孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション(7) (角川ホラー文庫 え 1-7 江戸川乱歩ベストセレクション 7)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.28
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本棚登録 : 1902
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053348

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は30にならぬ年でありながら、全頭白髪。また美しい妻の大腿部には、まるでそこに足が生えていて切り取ったかのような傷跡がある。この訳はいかに、というところから物語は始まる。初代と出合い幸せ真っ只中の主人公の人生が道雄の求婚から狂いはじめた。初代の変死を胸に素人探偵、久保木を頼るも同様、変死してしまう。道雄と共に変死の犯人を突き止めるが、それは悪夢の始まりに過ぎなかった。世を恨んだ片輪者が、人工的に片輪者を製造するという地獄。財宝を求めて洞窟に閉じ込められてしまう恐怖。絶え間ない戦慄が続く中、合間に各々の倒錯した愛が挟まり、全体的に気味悪くドロドロとした人の気持ち悪さそのもののような様相を帯びていく。しかし、目を離すことはできない。
    珍しくラストがハッピーエンドで丸く収まっているのだが、それまでオドロオドロしすぎているので物足りない感じはなく、むしろほっと安心する

  • 感想が難しい…とにかくいろんな要素が詰まってて、どこに辿り着くのか予想できない。普通のミステリと思って読み始めたけど、読了後には別の世界にいた。不気味のオンパレードでも、事件の真相にはきちんと言及してくれるところがとても好き。なんだか不思議だね~で終わってしまうとモヤモヤするので。現実的に可能かどうかは別として…。こんなにいろいろあったのに、最後の一文がまたスゴいんだ。道雄…

  • ★★★☆☆ 3.7くらい
    殺人事件の解決よりもその背景にある妙な因縁が恐ろしかった。道雄が不憫で仕方ない。

  • 最初の文章から引き込まれる文体なので最初からとても楽しめます。また主人公が謎に迫っていくのを第三者目線で追っていけるため読みごたえがあります。

  •  大学を卒業し、味気ないオフィス勤めを送っていた箕浦は、見習いタイピストとしてやってきた初代にたちまち魅了されてしまう。内気な箕浦だが、いつしか2人は打ち解け、結婚を約束する仲に。
     しかし、不思議な身の上話を持つ彼女は、次第に怯えた日々を送るようになり、突然この世を去ってしまう。箕浦は涙にくれながら復讐を誓い、彼女の命を奪った犯人を突き止めるべく動き出す……。

     江戸末期から明治、大正という時代背景もあって、今では、到底使われない表現に戸惑うけれど、ミステリーでありながら多くの要素を盛り込んだ冒険小説は、連載当時多くの人にワクワクと読まれたことだろうと思います。特に終盤、主人公たちが窮地に陥ってからの展開からは一気読みでした。

  • 密室殺人、衆人環視の中での殺人、二人の探偵役、謎めいた屋敷…とミステリらしい語句を並べてみたが、もう、読後は諸戸道雄可哀想に尽きる。
    あれだけ尽くしているのに、箕浦の冷たい所業。
    諸戸の気持ちを知っているから都合の良い時に頼るだけ頼って、でもやっぱり受け入れられない、尊敬してるし友達としてなら平気だけど、愛情は無理って。一般的な感情なのだろうけれど、諸戸に同情してしまう。

  • 繋がりが無さそうな人達の死、不気味な登場人物たち、先が気になる不気味なお話!

    2代目探偵の諸戸道雄さんが背負うものがだいぶ重いっ……
    悪逆非道な実父、男性(蓑浦)への恋心……
    蓑浦さんも婚約者を殺されてなかなか辛い経験してたけど、1番切ないの諸戸さんでしょう?

    乱歩さんは諸戸さんの同性愛の要素は邪魔物と語ってるようだけど、諸戸さんのこの切なさがなかったらなかなか単調な物語になっちゃっただろうな。

    主人公の手記で淡々と進んでいって、途中から復讐心よりも好奇心なのが読んでいてわくわく。
    婚約者の妹だからと言ってすぐに好きになるもんかね……?そこだけ不満(笑)
    どうにか諸戸さんを幸せにしてあげたい。悔いが残る。

  • これぞ、ザ・江戸川乱歩!不具者が跋扈する怪しい島、土蔵に閉じ込められ、学校どころか人間すら見たこともないシャム双生児、抜け出せない井戸の地下迷路、とにかくとにかくオドロオドロしいことこの上ない‼︎時代なんだろうけど、このオドロオドロしさが大好きです☆

  • ただのミステリーでは語れない、情念や色香。
    登場人物たちの魅力にグイグイ引き込まれる傑作です。
    ただ、道雄にも幸せになって欲しかったなと思う。最後の一文を読み終えたときの切なさが、いつまでも余韻を引く作品でした。

  • 再読

    今読んでも最高のミステリ・冒険譚
    途中(深山木の変死)を境にテーマがガラリと変わる

    しかし、ここに世にも恐ろしい企てを画策する傴僂男・丈五郎や、本作のもう1人の主役である諸戸道雄の性的倒錯が加わり単なる王道小説に終わらない。

    蓑浦のイメージは初めて読んだ時から東京喰種の金木研

    諸戸道雄の一途と秀ちゃん(緑)の可愛らしさに乾杯
    諸戸の生き様は一生忘れないだろう

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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