ニック・メイソンの第二の人生 (角川文庫)

制作 : 越前 敏弥 
  • KADOKAWA/角川書店
3.29
  • (4)
  • (9)
  • (12)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 79
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027165

作品紹介・あらすじ

警官殺しの罪で服役中のニック・メイソンは、ある人物の手配で25年の刑期前に出所した。条件は、携帯電話が鳴ったら出てどんな指示であっても従うこと――。謎めいた指示は何のためなのか? 過酷な日々が始まる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『解錠師』の作者による新シリーズ第一弾。前作と雰囲気は全く異なり、今回は硬質な筆致のハード・ボイルド。

    先の読めないストーリーでさくさく進む。過去の事件やニックが抱える苦悩など、サイド・ストーリーを巧みに絡ませながら徐々にキャラクターを掘り下げていく展開はさすがです。ニックが一線を越えてしまうシーンがひとつの山場かな。ニックもそうだが、読者もここで覚悟を決めることになる。やっぱりそういうお話だったの?と戸惑いつつも、作中の緊張感は高まりつつ終盤へ。この着地は続編を考慮してのことかしらと訝しむのは野暮かいな。

    善玉悪玉に関わらず、いろんな味のあるキャラクターが登場する。やってることは卑劣でも、どことなく切なさが漂ってるのが『解錠師』の世界観を思い出させるのよね。このやりきれなさが作者の得意技なのかも。

    シリーズ第一弾ということで顔見せ的な意味合いもあるのか、芯の通ってない部分もちらほら。あやふやな疑問は残るものの、次回作を期待する読後感は、“面白かった”ということ。

  • アメリカの作家「スティーヴ・ハミルトン」の長篇ミステリ作品『ニック・メイソンの第二の人生(原題:The Second Life Of Nick Mason)』を読みました。

    『氷の闇を超えて〔新版〕』、『狩りの風よ吹け』に続き「スティーヴ・ハミルトン」作品です。

    -----story-------------
    『解錠師』の著者による、新シリーズ誕生!

    警官殺しの罪で服役中の「ニック・メイソン」は、ある人物の手配で25年の刑期前に出所した。
    条件は、携帯電話が鳴ったら出てどんな指示であっても従うこと――。
    謎めいた指示は何のためなのか? 
    過酷な日々が始まる。
    -----------------------

    25年の刑期だったにも関わらず5年で出所した「ニック・メイソン」の第二の人生を描いたシリーズの第1作で2016年(平成28年)に発表された作品、、、

    「メイソン」は釈放されても、決して自由になったわけではなく、支配し拘束するものが檻から、ある人物に変わっただけ… 彼が選んだ、新たな支配と拘束という第二の人生のもとで悩み、足掻き、闘う物語です。


    「メイソン」が塀の外に出たのは、5年と28日ぶりだった… 連邦捜査官を殺した罪で収監され、25年の刑期を言い渡されていたが、刑務所にいながらにしてシカゴの裏社会を支配する「ダライアス・コール」と、ある契約を交わし、刑期前に出所したのだ、、、

    出所した彼を迎えにきたのは「マーコス・キンテーロ」と名乗るヒスパニック系の男… 「キンテーロ」は「メイソン」に豪華な住まいとクルマと携帯電話を与え、何かあったら自分に連絡すること、何もしなくていいが揉め事は起こさないこと、呼び出しには必ず応えて自分の指示通りのことをすることを命じる。

    それが「コール」との契約だ… そして、数日後、その指示が届き、モーテルの一室で警官を殺害することに、、、

    張りつめた緊張感の中、失った時間を取り戻そうとあがく「メイソン」だが、恐るべき指示は容赦なく下される… 次の指示は、裏社会で勢力を拡大しつつある「タイロン・ハリス」を殺害することだった。

    「メイソン」が逮捕されるまでの人生や、逮捕されるきっかけとなった犯行、そして、刑務所内で「コール」との契約に至るまでの経緯、別れた妻「ジーナ」と9歳になる愛娘「エイドリアーナ」との関係、「メイソン」を追うシカゴ市警察殺人課の刑事「フランク・サンドヴァル」の行動や、麻薬事件を扱うSIS(特別捜査課)の部長刑事「ブルーム」等との警察内でのいざこざ、警察官の汚職等が複合的に描かれ、ひとつの物語に昇華していく展開が愉しめる作品でした、、、

    孤独な男の闘いを、硬質な筆致で描くハードボイルド・ミステリでしたね… 「スティーヴ・ハミルトン」作品って「アレックス・マクナイト」シリーズと同様、本シリーズも、なーんだか主人公に感情移入しちゃう不思議な魅力があるんですよね。

    男の友情や家族への愛情が描かれているところが魅力なのかな… このネタで、何作も引っ張るのは難しいと思いますが、本シリーズ、続篇もあるようなので、機会があれば読んでみたいな。


    以下、主な登場人物です。

    「ニック・メイソン」
     警官殺しの罪で服役中、出所と引換えに謎の任務に就く

    「ダライアス・コール」
     暗黒街の大物。連邦刑務所に服役中

    「マーコス・キンテーロ」
     コールの連絡役

    「ダイアナ・リヴェリ」
     レストラン<アントニアズ>のオーナー

    「エディー・キャラハン」
     メイソンの幼なじみ。かつての窃盗仲間

    「フォン・オマリー」
     メイソンの幼なじみ。かつての窃盗仲間

    「ジミー・マクマナス」
     留置所でフォンと知り合ったならず者

    「ジーナ」
     メイソンの元妻

    「エイドリアーナ」
     メイソンの九歳の娘

    「フランク・サンドヴァル」
     シカゴ市警察殺人課の刑事

    「ゲイリー・ヒギンズ」
     サンドヴァルの元相棒

    「ブルーム」
     麻薬事件を扱うSIS(特別捜査課)の部長刑事

  • 作者は傑作『解錠師』のスティーヴ・ハミルトンなので、かなり期待して読み始めたのだが……。うーん、微妙な読後感だった。やたらと自分にルールを課すストイックな主人公だが、やってることはチンケな泥棒に過ぎない。堅気になると約束して結婚したにも関わらず、うまい話を持ちかけられてあっさりと反故にし、挙げ句に刑務所に面会に来ない妻を恨む。シリーズ1作目だが、次作を読もうという気にならなかった。

  • 面白かった。なんとも置かれた立場がもどかしい。苦渋の選択をせざるを得ない主人公に、いつしかドップリ感情移入して読了。帯とあとがきでシリーズと書かれていたが著者サイトでもシリーズであることを確認。この一作で完結しても良いと思えるデキだけど、次作でどう広がるのか楽しみ。

  • CL 2018.10.6-2018.10.14

  • タフな奴

  • あの『解錠師』の著者によるハードボイルド・ミステリーのシリーズ第1作。

    25年の刑期で刑務所に収監されていたニック・メイソンは暗黒街の大物、ダライアス・コールとの奇妙な取引により、5年余りで出所する。コールにより命じられる困難極まる指示にメイソンは…

    ドン・ウィンズロウっぽいようで、少し思い切りが足りない、中途半端なハードボイルド。『解錠師』よりは面白かったものの、物足りなさを感じた。

  • 面白いけど、なすべき手段のない中でも主役のとる行動、姿勢には到底共感できず。
    友情とか男らしさとか、はきちがえてるとしか思えなくてモヤモヤ。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年、ミシガン州デトロイト生まれ。98年のデビュー作『氷の闇を越えて』は、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞、アメリカ私立探偵作家クラブ(PWA)賞の最優秀新人賞などを受賞。以後、『ウルフ・ムーンの夜』『狩りの風よ吹け』と、「探偵アレックス・マクナイト」シリーズを発表している。2009年の『解錠師』では、MWA賞最優秀長編賞、英国推理作家協会(CWA)賞スティール・ダガー賞、バリー賞、全米図書館協会のアレックス賞に輝いた。現在ニューヨーク州に在住。

「2016年 『ニック・メイソンの第二の人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スティーヴ・ハミルトンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トム・ロブ スミ...
陳 浩基
トム・ロブ スミ...
マーク・グリーニ...
ネレ・ノイハウス
ドン・ウィンズロ...
ピエール ルメー...
ジェフリー ディ...
トム・ロブ スミ...
マーク・グリーニ...
ロジャー ホッブ...
ドン・ウィンズロ...
劉 慈欣
トム・ロブ スミ...
ドン・ウィンズロ...
クリス ウィタカ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×