レインツリーの国 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034323

感想・レビュー・書評

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  • だいぶ前に映画を見てからの小説。聴覚障害に種類があるのは知らなかった。伝音性難聴、感音性難聴、中途失聴、難聴、聾唖と聾。今まで自分は一緒のものと一括にしていた。勉強になった。ひとみと伸の関西弁の掛け合いが気持ちよく、関西人の自分としては伸の気持ちになって感情移入した。これだけオブラートに包まず、思っていることをズバズバと言い合えるのはええな~と思った。正直嫌われないように好かれるために本心は話しにくい。自分は本心は話せない。グッと堪えてしまう。ラストはハッピーにキスできて良かったです。有川浩は初めてだったが、別の小説「阪急電車」も読みたくなった。

  • 「図書館内乱」で登場したこの本!やっと読めた。「健常者」という目線で伸の気持ちに共感し、「女性」という目線でひとみの気持ちに共感。想い合っているのにもどかしい。
    正直、普段障害者について気にかけたことってほぼ無いと思う。自分の立場で決めつけずに色んな立場で物事を見れるようになりたいな、と考えさせられた。

  • 正直チャット、メール形式の文が私は読みにくいので大変だったが、内容がとても考えさせられた。障害を持つ人はそれが全て、前提ではなくて、それぞれ人間である、という文章にするとおかしくなるが捉え方が変わるきっかけとなった。障害を持つと「私はこうだから」という方に意識が向いてしまうが、それも文字通り「障害」人生の困難と同一のものであり、それでその人が決まるわけではなく、前提として人間であり、他の人となんら変わらないという意識を改めてすることができた。苦しむ私の思考を助ける本だった。

  • 思っている事は言葉にする人とか、隠し通す人とかどちらかを描くのではなく、人間なら誰でもある『弱い部分』を中心に持ちながら自分を強く見せたり、時には罵声を浴びせるように弱い所を見せたり。

    人間は弱い生き物で、どうしても自分を中心に考えてしまう。でも、目の前にいる人も弱い所はあって毎日考えて悩んで行動したり物事話したりしてるんだって事を再確認できる物語

  • キュンキュンする本を探していて目に入った本だったような…。ケガで入院中に外界と遮断されている中で読んだ。

    隠したいコンプレックスを意識の中心にして、隠そう隠そう、それのせいで未来はないと頑なに強く思ってしまっているひとみと、一見外交的ではつらつとした関西人男子伸行の細かな気持ちのやり取りの物語。

    自分が好きな本をきっかけにオンライン上で知り合うというのは、私にはない経験だけれど、感性の共通点が見つかった時のキラキラと、もっと知りたいという気持ち、よくわかる。今後は視点の違いを面白がっていきたいな。文章だけのやり取りでこそ出てきてしまう「青春菌」というのが笑える。

    ひとみの秘密はテーマではあると思う。でも、それより浮き出てたのは、やらないため・守りに入るための言い訳づくりをしている人 vs 物事を打開しようと試す人だった。同じ本を読んでいても結末の見解に相違があるように、どこに注目して生きているかで動き方や見せ方が変わるという、当たり前のことなんだけど、渦中にいるとなかなか抜け出せないのもわかる。知らないうちに伸行をイラつかせていたんだなと。自分よがりにならないようにと反省しつつ、相手のささくれの取り扱いにも気持ちを向けられる余裕を持ちたいと思う。


  • 有川浩さんの小説
    初読はレインツリーの国 です。

    伸行が中高生の頃に夢中になって読んだ小説 
    フェアリーゲーム 
    当時この小説の読後感想を話し合える友達は
    いなかったが、その感想を書いてるブログを
    偶然見つける。
    そこに書かれていた感想に惹かれ、思い切って
    メールを送ると無理だと思っていた返信が届く。
    何度ものやり取りの後、ブログの発信元
    ひとみとやっと会える事になり
    伸行は夢に心地だが、実際に会ってみると、、
    恋焦がれたイメージと違い喧嘩別れになるが、
    別れ際彼女の状態を知った伸行は、
    再度ひとみにメールをおくる。

    誰もが色んな悩みをかかえていて、悩みは
    人それぞれで、同じことなんてない。
    だから、痛みにも悩みにも貴賎はない、
    人から見てどうでも良い事でも、
    本人には苦しく辛い。

    人の本当の悩みや痛みなんて、他人には
    わからない。
    でも分からないからといって、それに鈍感で、
    どうでも良いわけじゃない。

    苦しみ、悩み、それでも前を向いて歩きだす
    とても優しい物語。

  •  ネットから始まる恋愛物語。ヒロインは聴覚障害者。
     どうしてこの作者が書く本はどれもこんなに胸に刺さるのか。ヒロインや主人公の葛藤が重すぎず軽すぎず伝わってくる。とても幸せな読後感をいただけた。先生ありがとうございます。
     また、この本で聴覚障害についても興味が湧きました。今度自分なりに勉強してみようと思います。
     


  • 願わくば、もう一回君との糸が繋がりますように。

    「阪急電車」を読んで有川浩さんの他の作品も読んでみたくなって購入。
    本についての感想をサイトに載せていたことをきっかけに恋がはじまる展開、更にそこには秘密があって…
    .
    難しいテーマのなか深く考える話だった。自分がハンデある方に出会っても思い込みや、善意の押し付けをせずに向き合いたい。あくまでもその人はその人と捉えたい。自分だって障害のハンデは無いけど、周りにとったら合う合わないあるやろし、人との関係って難しいよな。
    .

  • 読みやすかった。自分に障害があるからか、ひとみに共感できる部分が多い反面、そこに少し苛立ちもした。それを真っ直ぐに受け止める伸は理想とも思えた。ストーリーとしてはなかなか面白い。特に出会い方や待ち合わせのシーンなどは読書好きの自分には「おっ?やるなぁ」と思った。ただ読みやすい分、途中で結末が分かってしまうのがなんとも残念だった。

  • いろいろと考え、これからは考えなきゃ、と思いながら読み進むことになりました。

    まず、聴覚障害のことを正しく理解していなかった。当然、日常の苦労のことも。

    それと、ハンデの捉え方。あるなしで相手を想う方向性が同じでも、基本中身が逆。

    鳴っているブザーが聞こえてないのかもしれない。
    聞こえてないのが伝わっていないのかもしれない。

    初めて会う時にヘッドホンで偽装しなきゃなんて、そんなこと考えなくてもいいよ。

    読めてよかった。

    レインツリーって、〝この木なんの木気になる木〟なんですね。…知らなかった笑。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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