イーハトーボ農学校の春 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.20
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本棚登録 : 122
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041040119

作品紹介・あらすじ

訪れた春の暖かい陽射しのなかで、歓びにあふれ、農作業を謳歌する農学生たちを描く表題作をはじめ、賢治の農学校教師時代の生活や、農学生時代の思い出から生まれた作品を集める。

感想・レビュー・書評

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  • 「読者が選んだ名作復刊」シリーズの中に本書があったので、手にとった。総て、農学校教師時代の26歳から30歳の間に書かれた短編12篇が載っている。賢治ファンの私も見落としていた珠玉のアンソロジーだった。

    特に、最初の4篇は、まるで教師の日記のように具体的だ。「或る農学生の日誌」はまるで自分の生徒の日誌を盗み見たような迫真性を持つが、文章は紛うことなき賢治のものである。「イギリス海岸」は、ほとんど教師としての日誌である。「第三紀偶蹄類の足跡標本の採取」は、想像かと思いきや、解説によるとホントのことらしい。授業中の発見なんて、正に僥倖と言っていいだろう。そのあと、未完成原稿もふくみながら、小中学校時代の世界に対する好奇心、イーハトーボ世界の表現様式の実験、或いは昔ホントにみたかもしれない残酷な幻想を書き留めている。全集をくまなく見ないと見つけられないこれらを読めて幸せだった。

  • ひさしぶりに賢治の作品を読んだが、やはり強く惹きつけられた。表紙の飯野和好さんの絵も好きだ。初期の作品が収められており、後期の作品のように悲痛なところは少ない。自然の中に没入して、自然の恵みを直接受け取る登場人物達に、感情移入しながら読んだ。子供の時に時間のたつのも忘れて、野山を駆け回ったことを思い出す。「種山ヶ原」が一番の好み。主人公の少年がふとしたことから異界に迷い込んでしまい、無事にこちら側の世界に帰ってくる。山の自然が生き生きと色彩と豊かに描かれて、読んでいると心がわくわくした。

  • *東北への旅の友・・

    一緒に、イーハトーボへ行ってきました♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      良いなぁ、、、「東北への旅」
      良いなぁ、、、「東北への旅」
      2014/04/30
    • setuさん
      先週の今頃は、岩手にいました!
      6日に、賢治の童話村へ行きましたよ♪
      先週の今頃は、岩手にいました!
      6日に、賢治の童話村へ行きましたよ♪
      2014/05/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「賢治の童話村へ」
      楽しまれましたか?(羨ましくて言葉にならず)
      「賢治の童話村へ」
      楽しまれましたか?(羨ましくて言葉にならず)
      2014/05/19
  • 人類にはまだ早い

  • 宮沢賢治が、故郷・岩手の自然との触れ合いを描いた短編集。

  • ●或る農学生の日誌
    ●台川
    ●イーハトーボ農学校の春
    ●イギリス海岸
    ●耕耘部の時計
    ●みじかい木ぺん
    ●種山ヶ原
    ●十月の末
    ●谷
    ●二人の役人
    ●鳥をとるやなぎ
    ●さいかち淵

  • 2/7/10
    積読
    日記体の「或る農学生の日誌」は面白かったが、他は琴線に触れなかった。
    ちいさな木ぺん、続きが知りたいなあ。
    100ページくらいまで読んで中断。

    4/17/10
    いま読んでる
    森鴎外を読んだので調子に乗って文学を。でも鴎外より読むスピードが遅くなるのはなぜだろう?

    4/27/10
    読み終わった
    賢治の初期の作品集、だということを巻末の解説で知った。この本は解説を先に読んだほうがいいかもしれない。というのは、「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」といった後期の作品に見られる、賢治独特の世界観を、本書に納められている作品は持っていないからだ。
    本書「イーハトーボ農学校の春」は名前の通り、作者の故郷「イーハト-ボ(=岩手)」での、作者の農学校教師時代の経験を基にして描かれた、もっと現実的で自伝的、日記的な作品集だ。この作品を書いた当時の宮沢賢治は、晩年の「雨ニモマケズ」に代表されるような貧しい農民の生活に対する気持ちなどは全く持っていない。むしろ、農学校での明るく楽しかった生活を、当時の彼の生き方を反映して一農学校教師としての目線で捕らえている、ということなのだ。

    と、解説にはこのようなことが書いてあり、全くその通りだと思った。この点を理解して読まないと、なんだか普通、というか平易、というか、魅力に欠ける作品だな、と思ってしまう。それはまさしく「宮沢賢治」の名を聞いて、「銀河鉄道の夜」のようなきらきら輝く幻想的なファンタジーの世界、若しくは「オツベルと象」のようなダイナミックな擬音と溜飲の下がるスペクタクルの世界、或いは「雨ニモマケズ」のようなストイックで現代人に平手を打つような教訓の世界、を想像していたから起こる誤解なのだと思う。

    賢治が見、聞き、体験した、そのままの大正岩手を感じる、そういう読み方がこの本にあっているんだろうな。解説が一番面白かった。

  • 宮沢賢治が農学校の先生をしていたときにかかれた本.解説が面白い.その解説によると,「農」の大変さを書くというよりは,「農」の日々の生活をほのぼのと書いている.たしかにそのように読める.ただちょっと退屈であまり全部読めなった.

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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