ifの悲劇 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 516
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047750

作品紹介・あらすじ

北海道・網走に住む小説家の加納豪は、かわいい妹の彩を溺愛していたが、彩が商社に就職して夕張でひとり暮らしを始め、やがて同期の奥津と結婚することになり悲嘆に暮れる。しかし婚約者・奥津の浮気が発覚し、彩はショックで飛び降り自殺してしまう。奥津への復讐を誓った兄は、奥津を網走に誘い出し殺害する。奥津の遺体を車に隠しアリバイを構築するために夕張に向かう途中、加納は交通事故を起こしてしまう――。
ここから物語はふたつに分岐していく⇒
A:交通事故で人身事故を起こし、殺人が露呈した場合
B:交通事故を起こしたものの事なきを得て、殺人が露呈しない場合
……果たして加納の運命やいかに。
ふたつのパラレルワールドがひとつに結びつくとき、衝撃の事実が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 言わんとすることはわかる。
    多分気分が乗らなかっただけなんだろうなぁ。。

    「パラレルワールドのお話でしたハッハッハ」の方が受け入れられた。パッと目覚めて、
    「てな感じでそんな上手くいくわけーか!ハッハッハ」な大ブーイング確定オチの方で良かった。

    多分、気分が乗らなかったんだ...2回言うくらいだもん...

  • 浦賀和宏のノンシリーズ。図書館を利用。

    20年ぶりくらいに浦賀和宏を読んだ。安藤直樹シリーズが大好きで(厨二心をくすぐられると言うか。。。)追っていたけど、段々とノンシリーズが増えてきていつの間にか遠ざかっていた。

    妹の婚約者を殺した帰りに、目撃者を殺すか、殺さないかでAルート、Bルートに別れる、というとんでもないストーリー。AとBが交互に展開され、どちらのルートもじわじわと追い詰められていく感じが良い。

    トリック自体は何となく目星がつくかも。このトリックをしたいがための舞台設定なので、その点が鼻に付く人は苦手かもしれない。。。
    冒頭から浦賀和宏らしい展開で、懐かしかった。

  • ifA、ifBとして1つの事件が2つの状況で展開していくスタイルは新しく、面白かったんだけど……真相が私にはちょっと難しく……。エピローグで全部説明されるので、あ、そういうことか、そりゃわからんわ。てなった。

  • 「パラレルワールドがひとつに結びつくとき」…?
    なんやろ、メタ小説ってことか…?
    おおお、そう、そうきたか!!
    読み返してみると、本当に細やかに伏線が張られ、描写に工夫がされておりました。特に人物の名前の表記や呼び方、名乗ろうと思ったのを自然な感じで遮らせちゃったりして、憎いよ、この!
    でも、なんで星3かというと、真相が明らかになるまでがわりと退屈で、さらに長く、「今回外れかも…」と思っちゃったからです。だからこそそれがひっくり返った時の驚きが大きい、とも言えますが。

  • 「絶対に騙される!」と帯にありますが、
    まんまと騙されました。
    Aの場合とBの場合ですすんでいくミステリー。
    ネタバレはしたくないので、ぜひ読んでくださいとしか言えませんが、
    最後まで読むと、よく計算された出来た物語だなぁと。
    話がややこしいので、一気読みしたほうが内容がよく理解できます。

    ちなみに、この本を貸してくれた友人は、
    冒頭「プロローグ」を作者から読者へのメッセージだと思い、はやく本文を読みたいと「プロローグ」を飛ばしたら、全然意味わかんなかったと言ってました(笑)
    プロローグは大事な冒頭です。ここから物語始まってるし、騙しトリックも始まってるので、最初から丁寧に読んでください(笑)
    てか35ページもプロローグあるから、普通は気付きますが(笑)

  • パラレルワールドの話。
    しっかり読むと逆に楽しめないのかもしれないが、読みやすい文体なのですらすら読め、だからこそ、衝撃も大きかった。
    久々に面白かった。

  • 「もしあの時こうしていたらどうなっていたのだろうか」
    ――意味のないことだとはわかっていても、人は取らなかった選択の結末に想いを馳せてしまう。

    そこから着想を得て、本書はなんと「Aの場合」「Bの場合」の2つの物語を交互に書こうというのだ。それも「犯人が事件後に目撃者を殺していた場合」と「殺さなかった場合」だというのだから、物騒な話である。
    主人公は私怨から人を殺してしまう。用意周到に偽装工作を考え、計画的に殺人を実行したにもかかわらず、帰路の道中で目撃者を「ひき殺してしまう or ひき殺しそうになる」。物語はここからスタートする。
    犯人視点で物語が進み、最初の辺りは2つの世界で共通する部分も多いが、段々と違いが目立つようになり、気が付けばまさに「どうしてこんなことに」状態。しかも、そこに行くまでの流れが非常に自然。

    何を書いても基本的にネタバレになりそうで怖いが、かなり手の込んだ仕掛けが用意されていることもあり、解答を見てもなかなかに頭が混乱してくる。最後に筆者の手によって時系列順にまとめられているのが唯一の救い。
    ただ、描写や表現に若干「ずるいな」と感じるところはあった。

  • 浦賀和宏『ifの悲劇』角川文庫。

    実験小説のようなパラレルワールドミステリー。そして、週刊標榜のライター・桑原銀次郎シリーズでもあった。奇をてらった感が強く、現実味が感じ取れなかった点で小説としては失敗だと思った。しかし、ミステリーとしてはそれなりの面白さはある。

    北海道に住む小説家の加納豪が溺愛する妹の彩は婚約者の奥津の浮気を知り、自殺する。妹を死へ向かわせた奥津への復讐を誓った加納は奥津を殺害するも、遺体を車で運ぶ途中に交通事故を起こす。交通事故をきっかけに殺人が露呈した場合としなかった場合の二つの場合が交互に描かれ、やがて二つのストーリーは交わり、衝撃に真実が明らかになる。

  • 斬新でした〜〜

    ifって、"もしも〜"って意味やけど、この本の特徴は、もしあの時あいつを殺していたら、殺していなかったら、という設定で話が進むところ。

    パラレルワールドで話が交互に進んでいく 感じかな
    自分自身、あの時こうしていたら っていう後悔は幾つもあるけど、さらにその先の未来まで考えたことはなかったから、考えてみるのも面白いのかも。
    読み終わった時に、恐らく読者は自分自身の人生を振り返って、仕事とか恋愛の判断が正しかったのか、間違っていたのか考えると思われ

    まぁ実生活に置き換えると、過去を考えたところで変えられないから、今と未来をみるしかないんやけどね笑笑

  • ライトノベル作家の加納は、花田欣也という筆名で網走在住。妹を愛してしまうが、その妹の突然の自殺に違和感を覚え、妹の婚約者だった奥津を疑い殺害する。その後、目撃者を殺害してしまった場合と、殺害しなかった場合という2つのストーリーの小説を書くことにするのだが。途中で訳が分からなくなってしまったのですが、エピローグで全てが解決され、伏線回収みたいな感じ。ただ、無理矢理感が否めず。桑原という週刊誌記者の説明が分かりにくくて、何回も読まないといけなかったのがしんどかった。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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