記憶屋 (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 271
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041035542

感想・レビュー・書評

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  •  織守きょうやさん、初読みでした。本書は、忘れたい記憶を消してくれる「記憶屋」の話です。映画化にもなり、続編も出ているようですね。
     ホラーかミステリーかのカテゴリーはさておき、記憶と忘却を中心に本作を語ろうとすると、比較的若い世代の人とある程度人生経験を積んだ人では、評価が分かれるような気がします。いや、でも記憶の意図的な消去の是非は、年齢・性別・立場は関係ないか‥。

     意図的な記憶の消去に疑問をもつ主人公は、身近な人の記憶の変化に「記憶屋」の存在を意識していきます。恐怖心を次々と煽り、予感・予兆を高め、いざクライマックスへ‥、ん? あれ? ラブストーリー? 切なさ全開青春もの? と、戸惑いを感じたのが本音でした。(決してホラー作品としての是非を問うているのではありません)

     以前読んだ吉田篤弘さんの著書の<人は進化の過程で、快く前へ進むために「忘却」を身につけた>という一文が脳裏に浮かび、また、<「時間」も必要だ>と伊集院静さんが書かれていたなと、これまた思い出していました。人には、欲と執着が付きものですね。
     人は、記憶に留めるべきか否かを、ゴミの仕分けのように頭の中で選別してるんでしょうね。テスト勉強などの必要感のない短期記憶が、さっぱり頭に残らないのも頷けます。
     しかしながら、「人生には、忘れてしまいたいけれど、決して忘れてはならない記憶」というものがあるのも事実だと思います。
     記憶と忘却について、改めて深く再考させてくれる物語でした。

  • ホラー小説大賞の読者賞とのことで読んでみた。皆さんの書評では好評のようですが、文中にもあるように「考えは人それぞれ」というように個人的には主人公の遼一の考えや行動に同意しづらかったので、読み進めるのに時間が掛かった。記憶屋に縋る人にとっては苦しい思い出であり、記憶を消すことで立ち直れるのなら、それも有りと思うのだが、遼一の考えは付随して自分との思い出を消されたことによる逆ギレのようにも思ってしまう。一人突っ走る遼一の言動やホラー仕立てということもあり、読んでいて寒々しさを感じる。最後に幼馴染との遣り取りがあり、想定内ではあるが落ち着くところに落ち着いた感がある。
    続編も買ってしまったので、暫くしてから読もう?

  • ラノベ的なジャンルと思いますが、その中ではしっかりしている方だと思います。
    長編なのですが、短めに場面が変わっていくので短編集を読んでいるように感じました。つまり長編としてはフォーカルポイントがはっきりしていないような。
    記憶屋をあんなに執拗に探す主人公の気持ちにうまくシンクロできないせいか長編としては少し弱いなと思いましたが、若手弁護士のストーリーの部分は圧倒的に好きでした。
    続編もそのうち読むつもりです。

  • いちおうホラーに分類されていたけどファンタジーっぽい気もする。記憶を消せる「記憶屋」を主人公が探す物語。結末は予想通りで特にひねりもないが、ちょっと切なくなるようなお話。

  • 娘に薦められて読んでみたシリーズ⑥

    わりと読書(物語)は好きな方な部類である小6娘。

    児童向け文庫は山のように本棚に並んでいるが、、、
    (青い鳥文庫とか角川スニーカー文庫とかつばさ文庫とか)

    な娘の、一般小説デビュー作。
    「パパも読んでみて」と言われ、大喜びで読んでみた。

    都市伝説「記憶屋」の謎を追う大学生の話。

    黒幕(?)の正体こそは、途中で勘繰った通りだったけれど、ストーリーは十分に面白かった。

    「うちの娘、こういう物語をちゃんと理解して読み切れるようになったのね…」と、感慨に耽った。

    ★3つ、7ポイント半。
    2020.04.30.娘。
    (またしても、レビューほったらかして寝かせること数ヶ月)

    ※娘曰く「最後が納得いかない。なんで?なんで?」と、怒りまくってる。
    ハッピーエンドじゃない物語を読むのも、初体験だったのだろう。可愛いな(笑)。

    娘、どうやら続巻(2冊)もまとめて買ったもよう。

    ただし、1巻ラストの納得いかなさのせいで、しばらく寝かせておくらしい(笑)。

  • 【脳内物質】
    小説です。

    娘に借りました。
    ホラーではないです。

  • 記憶屋:都市伝説 消して欲しい記憶を消してくれる。(マインドアサシンでは無い)

    主人公は、周囲で特定の記憶が抜けている人達がいる事に気がつく。都市伝説の記憶屋の仕業では無いかと探り出すしていく中で記憶屋に記憶を消してもらう事を願う人達の人間ドラマ。



    主人公は記憶を消す事を悪と考える。最後の最後までダメな事だと言い張るが果たしてそうなのだろうか?と私は考える。

    忘れたい記憶も、いつか良い思い出になるかもしれないと言うが、忘れたい記憶に苛まれ人生をダメにする事もある。主人公が忘れられたく無いのは自分の事だけで相手の立場に立ってない独善的な独り善がりに思えてしまう。

    記憶を消すか消さないかの判断は記憶屋の良心の元執行されて良い事だと思う。




    今のところ私に消して欲しい記憶は無い。

  • 記憶屋…

    いたらどんなに良いだろうとおもう瞬間はたくさんあるが、関わる全てが消えてしまうことが幸せかというとよくわからない

    どんなに辛い記憶も、時間がたつと自分の中で自分に必要な形に消化されていき、自分の一部になる

    そういう経験を失うことが本当に必要なのか…

  • ホラーではないと思うが面白かった。2作目以降は漫画で読みたい。

  • 都市伝説のひとつとして噂される、記憶を消す事ができる記憶屋。
    高原弁護士と外村の話がホロリとくる。

著者プロフィール

1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『SHELTER/CAGE』『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『301号室の聖者』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』がある。

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