ブロードキャスト

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054901

作品紹介・あらすじ

陸上の名門・青海学院に入学した圭祐だったが、その直前の事故により夢が閉ざされた。未練を残したまま中学の同級生宮本に誘われ何気なく放送部に入部することになったが、そこは圭祐にとって未知の世界だった……。

感想・レビュー・書評

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  • デビュー10周年記念作品。
    初めての学園青春小説。

    陸上の夢が潰えた、町田圭佑は、高校入学と同時に、脚本家志望の、宮本正也から、イケボ(イケてるボイス)を買われて、放送部に誘われた。

    陸上への未練を引きずりながら、放送の世界へと、足を踏み入れた、圭佑は、正也や、同級生で放送部に入部した、久米咲楽、先輩女子たちの熱意に触れながら、面白さに目覚め、進歩していく。

    夢、友情、嫉妬、後悔。。。
    湊かなえ氏には、珍しく、透明感のある作品だと感じた。
    続編「ドキュメント」があるそうなので、それも、引き続き、読んでみたい。

  • 湊かなえさんが、こんなに爽やかな青春小説を書くとは!
    主人公の圭佑は高校の合格発表の帰り道で交通事故に遭い、脚に怪我を負ってしまう。中学で同じ陸上部だった良太と、また高校でも一緒に走りたかったから受けた高校なのに。
    どの部活にも入らないと思っていたのに、『イケボだ!』と声に一目惚れ、いや一耳惚れされ放送部に入ることになる。
    ここからは、もうお仕事小説を読むようでした。放送部?何をやるの?お昼の放送?くらいな予備知識しかない私には初めて知ることだらけでした。
    放送=アナウンサー、という貧困な思考回路でしたが、ドラマやラジオ、ドキュメンタリー、そしてそこには脚本家、演者、機材を操る人‥‥色々な役割があるんですね。
    中学時代、陸上部で活躍した圭佑にとって運動部ではなく文化部というのは、なんだかカッコ悪い、いわば“オタク“のイメージがつきまとう。
    でも同じ放送部の正也の“本気“を感じた時に、そんな気持ちは吹っ飛ぶのです。
    自分が大好きなもの、選んだものに真っ直ぐに打ち込む情熱!集中力!
    そして、この作品にはもう一つ大切なことが。
    自分の進む道は、自分が選んだものだけにこだわる必要はないということ。
    圭佑のイケボに気付いてくれた人がいるように、案外、自分の長所にはなかなか気付けないものなのかもしれません。
    怪我をしたことで、もう走れないと無気力になっていた圭佑が、自分では気付かなかった魅力を発見し、夢中になり本気になってゆく、清々しい青春小説でした。

  • 陸上の名門校へ行きたい。
    合格発表で喜びのその帰り、交通事故に遇ってしまう。
    主人公の圭祐は陸上の夢を絶たれた。
    ・・・入学式、同じ中学出身だという
    正也に出会う。「圭祐はいい声をしているから」と言い放送部へと誘う。
    圭祐は、~陸上ができないのだから、帰宅部だ゙と思っていたが引きずられるように放送部に入ってしまう。

    以外にも圭祐は、主人公を演じ放送部で活躍する。
    正也は脚本家という夢を持っていた。
    正也の書いた脚本で部活は一致団結し、ラジオドラマ制作に挑む。

    放送部で、作品を作り上げていく。
    陸上部で、記録という結果に挑む。
    皆でひとつの事を成し遂げる。それは、
    どの部活でも、同じなのでは?と思う。

    ・・・・若いっていいな。
    仲間の為に自分が何と言われようと、
    行動できてしまう。
    一緒に笑って、協力しあって、泣いて。
    歳を重ねた私は、家族と泣き、笑い、
    だろうか。昔を懐かしく思ってしまう。
    ユーミンの曲ではないけれど、
    ーーあの日に帰りたいーーとでも、言って
    おきましょうか。

    2021、4、28 読了

    • しのさん
      早速のコメントありがとうございました
      早速のコメントありがとうございました
      2021/05/03
  • 『青春ものを読みたい!という読者は湊かなえさんを選ばない!湊かなえさんを読みたい!という読者は青春ものには興味がない!』

    あなたが今、手にしている本はなんでしょうか?その本を選んだ理由は?話題になっていて読んでみたかったから?友達に勧められたから?色んな理由があると思いますが、その作家さんの作品が読みたいからということもあると思います。そんな中で湊かなえさんの作品を読もうとする人は何を求めるのでしょうか。湊かなえさんの作品に抱くイメージというと、『ドロドロ』『イラッ』、そして『イヤミス』。読んだら絶対に嫌な気分になるのに、後味の悪さを味わうのに、そのことがわかっていながら、わざわざそれを求める人がいる。湊さん自身も『自分の得意な方向は「告白」のようなものじゃないか、そういうものを求められているんじゃないか』と感じられているようです。でも、『そうではないものも書いてみたい、よし挑戦しよう!』と書かれたのがこの作品。『これまで高校を舞台にした小説はありましたが、今回は真っ向から「青春」に挑戦しました』と語られる湊かなえさん。さて、本当に『イヤミス』じゃない作品になったのでしょうか?

    『中学三年生、最後の全国大会へと繋がる駅伝の県大会で、一位のチームに一八秒差で負けたことが、その時点での僕の、人生において一番悔しい経験となった』という主人公・町田圭祐。『市立三崎中学に入学し、先に声をかけてきたのは、良太の方』という山岸良太に誘われ陸上部に入部し『全国を目指せる団体種目は長距離、駅伝』と練習に励み、チームとして成果を出していきます。『推薦。青海学院から来ているんだ』とスポーツ推薦での高校進学の話もくる良太を目標に頑張る圭祐。そして『全国がいよいよ夢で終わらないところにまで漕ぎつけた矢先』に、『良太が両膝を故障した』という現実。全国大会への道を絶たれた圭祐。『堂々の県大会二位。誇りに思おうよ。俺は高校に入っても、長距離を続ける。自分の力で全国大会にも出場する』という良太に『良太と駅伝で全国大会を目指せる日が来る』と猛勉強の末、青海学院に合格します。しかし、まさかの『夢も希望もない』という入学式。『合格発表の帰り道、ものすごい勢いで自動車が右折してきて…僕の左足にはボルトが入っている』というまさかの未来が待っていました。そんな時、同じ中学出身の宮本正也から声をかけられます。『町田の声は、俺の理想の声なんだ!』という正也。『俺は、脚本家を目指しているんだ。放送部に入る。俺はラジオドラマを作りたい。町田、一緒に放送部に入ろう!』と全く考えてもいなかった部活の名を告げられます。そんな圭祐は迷いながらも、正也に連れられ放送部の見学に訪れます。そして…。

    『放送部』の活動と言われても全くピンときませんが、チラシの内容という自然な形で『学校行事の司会・撮影やアナウンス・朗読』などが活動内容であることがわかります。そしてこの作品では、もう一つの大切な活動である『作品制作』に焦点を当てていきます。ここで、『脚本家』を目指すという正也の語りを通じて『ミステリー作品を起承転結で表すとしたら』というなかなかに興味深い記述が登場しました。
    起 事件が起きる。主役の探偵(または刑事)の登場。
    承 謎解き、捜査が始まる。数々の障害あり。
    転 アリバイ崩しのヒントや有力な情報を得る。犯人逮捕。
    結 めでたしめでたし(ハッピーエンド)。事件が解決するも、モヤモヤとした嫌な気分が残る(イヤミス)。
    『こうやってまとめられるとわかりやすい』という圭祐の感想は読者も全く同じでしょう。なるほど、これがミステリーの作り方。しかも最後に『イヤミス』と湊さんご自身で書かれるところなどよくわかっていらっしゃいます。これが湊さんの中のお決まりなんですね。さらに、ラジオドラマの作り方についてこんな記述もありました。他校が制作した『女子高生が白血病になって駅前でドナー検査を受けてくれるよう「未来をください」って訴えるという作品』を見た正也。『友人役が順番に医学書を読み上げているような構成になっている、実際に自分が街中で訴えるなら同じような感じかもしれない』と分析します。『でもコレはラジオドラマだ。現実に起こりそうなことをそのまま再現するのではなく、やはり、脚色が必要なのではないだろうか』とこう続けます。『雨音!呼びかけの最中に雨が降ってくる。通行人たちの足は速まり、耳を傾けてくれる人は誰もいなくなるかもしれない。それでも、続ける』。正也の語りを通して湊さんが作品を作るならこうするという視点を垣間見ることのできたこちらもとても興味深いシーンでした。

    そして、この作品は、もう、まさしく『青春もの』です。今までにも沢山の『青春もの』には触れてきましたが、この作品が素晴らしいと感じた点は以下のような感じでしょうか。
    ・スポ根ではなく、『文化系』クラブに焦点を当てている。しかも『文化系』花形の吹奏楽ではなく、『放送部』というマイナー系を取り上げている
    ・毒が全くなく、本物の悪人が登場しない
    ・ケガはしても難病ものに逃げていない
    ・結末に、不自然に高いゴールを持ってこない
    ・作品を彩る伏線が極めて巧みに張られ、極めて自然に回収がなされる(湊さんの他の作品に比しても極めて巧み)
    ・『ここはおまえの居場所なのか?』という青春ものっぽい投げかけへの主人公の苦悩と葛藤、そして克服して未来へという王道が描かれている
    ・圧倒的に爽やかで、清々しい余韻が残る
    など『青春もの』として『文化系』クラブを描くなどの独自性を持った上で、抑えるべき点を高いレベルでクリアしているのは見事という他ないと思いました。『竹宮先生、去年から休職して、海外のボランティア活動に参加している』という表現にあっ!湊さんだ!とマニアックに見分ける視点はありますが、普通には作家名を隠された状態で、この作品を読んだ人の中でこの作品が湊さんの作品だと当てられる人はまずいないと思います。はい、『イヤミス』の湊さん色は全くの皆無です。

    『創作物を発表するということは、喜びだけでなく、恥、落胆、覚悟など、様々な感情と付き合っていかなければならないのだな、と考えさせられてしまう』という表現など、湊さんの作品制作に対する考え方も垣間見れるこの作品。そんなこの作品の一番の問題点は全く違うところにあると思います。

    『青春ものを読みたい!という読者は湊かなえさんを選ばない!湊かなえさんを読みたい!という読者は青春ものには興味がない!』

    この作品の一番の問題はこのミスマッチにあるのではないかと思いました。他の方の感想を読めば読むほどそのことを強く感じました。

    そう、需要と供給のポケットに落ちてしまったこの作品。読みたい人は辿り着けず、読んでもらいたいと思っても辿り着いてもらえないこの作品。もったいない。すごくそう思います。なかなか需要と供給を上手くマッチさせるのって難しいですね。

    …というのが私の稚拙な分析ですが、一方で私自身は、湊かなえさんに『イヤミス』は全く求めていません。そして『青春もの』が大好きな私。そう、そんな人が偶然にもこの作品に辿り着くと、そこに待っているのは、これはもう幸せな出会いしかありません。ということで、需要と供給がマッチした人間にはたまらない感動を与えてくれます。そう、素晴らしい『青春もの』の傑作!やっぱり青春って、いいなって。ラストシーンの鳥肌が立つような冴え渡った伏線回収のキレの良さ、『青春もの』の王道を行く納得感のあるストーリー展開、そして晴れ渡った高い空をいつまでも見ていたくなるような澄み渡った余韻。素直にとても感動しました。ありがとうございました。

    • さてさてさん
      いるかさん、ありがとうございます。
      湊さんの作品にも「花の鎖」や「絶唱」など、爽やかな印象の残る作品はありますが、この「ブロードキャスト」は...
      いるかさん、ありがとうございます。
      湊さんの作品にも「花の鎖」や「絶唱」など、爽やかな印象の残る作品はありますが、この「ブロードキャスト」は、そういう次元ではなかったです。普通に青春ものでした。
      また、よろしくお願いします。
      2020/05/28
    • いるかさん
      ありがとうございます。
      花の鎖や絶唱もなんとなく遠ざけていました。
      それまでのものが重たかったので。そちらも読んでみたいと思います。
      ...
      ありがとうございます。
      花の鎖や絶唱もなんとなく遠ざけていました。
      それまでのものが重たかったので。そちらも読んでみたいと思います。
      ありがとうございます。
      これからもよろしくお願いします。
      2020/05/28
    • さてさてさん
      いるかさん、こちらこそ。
      私もまた湊さんの作品を読んでいきたいと思います。
      今後ともよろしくお願いします。
      いるかさん、こちらこそ。
      私もまた湊さんの作品を読んでいきたいと思います。
      今後ともよろしくお願いします。
      2020/05/29
  • ラストの良太への告白では、イヤミスな展開を期待した、私がいました。笑
    それを超えて事前情報通り爽やかな青春群像劇は良かったです。
    その後の舞台を変えた、圭佑の目はイキイキしてるに違いがない。夢を追いかける青春って良いなーー。(シミジミ)

  • 高校の放送部の話。
    嫌ミスの女王・湊かなえの作品とは、読んでいる間は忘れてしまう、さわやかな作品です。

    中学時代に陸上部で活躍していた圭祐は、仲間の良太と共に陸上を続けるために同じ高校を受験。
    ところが、交通事故でその夢を断たれてしまう。
    希望をなくし、帰宅部しかないと思っていたところ、同じ中学だった正也に「理想の声だ」と言われ、放送部に誘われる。
    軽い気持ちで入った放送部だったが、熱心な先輩や正也の頑張りに影響され、自分の声が生かされることにも張り合いを感じるようになっていく。

    放送部と言われてもこちらもピンと来なかったのですが、校内放送で案内を担当するだけでなく、ラジオドラマまで作るのですね。
    なるほど、それなら色々な展開あって盛り上がりますねえ。
    今は声優さんも人気な時代だし。

    思わぬ挫折は、10代にはつきもの。
    がっかりしている人、迷っている人にエールをくれる内容で、良かったです。
    いやこんなのも書けるのね、と驚きました(笑)

  • ★3.5

    町田圭祐は中学時代、陸上部に所属し、駅伝で全国大会を目指していたが、
    3年生の最後の大会、わずかの差で出場を逃してしまう。
    その後、陸上の名門校、青海学院高校に入学した圭祐だったが、
    ある理由から陸上部に入ることを諦め、
    同じ中学出身の正也から誘われてなんとなく放送部に入部することに。
    陸上への未練を感じつつも、正也や同級生の咲楽、先輩女子たちの熱意に触れながら、
    その面白さに目覚めていく。
    目標はラジオドラマ部門で全国高校放送コンテストに出場することだったが、
    制作の方向性を巡って部内で対立が勃発してしまう。
    果たして圭祐は、新たな「夢」を見つけられるか――。


    主人公の圭祐は中学時代陸上部で全国大会を目指していた。
    陸上の名門校に合格するが、その発表を見た帰り交通事故にあい
    足に大けがをし、陸上部への入部を諦めざるを得なかった。
    声が良いと同じ中学の正也に誘われ、何となく放送部に入部する。
    やる気が出なく、どこか他人事の様に感じている圭祐の気持ちが
    ドンドン変化していく様は微笑ましかった。清々しい気持ちになりました。
    放送部って作品制作「テレビドラマ」・「ラジオドラマ」・
    「テレビドキュメント」・「ラジオドキュメント」四部門の作品を作り
    全国大会も行われている。
    こんなことをやっているんだって全く知らなかった。
    放送部の面白さを知る事が出来たのは楽しかった。

    爽やかな青春小説でした。
    仲間と目標に向かって進んでいる高校生ってイイネ。
    青春小説ってだけではなく、SNSでのいじめなど社会問題や
    今の目の前の勝敗よりも次があるんだよってそれが大切だって
    今、何かに悩んでいたり挫折したり、落ち込んでいたり
    引きずっている人沢山いると思うけど、次があるよって!
    訴えかけたいメッセージがわかり易く描かれていた。

    新たな目標を見付けた圭祐たちのその後が読みたいって思いました。
    中・高校生にお勧めの一冊でした。

    • アールグレイさん
      しのさん、こんにちは!
      私がフォローをさせて頂いてから、間があったので私の片思いで終わったか。なんて、思っていました。だから、とても嬉しく思...
      しのさん、こんにちは!
      私がフォローをさせて頂いてから、間があったので私の片思いで終わったか。なんて、思っていました。だから、とても嬉しく思っています。どうぞよろしく♪
      この本、「ドキュメント」に繫がりがあると知り、再読しました。
      私は、部活に熱を入れることはなく過ごしましたが、やはり若かりし頃を懐かしく思います。今、レビューを書き終えたばかりで、次は、「居酒屋ぼったくり、おかわり2」を読みます。頭を休めることのできる、優しい本だと思います。その次はDay to Day 2冊とも図書館予約本です。順番が重なって廻ってきてしまいました。今、図書館は予約本しか貸し出しをしません。開架は、閉鎖中です。
      ブクログに入ってから、読みたい本だらけ。しのさん、お薦め本はありますか?
      長くなりましたm(__)m
      2021/05/03
  • 中学時代陸上部で全国大会を目指していた主人公が交通事故によりその夢を絶たれ、ひょんな事から進学した高校で放送部に入りそこで新たな目標を見つけると言う話。

    イヤミスの女王である作者が青春小説?と半信半疑で読み出したが、面白かった。放送部に全国大会があるのも初めて知ったし、登場する高校生の等身大の姿に素直に感情移入出来る。一度は夢を絶たれた主人公を軸に、脚本家になるという熱い夢を持った同級生、アニメオタクの同級生女子、頼りない三年生軍団やそれに反発する生意気な二年生など、放送部の人間関係がまっすぐにリアルに伝わってきて、ああ自分も高校時代の部活ではこんなこともあったなあと懐かしい気持ちにさせられた。

    物語自体はぶっ飛んだ演出はなく、逆にすごく地に足がついていてその安定感がよかった。

    まだまだ続編が続きそうなので、主人公たちの今後の放送部での活躍に期待したい。

  • 高校に入っても陸上部で頑張る、予定だった圭祐は
    事故に遭い、思い描いていた高校生活は送れない、と思っていた。
    が、ひょんなことから、放送部に入ることになり、、そこで新しい世界、新しい友人との生活が始まる。

    文化部はオタク、、のイメージがあり、最初は躊躇していたものの、作品作りの面白さに気付いていく。
    が、走ることへの未練もあり、なかなか心が決められない。

    あー、わかる。本当にやりたいことと、やれることは違うし、何がやりたいのか自分でもわからないことはあるし。でも、やってみて初めてわかる面白さもある。若いうちはいろんなことに挑戦してほしいなぁと思いながら読んだ。

  • 前作の「未来」で毒を吐き切ったのか、湊かなえ作品と疑ってしまうほどのさわやかな青春小説。

    陸上競技で悔しい思いや挫折を味わった主人公がひょんなことをきっかけに放送部に入部します。そこで起きる、かつての部活仲間や顧問との関係、クラスでのいじめ、部活内の人間模様など、リアルな学校生活を描く学園モノを湊かなえ風に仕上げたという内容。
    自分の過去に真正面から立ち向かい、やがて過去と仲直りをするような話で温かい気持ちになります。

    僕は、湊かなえのイヤミスが好きというより、湊かなえの文章が好きなのでこれはこれですごく楽しめました。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

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