ホーンテッド・キャンパス この子のななつのお祝いに (角川ホラー文庫)
- KADOKAWA (2015年10月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041027257
作品紹介・あらすじ
オカルト研究会の頼れるアネゴ、藍の卒業を祝し、オカ研の面々は温泉旅行に出かけることに。
しかし猛吹雪のせいで行き先を変更し、吊り橋の先にある秘境の宿を目指す。
お宿の雰囲気は最高だが、霊が視える森司は、宿の周りで粗末な着物姿の子供の幽霊を目撃する。
なるべく気にせず、片想いのこよみとの旅行を楽しんでいた森司だが、
吊り橋が落ち、皆で宿に閉じ込められ……。
シリーズ初の長編、 青春オカルトミステリ第8弾!
全てのどきどきが、ここにあります!
感想・レビュー・書評
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読書録「ホーンテッド・キャンパスこの子の
ななつのお祝いに」4
著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫
p261より引用
“「ハイヌウェレ型神話は、インドネシアの
セラム島に伝わる伝承だ。ココヤシの花から
生まれた少女ハイヌウェレは、尻からさまざ
まな宝物を生むことができたという。村人た
ちはそんな彼女を気味悪がり、殺してしまっ
た。ハイヌウェレの父親は、掘り出した死体
を切り刻んであちこちに埋めた。すると、彼
女の死体からは芋が生えてきて、人々の飢え
を満たしたそうだ」”
目次より抜粋引用
“ここはどこの細道じゃ
天神さまの細道じゃ
ちいっと通してくだしゃんせ
御用のない者通しゃせぬ
御札を納めに参ります”
見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリの長編作。シリーズ第八弾。
副部長・三田村藍の卒業旅行を理由にして、
部員全員で温泉旅行へ出かけた雪大オカルト
研究会。色々なトラブルに見舞われた挙句、
とうとう吹雪で立ち往生までしてしまい…。
上記の引用は、昔話の瓜子姫と世界の神話
についての部長の台詞。
距離も時代も離れた世界で、同じような神話
や昔話のエピソードが語られるのは、人が生
きることはどんな所でも同じような物という
ことなのかもしれませんね。
シリーズ初の長編。終わりに向けて怖さや
気持ち悪さが積み重なり、濃密になっていく
のが、ここまでのシリーズとは少し違った味
わいです。ホラー度は長編の方が、高く描き
やすいのかもしれませんね。
どんなことでも、執着が過ぎると人は狂っ
てしまうものなのか、と思わせる話でした。
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背ラベル:913.6-ク-8
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シリーズ第8弾。
シリーズ初の長編。
オカルト研究会の部員1人の卒業旅行をかねて温泉旅行へ。
そこで巻き込まれる日本の田舎の悪しき風習なお話。
楽しめるは楽しめるがいつまでたってもゴチャゴチャ感がなくならず読みずらいのは何故だろうか・・・?
部長の親族登場により部長の謎めいた部分も一部あきらかになります。 -
#読了
シリーズ初の長編!
少しだけラストが置いてけぼりされた気分でしたが
面白かったです -
初の長編!夢中になって読んだ!
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このシリーズ初の長編。
今までの短編も良かったけど、今回の長編も楽しかった。
雪中で半ば迷い込んだ村、
閉ざされた村で、穢れた血、巫女筋、近親相姦、古の因習、昭和テイストのストーリーを見事に平成で成り立たせている。
土地由来の風俗、オカルト、だんだん滅びゆくものだと思うが、残ってほしいのもあるね。
もちろん悪い風習は消えるべきだが。
昔話って、ばばあを殺してじじいに食わせるとか、オリジナルだとひどい話たくさんあるんだね。
今回の瓜子姫の話って初めて知った。 -
読了メモ
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今日も灘はかわいいよ!
シリーズ初のオムニバス形式では無い単一の事件。
ホラーの王道とも言える、古くからの因習が残る山奥の山村モノを相変わらずの量の参考文献の元で書き上げられた傑作。
森司とこよみのゆっくり進んでいく関係に、本命のホラーも合わさって、もう恐怖に顔をこわばらせたり微笑ましさにニヤけたり、感情が大忙しだ。 -
「ここはどこの細道じゃ」
立ち往生した先の村で。
いくら名のある家柄だとしても、プライベートで訪れた際にまでその様な反応を一々されていたら嫌になるだろうな。
人との距離感は適度にとるのが一番だが、パーソナルスペースを無視して初対面からズカズカと土足で入ってくるのはどうかと思うな。
「天神さまの細道じゃ」
陸の孤島に余所者が。
いくら落雷と言えど携帯の電波の遮断に加え唯一の吊り橋まで落ちてしまうというのは少し出来すぎではないだろうか。
彼女が彷徨う者だと分かったが、悪意のある者では無さそうだから多分これも人間の仕業なのだろうな。
「ちいっと通してくだしゃんせ」
幼い頃の記憶にあるのは。
父親が娘をというのは物語の中だけでなく現実にもあるだろうが、どんな些細な事であろうと不快な思いをしたのであれば違い等あるわけないと思うが。
緊急時ですら祭り事の大切な者達は接触してはいけないままというのは、いくら伝統などがあろうと少しおかしいような気がするな。
「御用のない者通しゃせぬ」
代わりの娘にうってつけな子。
彼が口にしたのは相変わらず何も考えず偶然放った言葉だったのか、それとも何かしら理由があったのか分からないが余計な一言だったな。
表立って頼むこと無く無理矢理連れて行こうとしたあたり、これは普通の話ではなく何かしら理由がありそうだな。
「御礼を納に参ります」
洞窟の先に居たのは。
どこかで勘違いをしたのか分からないが、明らかに彼女を狙った何かにしか思えなくなってきたが本当の娘すら逃げる様な事に引き込もうとするのだろうか。
花の正体を知ってか知らず見たのだろうが、だとしたらあの花は一体誰の手により栽培されているのだろうか。
「行きはよいよい 返りはこわい」
村の中に閉じ込められた者。
何故こんなにも沢山の子がいるのかと思えば、ただ何処かに往くことも出来ず彷徨わされていただけと思うと可哀想になるな。
最後の最後に記憶を取り戻した彼女だったが、実際には忘れたままの方が良かった記憶かもしれないな。