長高遠聖人の娘。
    当時の事件に関係した人間が全員偶然にも野球の試合会場に居合わせた翌日、末永六郎が拓実の父と同じ方法で殺害される。


    →結果、話に共感できず、つまらなかったです。

    登場人物も設定も悪くないと思うのに、ストーリー展開の仕方にご都合主義なところがちょいちょいあって、ん?なんでそう決めつけるの??他にも可能性あるよね?って疑問になることがある。(1000万円のうち500しかなかったら「残りは使ってしまっのだろう」って「仮説」じゃなく推測=事実、みたいな書き方…これが「超エリート」の地の文なんだもん、なんだかなぁ…)
    ちなみに確信犯は、自身の替え玉受験をさせた中川幹夫を渡した1000万円のトラブルで殺させた高遠聖人のことでした。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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