ワン・モア (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041023846

感想・レビュー・書評

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  • 良かった。
    私も医師の端くれ。
    しかも開業予定。
    二人の女医のそれぞれの個性にそれぞれ共感した。
    1人医師の道を諦めた八木のような男にも覚えがある。経験上そういう人は医療関係にいるのはかえって残酷だ。
    八木も屈折している。
    だけど登場人物みんな折り合いをつけて自分の人生を生きている。
    一人は寂しい。
    犬を通じて再びできた人との繋がり、連鎖を羨ましく思う。
    「ワン・モア」と言わずまたその後が知りたい。

  • 安楽死事件を起こして離島にとばされてきた女医の美和と、オリンピック予選の大舞台から転落した元競泳選手の昴。月明かりの晩、よるべなさだけを持ち寄って躰を重ねる男と女は、まるで夜の海に漂うくらげ…。同じ頃、美和の同級生の鈴音は余命宣告を受けていて…どうしょうもない淋しさにひりつく心。人肌のぬくもりにいっときの慰めを求め、切実に生きようともがく人々に温かいまなざしを投げかける、再生の物語。

  • 短編集のそれぞれがゆるく繋がり、最後は希望のある終わり方でとても良かった。

  • 静かに話が進む連作短編集。人の生命が物語の中心ななるので、特に大きな出来事などがなくても、内容に深みがあり素敵なお話だと思いました。一話ごとでは余韻を持たせる終わりかたでしたが、最終話で綺麗にまとめてあるので、そこもよかったです。星4にちかい3です。

  • 医者の話。キャラクターが不完全で魅力的だが円満なハッピーエンドだったので読後感はよかった。

  • 医療関係の3人の同級生。
    鈴音は真面目に生き、親から続く開業医で余命宣告を受け、元旦那と過ごす。主人公は安楽死させたことで離島へ左遷、そこで既婚の元水泳オリンピアと関係に。金メダルを期待されていたが、ドーピングスキャンダルで一線を退き地元に戻っていた。鈴音からの病院を任せたいと呼び出され戻ることとなるが、そこで彼は海の中に消え行方不明に。主人公は悪気なく巻き込まれている。
    もう1人の八木は2人ほどの学力がなく経済力もなかったことから、医者を諦め、放射線技師になる。当時から片想いしていた鈴音に同じ病院で働こうと言われたからだ。鈴音は元旦那と余生を過ごし、治療する。近所のスーパー店長が幸せになる話と鈴音が引き抜いたベテラン看護師が幸せになる話も盛り込まれている。

    話の内容が想像出来るので1だけど、ほんわかするので嫌いではない。

  • 鈴音の病気に関してはまだ前途多難なのだろうけれど、鈴音を含めて皆、ハッピーエンドだった。それから時間が経ったラスト数ページ、お花見誕生会のシーンはドキドキしたけれど、自らを余命半年だと診断した鈴音は、それを上回る時間を生きていた。

    筋弛緩剤による安楽死を疑われ離島に異動になった美和や、優しいけれど強く自己主張しない美和の元夫の拓郎、志緒を止められずテツヤのライブに行かせてしまうトキワ書店店長の亮太、医者になる事を諦め、検査技師になった感傷主義の八木。感傷主義って何?

    ラッキーカラー、赤沢の「五年経ったら、迎えにきます」「ぼくは再発しなかった」は印象に残った。きつい治療や再発の怖さにも、一人で耐えた強さを感じる言葉だ。寿美子と末永い幸せを。

    幸せな人のところへの里子にと決めて行ったミニチュアシュナウザー、リンの子供たちはきっと、ますます里親たちを幸せにしてくれる事だろう。

  • 「十六夜」安楽死事件を起こし離島へと左遷された内科医柿崎美和と昴。
    「ワンダフル・ライフ」美和の同級生で末期癌の滝澤鈴音と元夫志田拓郎。
    「おでん」本屋の店長佐藤亮太と坂木詩織。
    「ラッキーカラー」看護師浦田寿美子と!赤沢邦夫。
    「感傷主義」同級生八木浩一と米倉レイナ。
    「ワン・モア」志田拓郎と鈴音と父。

    其々の人生に関わる桜木紫乃らしい連作長編。
    最後はリンとその子たちで繋がっている。

    何度も込み上げる感情で、最高に面白い。

  • その日のまえにを彷彿とさせる連続性のある短編集。ドラマになりそうな感じもするが今の私にはどの人もそこまでリアルには迫ってこなかった。

  • すごいよかった

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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